第四編
 天軍首及び其他の無形軍の総奉事



 
 晩課

 「主よ爾に籲(よ)ぶ」に讃頌(スティヒラ)、第四調。

天軍首よ、爾等は三日光(さんにちこう)の神性の至りて光明なる前立者と現れて、上なる軍と偕に歓びて呼ぶ、聖なる哉爾父、聖なる哉同無
原の言、聖なる哉聖神゜、惟一の光栄、惟一の国、惟一の神性及び能力や。

天使長ミハイル及びガウリイルよ、爾等の容貌は火の如く、美麗は神妙なり、爾等は萬有の造成主の命(めい)を行ひて、無形の性を以て極(き
ょく)を騖(は)す、能力に於て爾等は強き者と知られ、爾等の聖なる名に縁(よ)りて尊まるる聖堂を爾等醫治(いやし)の泉と為し給ふ。

録(しる)されし如く、爾の使者を以て風と為し、爾に役(えき)する者を以て火焔(かえん)と為す、主言よ、爾は天軍首ミハイル及び天使長ガウ
リイル、爾の命(めい)に従ふ者、敬畏(おそれ)を以て爾の光栄に三聖の歌を奉る者を爾の天軍の中に第一の者と顕し給へり。

  光栄、第六調。

天軍の首長等皆我等と偕に喜べ、蓋爾等の前立者にして我等の轉達者たる大なる天軍首は、今日其尊貴なる聖堂に至栄に現れて、成聖
を施す。故に我等職として彼等を歌頌して呼ばん、至大いなる天使首よ、爾等の翼の庇廕(おほひ)にて我等を覆(おほ)ひ給へ。

  今も、生神女讃詞。

童貞女の会は皆我等と偕に喜べ、蓋我等の轉達者と代求者、庇護(おほひ)と大なる避所(かくれが)は今日其尊貴神聖なる聖堂に於て憂ふ
る者を慰め給ふ。故に我等職として彼を歌頌して呼ばん、至浄なる女宰生神女よ、爾の神聖なる轉達にて我等を覆ひ給へ。

  聖入。本日の提綱(ポロキメン)。喩言(パリミヤ)三篇。

  イイスス ナワィンの記の讀 五章

イイスス イエリホンの邉に在りし時―(第三巻百六十一頁二百五十二喩言をうつす)

  士師記の讀 六章

彼の日マディアム民イズライリの諸子を―(第三巻百六十二頁二百五十三喩言をうつす)

  イサイヤの預言書の讀 十四章

主是くの如く言ふ、全地は歓びて呼ぶ、―(第三巻百六十四頁二百五十四喩言をうつす)

  挿句(くづけ)に讃頌(スティヒラ)、第一調。

神゜霊の軍の首長等、常に主宰の宝座の前に立てる者よ、世界に平安、我等の霊に大いなる憐れみを賜はんことを主に祈り給へ。

句 爾は其使者を以て風と為し、其役者(えきしゃ)を以て火焔(かえん)と為す。

上なる軍の首長、神聖なる会の前立者ミハイル、常に我等と偕に行きて、衆を悪魔の諸々の危難より護る者は、今日我等を慶賀に聚(あつ)
め給へり。祭祀(まつり)を愛する者及びハリストスを愛する者よ、来りて、諸徳の花を採り、浄(きよ)き思ひと平安なる良心とを以て天使首の会
を尊まん、蓋彼は常に神の前に立ち、三聖の歌を詠(うた)ひて、我等の霊の救はれんことを祈る。

句 主の悉くの天使よ、彼を讃め揚げよ、其悉くの軍よ、彼を讃め揚げよ。

無形なる神゜霊の軍を司どりて、三日光(さんにちこう)の光栄の煇煌(かがやき)を以て世界を照す天軍首よ、爾等は絶えざる声を以て三聖の
歌を詠(うた)ふ、故に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

  光栄、今も、第八調。

軍長及び保護者にして、諸天使の元帥たる光栄なる天軍首よ、我等忠信に爾を歌頌して、爾に祈る者を凡の患難と憂愁、諸病と諸罪より免
れしめ給へ、無形の者にして明(あきらか)に無形の事を見、主宰の光栄の近づき難き光を以て照されて、我等の為に主に祈り給へ、蓋彼は仁
愛に由りて人間を救はんと欲して、我等の為に童貞女より身を取り給へり。

  讃詞(トロパリ)、第四調。

天軍の首長よ、我等不当の者は常に爾等に祈る、爾等の祈祷を以て、其無形の光栄の翼の庇廕(おほひ)にて我等を防ぎて、護り給へ、蓋
我等熱切に俯伏して呼ぶ、上なる軍の首長として、我等を危難より救ひ給へ。

  光栄、今も、生神女讃詞、或は十字架生神女讃詞。

  早課

  「主は神なり」に同上の讃詞(トロパリ)、二次。

  光栄、今も、生神女讃詞。

  第一の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第六調。

ハリストスよ、天使の軍は爾の宝座の前に立ちて、人類の為に祈る、彼等の祈祷に由りて衆人に平安を與へて、異邦民の強暴を制し給へ。二


  光栄、今も、生神女讃詞。

生神女よ、爾は天使首の言に因りて、父及び聖神゜と同無原なる言を胎内に孕みて、ヘルワィム、セラフィム、及び宝座より更に上なる者と現れ
給へり。

  第二の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第六調。

天使の衆軍よ、萬有の王の宝座の四周(まはり)に在りて常に楽しみて、我等信を以て爾等を呼ぶ者を護りて、苦難より脱れしめ給へ。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

永貞童女、言ひ難く爾の内に入りて、爾より出で給ひし神の為に啓かれたる門よ、慶べ。

  「主の名を讃め揚げよ」の後に附唱。

天使首と差役(さえき)と諸天軍、ヘルワィムとセラフィム、主を讃栄する者よ、我等爾を讃揚す。

  又は

天使首、差役、首領、権柄、宝座、主制、能力及びヘルワィム、畏るべきセラフィム、主を讃栄する者よ、我等爾を讃揚す。

  抜粋聖詠

「我心を盡して爾を讃栄し、」

  多燭詞(ポリエレイ)の後に坐誦讃詞(セダレン)、第六調。

神の光明なる天使及び天使首、恩寵の神聖なる宝座の前に立ちて、神の光より真実の謙遜と誠の光照とを受くる者よ、在天の仁愛者と偕に
我等を眷みて、世君(せくん)の起す劇(はげ)しき暴風(あらし)の中に難を受け、幽暗(くらやみ)の中に寝(い)ぬる我等を援(たす)けん為に来
りて、我等を悪の魁(かしら)たる敵の網より脱れしめ給へ、讃美たる者よ、我等皆爾の帲幪(おほひ)に趨り附けばなり。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

至善なる生神女、世界の轉達者、爾に趨り附く者の恃頼(たのみ)と、帲幪(おほひ)と、避所(かくれが)、獨祝福せられし者よ、爾が生みし仁
愛なる神に無形軍と偕に我等の霊の凡の患難より救はれんことを熱切に祈り給へ。

  品第詞(ステペンナ)、第四調の第一倡和詞(アンティフォン)。

  提綱(ポロキメン)、第四調。

爾は其使者を以て風と為し、其役者(えきしゃ)を以て火焔(かえん)と為す。

句 我が霊よ、主を讃め揚げよ、主我が神よ、爾は至りて大いなり。

  「凡そ呼吸ある者。」 福音経は巻末に載す。

  光栄 「憐れみ深き主よ、天使首の祈祷に依りて。」

  今も 「憐れみ深き主よ、生神女の祈祷に依りて。」

  第五十聖詠の後に讃頌(スティヒラ)、第六調。

ハリストスよ、爾の天使等、寅畏(おそれ)を以て爾の厳(おごそか)なる宝座の前に立ち、常に爾の光に照さるる天上の爾の歌頌者、及び爾の
旨の役者(えきしゃ)は、爾より下(しも)に遣されて、我等の霊に光照を施す。

  規程(カノン)、第六調。

  第一歌頌

イルモス 人々よ、イズライリを奴隷より釈きたる我が奇異なる神に讃詠を献(たてまつ)りて、凱歌(かちうた)を歌ひて呼ばん、我等爾惟一の主
宰を歌頌せん。

我等衆信者は上なる会の悉くの無形の首長等を司(つかさど)る造られざる三者を歌ひて呼ばん、聖、聖、聖なる哉神全能者や。

諸天使の造成主よ、爾は造成の始(はじめ)たる無形の者、爾の至浄なる宝座を繞(めぐ)れる会をして爾に呼ばしむ、聖、聖、聖なる哉神全
能者や。

神が人体を取る秘密の実見者たるガウリイル、及び無形軍の前立者たるミハイルは、常に喜びて呼ぶ、聖、聖、聖なる哉神全能者や。

  生神女讃詞

ハリストスよ、我爾の寛容の秘密に戦く、蓋爾は性に於て神にして、人の如く童貞女より生れんことを甘んじ給へり、世界を敵の奴隷より救はん
為なり。

  第三歌頌

イルモス 主よ、爾を畏るる畏を爾の諸僕の心に入れて、我等実に爾を籲(よ)ぶ者の為に堅固(かため)と為り給へ。

不死の主よ、爾は至高き所に常に爾の前に立てる、能力(ちから)の強き者を爾の至聖なる旨を行ふ者と為し給へり。

ハリストスよ、爾が人体を取ること、及び尊き復活の秘密の実見者たる天使の首長等、我等の為に祈る者を納(い)れ給へ。

ハリストスよ、爾は慈憐なるに因りて、天使等を人人に守護者として添はしめて、爾の悦(よろこび)を為す者の救に役(えき)する者と現し給へり


  生神女讃詞

神の聘女(よめ)よ、爾は言ひ難く主及び救者を孕み給へり、彼は我等実に爾を籲(よ)ぶ者を諸難より救ひ給ふ。

  坐誦讃詞(セダレン)、第八調。

天軍の宰(つかさ)、神の光栄の畏るべき高座の前立者たる天軍首ミハイル及びガウリイル、主宰の役者(えきしゃ)よ、悉くの無形の者と偕に常
に世界の為に祈りて、我等が審判の日に於て罪の赦し、及び慈憐と恩寵とを獲んことを求め給へ。二次

  光栄、今も、生神女讃詞。

我は悪(あ)しくして不法なる行(おこなひ)の多きに因りて憂悶(もだえ)の淵に陥り、倦みて今望(のぞみ)を失へり、女宰生神女よ、爾我を援け
、爾我を救ひ給へ、蓋爾は罪なる者の潔浄(きよめ)と拯救(すくひ)なり。

  十字架生神女讃詞

至浄なる童貞女よ、爾は潔き爾の血より身を取りて、悟り難く爾より生れし者が木の上に罪犯者の間に懸れるを見て、心傷(いた)み、母として
哭きて呼べり、嗚呼、我が子よ、爾が己の造物を活かし給ふ爾の神聖なる定制は何ぞ言ひ難き、我爾の慈憐を歌ふ。

  第四歌頌

イルモス 主よ、爾は爾の馬たる使徒に乗りて、爾の手に其轡(たづな)を執れり、爾の乗るは、信を以て、主よ、光栄は爾の力に帰すと歌ふ者
の為に救ひと為れり。

人を愛する主よ、爾は天使等に馬の如く乗りて、爾の手に其轡(たづな)を執れり、爾の乗るは、常に主よ、光栄は爾の力に帰すと呼ぶ者の為
に救ひと為れり。

人を愛する無原の主よ、爾の徳は天使等を蔽(おお)ひ、地の極(はて)を爾の神聖なる讃美にて盈(み)つ、故に地は彼等と偕に爾に呼ぶ、主
よ、光栄は爾の力に帰す。

慈憐の深きハリストスよ、爾は人人の救ひの為に出でて、爾の友たる天軍を呼び集む、爾の降臨は信を以て、主よ、光栄は爾の力に帰すと呼ぶ
者の為に楽しみと為れり。

  生神女讃詞

至りて潔き者よ、爾は性に超えて童貞女及び母と現れたり、蓋神亦(また)人たるハリストスを生み給へり、彼に天使の軍は寅畏(おそれ)を以て
呼ぶ、主よ、光栄は爾の力に帰す。

  第五歌頌

イルモス 無知の夜(よ)より神を知る知識にて四極を照しし主よ、爾の仁愛の朝にて我を照し給へ。

ハリストスよ、天使の軍は変らざる望みを以て常に高きに、悉くの望みの極(かぎり)なる爾に挙げられて、絶えず爾を讃栄す。

測り難きハリストスよ、爾は己の像に循(したが)ひて諸天使を造りて、性に籍(よ)りて霊智にして、爾の恩寵に籍(よ)りて不朽なる爾の威厳の
歌頌者と為し給へり。

ハリストスよ、爾は己の役者(えきしゃ)を爾に近づくを以て悪に傾け難き者として護れり、蓋爾は仁慈の泉にして、宜しきに合(かな)ひて爾に務
むる者に恩恵を賜ふ。

  生神女讃詞

生命の守護者を生みし至りて無玷(むてん)なる者よ、汚(けがら)はしき慾に殺されたる我が霊を活かして、永久の途(みち)及び福たる生命に
向はしめ給へ。

  第六歌頌

イルモス 主よ、爾は獨イオナを鯨の中に入れたり、我敵の網に捕はれたる者を、彼を淪亡(ほろび)より救ひし如く救ひ給へ。

主よ、爾は神に適ふが如く、爾の言を以て天の不死の軍を無より有と現して、光れる者と為し給へり。

無形の者、真(まこと)に神聖なる天の幕の住者は、宜しきに合(かな)ひて造物主に務めて、神の至栄なる秘密の尊き実見者と為れり。

無原なる神の子よ、無形の者の霊智なる軍は爾を萬有の造物主及び造成主として常に讃美讃栄す。

  生神女讃詞

至浄なる者よ、爾は永遠に父と偕に至高きに坐する主を己の手に抱くに勝ふる者と為り給へり、潔き者よ、彼を我等爾の諸僕に慈憐なる者と
現し給へ。

  小讃詞(コンダク)、第二調。
 
神聖なる光栄の役者(えきしゃ)、諸天使の宰、人人の教導者たる神の天軍首等よ、我等に益ある事と大いなる憐れみとを求め給へ、爾等は
無形の軍の首長なればなり。

  同讃詞(イコス)

慈愛なる不死の主よ、爾は其書に、天には一(ひとり)の悔い改むる人の為に衆(おほ)くの天使は喜ぶと云へり、故に獨罪なくして人の心を識る
主宰よ、我等不法の中に在る者は常に毅然として爾慈憐なる主に祈祷して、我等不当の者を憐みて、傷感の情と赦免とを賜はんことを求む、
無形の軍の首長は我等衆の為に爾に祈ればなり。

  第七歌頌

イルモス エウレイの少者は爐(いろり)に在りて勇ましく焔(ほのほ)を踐み、火を露に変じて籲(よ)べり、主神よ、爾は世世に崇め讃めらる。

仁慈なる主よ、爾は天使等の物質ならざる性を光と顕せり、彼等は常に言ひ難き光に満てられて呼ぶ、主神よ、爾は世世に崇め讃めらる。

天使の萬萬は常に神の前に立ちて奉事し、其顔(かんばせ)を見るに勝(た)へずして呼ぶ、主神よ、爾は世世に崇め讃めらる。

神よ、爾は己の実在の言を以て天使の性を造り、聖なる神゜を以て之を聖にして、三者を世世に崇め讃めんことを教へ給へり。

  聖三者讃詞

我等三位を思ひて、像(かたど)り難き性、父、言、及び神゜を讃栄して呼ぶ、主神よ、爾は世世に崇め讃めらる。

  第八歌頌

イルモス 聖なる山に光栄を顕し、棘(いばら)の中に火を以てモイセイに永貞童女の奥密を示しし主を歌ひて、萬世に崇め讃めよ。

我等は天使の度生に效(なら)ひ、思ひを高きに騁(は)せて、彼等と偕に神゜を以て歌頌して、主を歌ひて、萬世に崇め讃めん。

天上に慶賀する天使等は光栄の宝座を繞(めぐ)り、常に神の側(かたはら)に在りて、彼を歌ひて、萬世に崇め讃む。

常に高きに役する者を以て無形の火焔(かえん)と為し、天使を以て風と現す聖三者に我等伏拝して、萬世に讃栄す。

  生神女讃詞

生神女よ、天使及び天使首の萬萬が天上に戦(おのの)きて前に立つ所の主を、爾は手に抱くに勝(た)ふる者と為れり、彼を萬世に讃栄する
者の救はれんことを祈り給へ。

  第九歌頌

イルモス 生神女よ、爾は性の法則に超えて、造成者及び主を孕みて、世界の為に救の門と為り給へり、故に我等常に爾を崇め讃む。

ハリストスよ、我等爾言ひ難く天の者に地の者を合せ、天使等及び人人を一(ひとつ)の教会と為しし主を常に崇め讃む。

諸天使と天使首、宝座、権柄と主制、首領と能力、ヘルワィムとセラフィムよ、生神女と偕に世界の為に祈り給へ。

衆の轉達者と現るるミハイル及びガウリイルよ、愛を以て爾等の至りて悦ぶべき記憶を尊みて、熱信に歌頌する者を眷(かへり)みて、諸々の危
難より救ひ給へ。

生神女讃詞

聖なる神の聘女(よめ)よ、慶べ、信者の為に世界の光を生みし者よ、慶べ、我等衆の城恒(かき)及び帲幪(おほひ)よ、慶べ、恩主たる神に
我等の為に常に祈り給へ。

  光耀歌

火の状(さま)なる役者(えきしゃ)の軍首ミハイルよ、爾は光の父より前立者の位を受けたり、故に無形の品位の中に第一の者として、至浄なる
宝座の側(かたはら)に立ちて、其光栄の光を以て耀き給ふ。

  生神女讃詞

無形者の品位は爾の産を尊む、蓋爾は獨地上の者を喜に盈(み)て給へり。故に我等信者は爾純潔なる者を讃栄して歌を以て崇め讃む、爾
は幽闇(くらやみ)に在る者に旭日(あさひ)の如く光を耀かしたればなり。

  「凡そ呼吸ある者」に讃頌(スティヒラ)、第二調。

形而上の宝座を環(めぐ)れる神聖なる無形の軍、霊智なる者よ、爾等は火焔(かえん)の口を以て宰(つかさ)たる神に三聖の歌を詠(うた)ふ
、聖なる哉神、無原の父、聖なる哉勇毅、同無原の子、聖なる哉常生の者、同一性なる神゜、父及び子と共に讃栄せらるる主や。二次

主よ、天使の軍は無形の唇と神゜霊の口とを以て息(や)めざる歌を爾の近づき難き神性に献(たてまつ)る、主宰よ、爾の光栄の役者(えきしゃ
)たる潔き霊智者は爾を讃め揚ぐ、彼等と偕に無形なるミハイル、至りて美(うるは)しきガウリイル、及び上なる軍の前立者たる天軍の諸長は今
日我等の饗應者(きょうおうしゃ)と為れり。人を愛する主よ、彼等は我等に爾の近づき難き光栄に歌を詠(うた)はんことを命じ、且我が霊の為に
息(や)めずして爾に祈る。

  第四調

ハリストス神よ、ヘルワィム等は火焔(かえん)の唇を以て歌ひ、天使首の会は無形の口を以て黙(もだ)さずして爾を讃栄し、上なる軍の首長ミ
ハイルは息(や)めずして凱歌を爾の光栄に奉る、彼は今日我等を光明なる慶賀に聚(あつ)めて、塵の唇を以て宜しきに合(かな)ひて讃美の
歌を爾に捧げんことを勧む、蓋萬有は爾の讃栄に盈(み)てられたり、爾は之に由りて世界に大なる憐れみを賜ふ。

  光栄、第五調。

天使首よ、爾の恩寵の蔭(おほ)ふ所には彼所より悪魔の力は逐はる、蓋墜ちたる晨(あさ)の星は爾の光を見るに忍びず、故に我等爾に祈る
、讃美すべき天軍首(某)よ、彼が我等に射る所の火箭(ひや)を爾の轉達を以て滅(け)して、我等を其諸(もろもろ)の誘惑(いざなひ)より免
れしめ給へ。

  今も、生神女讃詞。

生神童貞女よ、我等信者は職として爾動(うごき)なき城、壊(やぶ)れざる垣、堅固なる轉達、及び我等の霊の避所(かくれが)を讃美して、
爾を讃栄す。

  十字架生神女讃詞

昔牝羊は己の羔(こひつじ)が宰(ほふり)の為に往くを見て、熱切に従ひて、斯く彼に呼べり、吾が甘愛なる子ハリストスよ、何所(いづこ)にか往
く、恒忍(ごうにん)なる者よ、何ぞ斯く急ぐ、至愛なるイイスス、無罪の者、大仁慈なる主よ、我爾の婢(しもめ)に言を語(つ)げよ、吾が最(いと
)愛すべき子よ、我奇異に爾を生みし者を黙(もだ)して遺す勿(なか)れ、爾は世界に大なる憐を賜ふ至りて仁慈なる神なり。

  挿句(くづけ)に、光栄、第四調。

神の光の至りて明(あきらか)なる光線に輝かさるる天軍首よ、爾等は至(いと)高きに純白なる光と現れて、無形の軍を照し、且世界に近づき
難き神性の火を輝かす。故に又火焔(かえん)の口を以て絶えず三聖の歌を詠(うた)ふ、聖、聖、聖なる哉我が神や、光栄は爾に帰す。

  今も、生神女讃詞。

至浄なる生神女、萬衆の女王、正教者の誉れよ、異端者の驕りを破りて、彼等爾の尊き聖像に伏拝せず、之を尊まざる者の面(おもて)を辱
かしめ給へ。

  十字架生神女讃詞。

至浄なる者は人を愛する主ハリストスの十字架に釘せられ、戈(ほこ)にて脋(わき)の刺さるるを見て、哭きて呼べり、吾が子よ、此れ何ぞ、恩を
知らざる民は爾が彼等に為しし善に易へて何をか爾に報いたる、至愛なる者よ、胡為(なんす)れぞ我を子なき者として遺す、慈憐なる主よ、我
爾が甘じて受くる釘殺(ていさつ)を奇とす。


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