教区定例学びの会 神戸教会にて生神女誕生祭と合わせ

   生神女祭日の福音をテーマに 小野神父 講話

去る9月21日(火)、神戸ハリストス正教会で西日本主教教区・定例「学びの会」が開催されました。

  この日は生神女誕生祭の当日にあたるため、午前中に祭日の聖体礼儀を献じ、昼食を挟んで、午後に学びの時を持ちました。
  今回の学びの会は「新しい約束と母マリヤ−−正教会に於ける生神女マリヤの位置」をテーマとして、京都正教会のイオアン小野司祭が講師を務めました。

  正教会で生神女の祭日聖体礼儀で誦まれる福音書ルカ伝10:38-42;11:27-28の結びの言葉が、新共同訳では「『なんと幸いなことでしょう、あなたを宿した胎、あなたが吸った乳房は。』しかし、イエスは言われた。『むしろ、幸いなのは神の言葉を聞き、それを守る人である』」とイイススの言葉を逆接で翻訳されているのに対し、正教会訳では「彼は曰へり、『然り、神の言を聽きて之を守る者はbネり』」と順接で接続した上での強意として翻訳されていることから話を始め、生神女マリヤの生涯に関する教会の伝承の紹介に続いて、次の各点を強調しました。

○母マリヤに対する群衆の中の女性による称賛を否定するのではなく、「母マリヤが最も完全な形でそれを実践したように『神の言葉を聞き、それを守る』全ての人は祝福される」とイイススは仰ったのだと正教会では捉えていること。
[聖書協会訳の背景には、「マリヤは人間イエスを生んだ母であって、それ以上の存在ではない」、「イエス自身、母マリヤを特別視することを退けた」のだという立場があり、それが翻訳結果に現れています。]

○クリスチャンは、母マリヤをひな型としてそれぞれが「神の言葉」を自らの中に迎え「神の住まい」となるべきこと。
  そして、それを信徒一人一人が再確認して心に刻み込むために正教会では生神女マリヤに関する祭日を守ってきていること。

○新約の時代にあって母マリヤは神ご自身を自らの胎に宿し、旧約の時代に神の臨在のしるしであった「契約の箱」を越えたこと。

  最後に、母マリヤをひな型として神聖神゜(聖霊)を自らに迎え「生ける神の神殿」となり、さらに、領聖(聖体拝領)によって神ご自身を自らの中に迎え入れ宿すものとなることがクリスチャンの目標である、と話を結びました。

  学びの後の懇談では、教区報で紹介している聖アンドロニク大主教について、大阪はじめ関西地域と繋がりの深い聖人であり、参加者との話に花が咲きました。
  [今年9月初旬に学校占拠事件が起こった北オセチア共和国にも、聖アンドロニクは赴任していたことがあります。19世紀末、聖アンドロニクは第一回来日の前と後に北オセチアの宣教神学校で講師・舎監(学監)を務めていました。北オセチアを含むカフカス地方は、その時代も不安定要素を抱えていました。](イオアン小野  記)