なごや「聖歌」だより 6 2002年 9月号


「コンダク」(ギリシア語ではコンタキオン)はトロパリに似た短い詩で、聖体礼儀ではトロパリに引き続いて歌われ、早課ではカノンの第6歌頌の後にイコス(同讃詞)を伴って歌われます。トロパリ同様、その日の祝のテーマを歌います。時課では読まれます。

 コンダクが作られたのは6世紀、ユスティニアヌス大帝の治世、帝国の版図は最大となり、栄華を極めていました。  
 首都コンスタンティノープルでは、ニコライ堂の何倍もある大ドームをのせたアギアソフィア大聖堂(写真)が建てられ、皇帝や総主教が臨席する礼拝は荘厳で華麗なものになってゆきました。
 当時のコンダクは短い詩を20から30も連ね、聖書のお話や、祭のできごとを絵物語のようにドラマティックに語る長い歌でした。ですから、コンダクの歌い手は、特別に指名され、特別の衣装を着て、聖堂中央の高くなったところに立って、技巧を凝らした装飾的な歌い方で朗々と歌いあげました。会衆は、詩の区切りごとに、短い繰り返し部分(附唱)を歌って祈祷に参加していました。
 やがて、8−9世紀になって、祈りの中心が修道院に移ると、コンダクに代わってカノンが作られるようになり、コンダクは、今のような短い歌とイコス(同讃詞)のみに縮小されていきました。昔のままのコンダクの形は、大斎第5週の生神女のアカフィストの早課に見ることができます。
 代表的なコンダク、「降誕祭のコンダク」については来月お話しします。