正教会の礼拝と聖歌の歴史
知られていない東方の聖歌史
序文 エルサレムから日本まで 工事中
1.使徒たちのころ
2.ビザンティン前期 (聖歌hymnosの発展期) 工事中
二つの都市、大聖堂の聖歌と修道院の聖歌
その統合
3.後期ビザンティン(カロフォニーの時代)から 工事中
ラテン帝国以降
4.ロシア 単旋律聖歌の時代(17世紀まで)工事中
5.ロシア 合唱聖歌の時代 工事中
6.日本の聖歌工事中
参考論文:ニコライ大主教と日本の聖歌
セルゲイ府主教と聖歌者ポクロフスキー工事中
7.これからの聖歌を考える。工事中
序文
1.使徒たちのころ
教会は「集まり」−−(エクレシア)
キリスト教の始まりの頃、イイススやお弟子さんたちがどんなふうに聖歌を歌っていたかはよくわかっていません。マタイ伝26:13には、最後の晩餐の日、食事をしているときにパンを取って賛美の祈りを唱えて、パンをさき、弟子たちに分け与え、賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけたとあります。
五旬祭の日に聖神を受けた使徒たちはローマ帝国各地に派遣され宣教しました。新しく信徒になった者たちは定期的に集まり、教えを聞き、パンをさき、祈りをささげました。使徒行実2:45-6には「毎日ひたすら心を一つにして神殿に参り、家ではパンをさき、よろこびと、まごころとをもって、食事を共にし、神をさんびした」とエルサレムの教会の様子が描かれています。ユダヤの神殿や会堂にも通いつつ、自分たちの集まりをもっていましたが、次第にユダヤ教とは袂を分かってゆきました。最初のうちは夜に集まっていましたが、まもなく早朝になりました。
異教ではご神体を入れる小さな祠と特別の祭司が一人で儀式を行う場所が宗教的な場所でしたが、キリスト教では教会は建物や社ではなく神に選ばれた信徒の集まり(エクレシア)です。「わたしたちは生ける神の神殿なのです(コリ後書6:16)」とあります。『聖なる民』の集まりである教会は、ハリストスに結ばれて神の栄光を讃めたたえます。主教または主教に任命された者のリードのもとに「一つの心一つの口で」祈りを捧げます。祈りをは教会という『共同体』の共同の仕事と理解されていました。
聖詠と歌頌と属~°の詩賦とをもって
古い映画「クオ・ヴァディス」などでは地下墓地(カタコンベ)に集まって祈っていた様子が描かれていますが、実際には各地の裕福な信徒の家を集会所にすることが多かったようです。たとえば聖使徒パウエルの手紙からローマではプリスキラとアキラの家(ローマ16:13)、コロサイではフィレモンが集会の後援者であったことがわかります(フィレモン1:1-2)。それが実証されたのが1930年にメソポタミアで発掘された『集まりの家』です。中央の中庭(アトリウム)を囲んで左側に信徒が集まって祈る場所、右側は洗礼聖堂があったといわれ、イコンの元祖ともいえるフレスコ画で飾られていました。(デュラ・エウロポスの遺跡 下図参照)
聖使徒パウエルのエフェス人への手紙(5:19)やコロサイ人への手紙(3:16)に「聖詠(詩編)と歌頌(賛歌)と属~°の詩賦(霊的な歌)*により、感謝して心から神をほめたたえなさい。」とあります。「聖詠」、「歌頌」、「属~°の詩賦」が具体的に何を指すのか区別ははっきりしません。たとえば「聖詠」といっても私たちが用いる旧約聖書の聖詠(詩編)150編に限らず創作された歌も含まれていました。
楽器を用いる異教の儀式では音楽によって恍惚状態になることも多かったために、教会は音楽の魔力を危惧し、楽器を一切排除し無伴奏の歌に限定し、教え、教義、賛美などを明確なことばに表し音楽をつけて歌いました。
最初の頃の集まりでは、指名された人がインスピレーションを受けて、讃美の歌、祈りの歌を即興で創作して賛美の歌を歌っていました。従って、地方ごと教会ごとにかなり多様な形で祈りが行われていたと推測されます。もっとも、私たち現代人が考える「歌」とはかなり異なり、メロディのついた詩の朗唱に近いものだったと思われます。歌と読みの区別は曖昧で、説教も韻が踏まれて「歌うよう」に唱えられていました(2世紀のサルディスの主教メリトンの説教)。そのほかにも、ローマ人への手紙11:33-36の「ああ、神の富と知恵と知識のなんと深いことか。だれが、神の定めを究め尽くし、神の道を理解し尽くせよう。・・・」も各行の語数や音節数がほぼ揃っていることから、歌われていたと推測されています。
右図はメソポタミアで発掘されたキリスト教徒の集まりの家です。中央の中庭を囲んで左側が集まって祈る場所、右側は洗礼聖堂であったと思われ、イコンの元祖ともいえるフレスコ画で飾られていたそうです。(デュラ・エウロポスの遺跡)
(図版:The Orthodox Liturgy P21から)
古代教会から歌い継がれている歌
第1章参考文献
『古代キリスト教典礼史』J.A.ユングマン著、石井祥裕訳、平凡社
『聖霊論』聖大バシレイオス、山村敬訳、南窓社(キリスト教歴史双書)
"A History of Byzantine Music and Hymnography,"EgonWellesz, Oxford
"The Orthodox Liturgy,"Wybrew, SVS
"Foundations of Christian Music," Edward Foley, The Liturgical Press
"Evening Worship," Nicholas Uspensky, SVS
2.ビザンティン前期 (聖歌hymnosの発展期)工事中
・大聖堂聖歌の発展
・修道院の影響
3.後期ビザンティン(カロフォニーの時代)から現代へ工事中
4.ロシア 単旋律聖歌の時代(17世紀まで)工事中
5.ロシア 合唱聖歌の時代工事中
6.日本の聖歌工事中
参考論文:ニコライ大主教と日本の聖歌
7.これからの聖歌を考える。工事中