教区定例学びの会 06’京都
ダワィド水口優明神父を迎え「旧約時代の奉神礼」を学ぶ
西日本主教教区「定例学びの会」が、司祭ダワィド水口優明師(大阪)を講師に迎え、去る5月20日(土)京都正教会を会場として開催されました。講演主題は、「旧約時代の奉神礼――聖書と正教奉神礼」。名古屋・半田・大阪・神戸からも参加者を迎え、27名が学びの時を持ちました。
水口師は、幕屋・神殿・神の箱等の推測図や聖書写本挿絵など豊富な図版を盛り込んだ詳細で分かり易い資料を、この会のために準備下さいました。
はじめに、「旧約における祈りの場」として「幕屋」、「神殿」のあり方について聖書の記述と図版を用いて解説され、それらは『主が命じ』そのとおりに作られた点を強調されました。
二番目に「旧約の聖器物と祭服」として七灯「燭台」、「祭服」、「神の箱」、その他の聖器物について解説されました。七灯燭台は、天地創造の完全さを讃美する形として正教会にほぼそのまま受け継がれていますし、祭服は形こそ違いますが聖職者が公の祈りに際して特別な衣服を身に着ける習慣として受け継がれていること。そして、神の臨在を示す「神の箱」は、新約の時代に神ご自身をお腹に迎え入れた生神女マリヤの予象となり、今日でも私達は『ヘルヴィムより尊くセラフィムに並びなく栄え〜』と生神女マリヤを『神の箱』以上の方として讃えていることを示されました。
次いで、アトス山の修道院の聖詠(詩篇)写本に描かれた聖王ダワィドとベゼレル、聖像破壊論者の挿絵を紹介され、聖王ダワィドは、聖像破壊論者は人が造ったものに祈ることを禁じる聖書の言葉を引いて聖像も偶像として否定するが、「偶像の神々を否定したが、神はベゼレルたちに幕屋や聖器物を作るようお命じなったではないか。神はこれらの『物』をとおして神を礼拝するべきことを教えておられるのである。イコンも同じ」と聖王ダワィドの姿を描くことで示している、と解説されました。
三番目に「旧約の犠牲」として、「動物犠牲の意味」、「犠牲の種類」、「預言者たちの犠牲批判」について解説され、神への献げ物の心は新約の時代にも受け継がれている、と示されました。
四番目に「旧約の暦・祭」として、旧約時代の「一日」、「一週間」、「一月」、「一年」のサイクルでの暦のあり方を解説され、暦や祭日の意味に異動はあるもののそれぞれのサイクルで定められた祈りを行う習慣は、正教会にも連綿と受け継がれていることを示されました。
昼食をはさんで、五番目に「祈りの姿勢、動作」として様々な所作を解説され、多くの所作が正教会に受け継がれていることを示されました。
六番目に「旧約時代の音楽」として、代表的な「楽器」の紹介、「歌い方」を解説され、正教会では楽器こそほとんど用いないものの、「独唱(朗誦)」、「合唱、斉唱」、「応答唱(レスポンス)」、「交互唱(アンティフォン)」という歌い方はそのまま正教会に受け継がれていることを解説下さいました。
和やかな雰囲気で行われた質疑応答は多岐にわたり、充実した学びの時を持ちました。