『第ニ全地公会規則』



コンスタンティノポリ第ニ全地公会規則

第一條 コンスタンティノポリに集会せし諸聖父議定せしこと左の如しウィフィニヤなるニケヤの公会に会せし三百十八人の諸父の信経は廃す可らず宜しく変易せずして存すべし、諸異端は「アナフェマ」に處せらる即ち「エウノミイ」党「アノメイ」党「アリイ」党若くは「エウドクシイ」党、半「アリイ」党若くは抗聖神者「サウェリイ」党「マルケル」党、「フヲティン」党及び「アポリナリイ」党の異端是なり。

第二條 州主教は其の州の区域外の教会に己の権を及ぼして教会を混す可らず乃ち規則に循ひてアレキサンドリヤ主教は唯エギベトの諸教会を治理し、東方の主教等はニケヤの規則にて認定せられたるアンティオヒヤ教会の特典を保有して唯東方を治理す可し、又アシヤ州の主教は唯アシヤを治理しポントの主教は唯ボント州の事を管理しフラキヤ主教は唯フラキヤの事を管理す可し。主教は招かるるに非ざれば己の州の区域外に至りて按手を行ひ或は其の他教会の事務を処理す可らず。教会の州に関する前記の規則を循守しつつ各州の事務はニケヤに於て定められたる如く其州の公会にて議定す可きは勿論なり。異族民の間に在る神の教会は今に至るまで遵守されし諸父の慣例に循て治理す可し。

第三條 コンスタンティノポリの主教はロマ主教に次て名譽の特典を有す可し何となれば此の都会は新ロマなり。

第四條 マクシム、キニク及び彼れがコンスタンティノポリに生じたる紛擾に就きてマクシムは主教にあらざりし且主教にあらず凡そ彼に由りて教衆の位に立てられたる者も亦然り、凡そ彼の為に行ひし事及び彼れが行ひし事は悉く無効なりとす。

第五條 西方ノの巻軸に関してはアンティオヒヤに在りて父及び子及び聖神の惟一の神性を信認する者も我等之を受く。

 茲に巻軸と云うはニケヤの信経を公認確定せしサルディキヤ公会の規定を記せし西方主教の軸巻を指して云へり。

第六條 教会の規律を紊乱廃滅せんと欲し悪意を以て讒誣的に教会を治理する正教の主教に対し其罪を捏造する者多し是れ唯神品者の名譽を傷つけ平穏の民に争乱を生ぜんとするの意に外ならず依てコンスタンティノポリに会せし主教の聖公会議定せしこと左の如し凡そ審査せずして告訴者を受理す可らず諸人に教会の治理者に対し告訴を提起するを許す可らず但し又悉く之を拒む可からず。然れども若し主教に対して其の一身上に関する事例へば財産の剥奪若くはその他彼より不義を蒙りたる事に就いての私訴を提起する者ある時は該告訴に関しては告訴者の何人たると其の宗教とを問ふ可らず。蓋し一は主教の良心を釋然たらしめ一は自ら侮辱せられたりと公言する者に其の如何なる宗教を奉するに拘わらず公判を與ふることを努めざるべからず。若し又主教を訴へたる罪にして教会の事に関すれば告訴者の何人たるを検査す可し。第一異端者には教会の事に由りて正教の主教に対し告訴を提起するを許す可らず。我等の異端者と称するは即ち曾て公然教会より絶たれし者と其の後我等が「アナフェマ」に處せし所の者及び其の他正しく我等の宗教を信奉する者の如く偽装すと雖ども分離して正規に由りて立てられたる我等の主教に背反して集会を為す者を云ふ。又若し教会に属する者たりとも或罪の為め前に定罪除斥らられ若くは教衆或は俗人中より絶たれたる者は其の自ら蒙りたるの訴件より己を潔ふするに非ざれば、之に主教を告訴するを許す可らず。又前に自ら告訴せられし者より主教或は其の他教衆の者に対するの告訴は判然其の之に帰せられたる告訴の無實なるを証明せざる以上は受理す可らず。若し異端者にもあらず教会の親與を絶たれし者にもあらず定罪せられたる者にもあらず若くは前に何の罪過にも告訴せられたるにも非ざる者教会の事に就て主教を告訴せんと欲すと云ふ時は聖公会は先づ其の州中の諸主教に其告訴を提起し其前に於て答辨すべき主教に対し証憑を挙げて己の告訴を証明す可きを命ず。而して若し合併したる若干教区(エパルヒヤ)の主教等は意外にも主教に蒙らしめたる告訴に就きて秩序を回復すること能はざる時は原告は此事件に由て招集せらるる大州主教等の大公会に告訴す可し然れども預め書を以て若し事實審査の後被告の主教を誣告したること露顕する時は被告と同様の罰を受く可しとの恐れの下に己を置くに非ざれば覆審を主張すること能はず。然れども若し以前の審鞠に由りて定められたるの判決を蔑視し或は王聴を煩はし或は世俗官長の裁判若くは全地公会を煩はし以て州主教等の名譽を侮辱せんとする者あらば是の如き輩は規則を凌蔑し教会の規律を破る者たるほ以て決して告訴を受理す可らず。

第七條 異端者の中より正教に合し救はるる者の数に加はる者は左の條規及び慣例に由りて之を受く可し即ち「アリイ」党、「マケドニイ」党「サワティイ」党并に自ら潔浄者及び善人と称する「ノワト」党、十四日者若くは「テトラデイト」等及び「アポリナリイ」党は手書を以て聖・公・使徒の神の教会の教ふる如く教へざる諸異端を詛ふ時は印記して之をく可し即ち聖膏を以て第一に額に膏し次に目及び鼻口耳に膏し而して之を印する時聖神の恩賜の印記と唱ふ可し。又一次浸没を以て施洗する「エウノミイ」党爰にフリギヤ人と称する「モンタニスト」党及び父と子と一位なりとの説を持し及び其の他忍ぶ可らざる事を行ふ「サウェリイ」党并に其の他の諸異端者(蓋し爰に此の如き者多し特にガラティヤ地方より出たる者なり)の中より正教に合せんと欲する者ある時は悉く異教人の如くにして之を受く可し即ち第一日に之を「ハリスティアニン」と為し第二日に啓蒙者と為し而して後第三日に三次其の顔と耳とに息嘘きて之を咒詛し此の如く之を啓蒙するに及び之をして聖堂に止まり聖書を聞かしめ而して後之に洗礼を授く可きなり。


TOP | BACK