第二十六編
廉施者 奇跡者の総奉事
晩課
「主よ爾に籲(よ)ぶ」に讃頌(スティヒラ)、第四調。
捧神なる廉施者(某)、我等の霊の為の祈祷者よ、爾等は属神゜の水に川の如く満てられて、神徴(しんちょう)と治療(ぢりょう)の至栄なる恩賜とを以て造物に飲ませて、霊を害する諸慾を涸らし、諸病を醫(いや)し、悪鬼を遠ざけ給ふ。
聖なる者よ、爾等は霊の力を以て無知の諸慾を制して、ハリストスより醫治(いやし)の恩賜に富まされて、人人と家畜とに恩を施し給ふ。故に我等は爾等の聖にせられし光明なる慶賀を行ひて、我等の霊の為に潔浄(きよめ)を求む。
至福なる(某)、至栄なる(某)、主の役者(えきしゃ)我等の霊の為の祈祷者よ、爾等の聖なる殿は光明にして救ひを施す天の如くなり、爾等の神聖なる醫治(いやし)の奇跡は星の如く光り、此等に由りて神の恩寵は日の如く輝く。
もし之あらば、自調。光栄、第八調。
孰(たれ)か睿智にして至栄なる廉施者の奇跡に驚かざらん、孰(たれ)か之を讃栄せざらん、孰(たれ)か熱心に歌はざらん、蓋彼等は其聖なる逝世の後にも、信を以て趨り附く衆に饒(ゆたか)に醫治(いやし)を賜ふ、彼等の尊き聖躯も醫治(いやし)の恩寵を流す。嗚呼聖なる二人(ににん)や、嗚呼尊き首(こうべ)や、嗚呼神より爾等に賜はりし恩寵の睿智と光栄や。故に我等は歌を以て我が霊体の醫治(いやし)の為に彼等を現しし恩主神を讃栄す。
今も、生神女讃詞
全地の誉れよ、慶べ、主の殿よ、慶べ、樹蔭の繁き山よ、慶べ、衆人の避所(かくれが)よ、慶べ、純金の燈台よ、慶べ、正教者の光栄なる尊き者よ、慶べ、楽園よ、慶べ、神聖なる筵(えん)よ、慶べ、幕よ、慶べ、黄金(こがね)の壺よ、慶べ、衆人の倚頼(たのみ)よ、慶べ、ハリストス神の母マリヤよ、慶べ。
十字架生神女讃詞
潔く爾主を生みし者は爾が十字架に懸けられたるを見て、側(かたはら)に立ち哭きて言へり、子よ、何ぞ身にて此の苦しみを受けて、我を子なき者と為さんと欲する、速やかに光栄を受けよ、我が爾の苦しみに因りて讃揚せられん為なり。
もし多燭詞(ポリエレイ)を以て祭を行はば、復活の生神女讃詞を誦すべし。
天の王は人を愛するに因りて地に現れ、人と偕に在(いま)せり、蓋浄き童貞女より身を取り、人の性を有ちて生れし者は、二つの性にて一つの位(くらい)ある獨一子なり、故に我等彼が実に全き神及び全き人なるを伝へて、ハリストス吾が神を承け認(みと)む、夫を識らざる母よ、我が霊の憐れみを蒙らんことを彼に祈り給へ。
聖入。本日の提綱(ポロキメン)。致命者の喩言(パリミヤ)三篇、巻末に載す。
挿句(くづけ)の讃頌(スティヒラ)、第一調。
聖なる廉施者、至りて光明なる燈(ともしび)、没せざる星たる者よ、爾等は恩寵と高尚なる度生の諸徳とを以て天に似たる者と為りて、奇跡の光にて全地を照し給へり。
句 地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我専ら之を慕ふ。
雨を生ずる最(いと)麗しき雲たる主の致命者よ、爾等は饒(ゆたか)に流るる恩寵の奇跡を以て無形に全地を潤して、感謝の歌を神に捧ぐることを勧め給ふ。
句 兄弟(けいてい)睦ましく居るは善なる哉、美なる哉。
主の致命者よ、爾等は霊と体との苦しみを醫(いや)さん為に神より實(まこと)に醫術を受けて、性に超えて、人為の治療にあらずして、神の吹嘘(いき)にて衆を醫(いや)し給ふ。
光栄、第四調。
聖なる廉施者(某)よ、爾等は醫治(いやし)の泉を有ちて、凡そ求むる者に醫治(いやし)を賜ふ、常に流るる泉たる救世主ハリストスより至大なる恩賜を獲たればなり、蓋主は諸使徒の同労者たる爾等に謂へり、視よ、我爾等に汚鬼を制して、之を逐ひ出(いだ)し、又諸々の病諸々の疾(わずらい)を醫(いや)さん為に権を与へたりと、故に爾等は彼の命(めい)を行ひて善く度生して、費(つひえ)なく受け、費なく与えて、我等の霊体の苦痛を醫(いや)し給ふ。
今も、生神女讃詞。
至りて玷(きず)なき者よ、爾の諸僕の祈祷を顧みて、堪え難き攻撃を我等より退け、諸々の愁苦(うれひ)を我等より遠ざけ給へ、我等は爾を一つの堅固なる恃むべき錨(いかり)として有ち、爾の転達を得たればなり。女宰よ、願はくは我等爾を呼ぶ者は恥を蒙らざらん、速やかに我が切なる祈りを應へ給へ、蓋我等中心より爾に籲(よ)ぶ、女宰、衆人の佑助(たすけ)と、歓喜(よろこび)と、庇護(おおい)と、我等の霊の拯救(すくひ)なる者よ、慶べ。
もし多燭詞(ポリエレイ)を以て祭らずば、左の生神女讃詞を誦せよ。
至浄なる生神女、萬衆の女王(にょおう)、正教者の誉れよ、異端者の驕りを破りて、彼等爾の尊き聖像に伏拝せず、之を尊まざる者の面(おもて)を辱かしめ給へ。
十字架生神女讃詞
至浄なる者は人を愛する主ハリストスの十字架に釘せられ、戈(ほこ)にて脇の刺さるるを見て、哭きて呼べり、吾が子よ、此れ何ぞ、恩を知らざる民は爾が彼等に為しし善に易へて何をか爾に報いたる、至愛なる者よ、胡為(なんす)れぞ我を子なき者として遺す、慈憐なる主よ、我爾が甘んじて受くる釘殺を奇とす。
讃詞(トロパリ)は奉事例に据る。もし奉事例になくば、左の讃詞(トロパリ)を誦せよ。第八調。
聖なる廉施者及び奇跡者よ、我等の不能を顧み給へ、價(あたひ)なく受けて、價(あたひ)なく我等に施し給へ。
光栄、今も、生神女讃詞、或は十字架生神女讃詞。
早課
「主は神なり」に讃詞(トロパリ)同上。
第一の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第二調。
光栄なる(某)よ、爾等は謙遜を以て地上に生(いのち)を送りて、大いなる恩寵を獲たる者と為り、遍(あまね)く巡りて、病者の疾(わづらひ)と苦しみとを醫(いや)して、天使等の対話者と為り給へり。忠信にして善美なる兄弟(けいてい)よ、爾等の祈祷を以て我等の苦痛をも醫(いや)し給へ。二次
光栄、今も、生神女讃詞。
慈憐の泉なる生神女よ、我等に憐みを垂れ、罪なる人を顧みて、恒の如く爾の力を顕し給へ、蓋我等は爾を恃み、天軍首ガウリイルに倣ひて爾に呼ぶ、慶べよ。
第二の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第一調。
ハリストスの受難者(某)よ、信を以て爾等に来たる我等の為に祷り給へ、蓋爾等は己の祈祷を以て醫治(いやし)の恩寵を施して、多くの病を逐ひ給ふ、我等の生命(いのち)の守護者なればなり。二次
光栄、今も、生神女讃詞。
至浄なる生神女、天に祝讃せられ、地に讃栄せらるる聘女(よめ)ならぬ聘女よ、慶べ。
「主の名を讃め揚げよ」の後に附唱。
光栄なる奇跡者(某)よ、我等は爾等を讃揚して、爾等がハリストスの為に忍びし尊貴なる苦しみを尊む。
抜粋聖詠
「神は我等の避所なり、能力なり。」
多燭詞(ポリエレイ)の後に坐誦讃詞(セダレン)、第五調。
今日受難者(某)の慶賀は耀けり、蓋彼等は天より光を放ち給ふ、天使の会は祝ひ、人の族(やから)も共に祭る、故に彼等は我等の霊の為に祷り給ふ。二次
光栄、今も、生神女讃詞。
奇異なる童貞女の奥密は全世界の為に救ひと現れたり、彼より生れ給ひし歓喜(よろこび)なる主よ、光栄は爾に帰す。
品第詞(ステペンナ)、第四調の第一倡和詞(アンティフォン)。
提綱(ポロキメン)
地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我専ら之を慕ふ。
句 我恒に主を我が前に見たり、蓋彼は我が右にあり、我が動かざらん為なり。
「凡そ呼吸ある者。」
福音経は巻末に載す。
第五十聖詠の後に讃頌(スティヒラ)、第一調。
致命者(某)の光明華美にして至りて欣ばしき聖なる記憶は全地を照し、罪の暗(やみ)を逐ひ、醫治(いやし)の恩寵を流す。
規程(カノン)、第八調。
第一歌頌
イルモス 苦しむるファラオンを海に溺らし、イズライリを乾ける地にて導きしハリストスに歌はん、彼世世に光栄を顕したればなり。
我等は恩寵を以て衆の病を醫(いや)す廉施者医師たる(某)を全世界に現し給ひし贖罪主及び救世主ハリストスを歌はん、彼世世に光栄を顕したればなり。
聖なる者は属神゜の恩寵より奇跡の川を流して、諸病を醫(いや)し給ふ、我等信者は彼等に此の権を賜ひし主を崇め讃めん、彼世世に光栄を顕したればなり。
廉施者医師よ、神に祈祷を奉りて、我等を諸々の誘惑(いざなひ)、多くの憂ひ、及び彼(か)の時の畏るべき苦しみより脱れしめんことを祷り給へ。
生神女讃詞
憂ふる者の保護者、望みを失ふ者の救ひ及び恃みなる讃美たる生神女よ、常に我等を諸難より脱れしめんことをハリストスに祷り給へ。
第三歌頌
イルモス 我が心は主に縁りて堅められ、我が角(つの)は我が神に縁りて高くなり、我が口は我が敵に向ひて開け、我は爾の救ひの為に楽しめり。
爾の聖者(某)を地上の者に全世界を照す奥密なる光線として現しし主よ、我等の上にも爾の仁慈を現し給へ。
爾等は神より費(つひえ)なく恩賜を受けたる者として、主我が神の言に従ひて、又費(つひえ)なく醫治(いやし)を施し、悪鬼を逐ひ給ふ。
聖なる奇跡者、医師、諸天使と並び立つ者よ、世界は常に爾等の多くの恩賜と多くの奇跡とを歌ふ。
生神女讃詞
至浄なる者よ、我等は爾地上にダワィドより出でて、爾より身を取りし神を生みし者を幕と宝座、及び神の門として崇め讃む。
坐誦讃詞(セダレン)、第四調。
受難者(某)、(某)、全地の燈(ともしび)なる者よ、爾等は下(しも)に引く逸楽を踏みて、欣ばしく致命の神聖なる高度(たかき)に升り給へり。故に我等祈る、萬有の上に在る神に祈祷を奉りて、我等を諸罪と諸病との暗(やみ)より脱れしめ給へ。
光栄、今も、生神女讃詞。
生神童貞女よ、爾は我等「ハリスティアニン」の為に破られぬ垣なり、蓋我等は爾に趨り附きて害なくして止まり、復(また)罪を犯せば、爾を祈祷者として有つ。故に感謝して爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者よ、慶べ、主は爾と偕にす。
十字架生神女讃詞
無玷(むてん)なる童貞女、ハリストス神の母よ、爾が己の子及び神の甘んじて釘せらるるを見し時、剣は爾の至聖なる霊を貫けり。至りて讃美たる者よ、我等に諸罪の赦しを賜はんことを絶えず彼に祈り給へ。
第四歌頌
イルモス 言よ、預言者は奥密に爾が童貞女より身を取ることを預見して、歌を以て呼べり、主よ、光栄は爾の能力(ちから)に帰す。
救世主我等の神は奇異なる哉、蓋彼の聖者の白骨は柩に臥して、世界の中に驚くべく畏るべき奇跡を行ふ、主よ、光栄は爾の力に帰す。
聖なる者よ、爾等は地上の諸事を朽つべき者として棄てて、シオンを嗣ぐ者及びハリストスの国に適う人民と為り給へり。
病者の医師、廉施者(某)よ、爾等は宜しきに合(かな)ひて地上に崇め讃めらる、蓋逝世の後にも衆を諸病より解き給ふ。
生神女讃詞
神の光栄の幕よ、慶べ、火の状(さま)の宝座よ、慶べ、樹蔭の繁き山、石たるハリストスが是より斫られたる者よ、慶べ。
第五歌頌
イルモス 主よ、我等夙(つと)に興(お)きて爾に籲(よ)ぶ、我等を救ひ給へ、爾は我等の神なればなり、爾の外(ほか)他(た)の神を知らず。
廉施者(某)よ、爾等は神より権を受けて、凡そ患(わづら)ふ者の病を醫(いや)し給ふ。
聖なる役者(えきしゃ)よ、爾等は主の大いなる恩賜を受くるに勝ふる者と為りて、価(あたひ)なく衆を醫(いや)し給ふ。
我等の救世主よ、爾の聖なる役者(えきしゃ)(某)の祈祷に由りて、爾の慈憐を全世界に垂れ給へ、爾は仁慈なる主なればなり。
生神女讃詞
生神女よ、我等爾を産の後に童貞女として崇め讃む、爾は世界の為に身にて神の言を生みたればなり。
第六歌頌
イルモス ハリストス神よ、祈る、預言者を最(いと)下(しも)なる深処(ふかみ)より脱しし如く、我をも吾が諸罪より脱して、我が生命(いのち)を理(おさ)め給へ、爾人を愛する主なればなり。
廉施者よ、爾等は世の海の淵を暴風(あらし)に悩まさるるなく渡りし者として、敬虔に救ひの港に、上なる国に着き給へり。
常に流るる泉たる聖なる廉施者よ、爾等は奇跡の恩寵を流して、諸病を逐ひ給ふ、我等の霊の為に祷り給へ。
欣ばしく天に在(いま)す致命者よ、速やかに爾等の尊き殿に来たりて、我等の体の病と心の慾とを醫(いや)し給へ。
生神女讃詞
我等はヘルワィム及び凡の造物より上なる童貞女、獨造成者及び主を生みて、我等の為に楽園の門を啓きし者を崇め讃めん。
小讃詞(コンダク)は奉事例に据る。もし奉事例になくば、左の小讃詞(コンダク)を誦せよ。第二調。
至栄なる医師奇跡者よ、爾等は醫治(いやし)の恩寵を受けて、求むる者に健康を賜ふ、祈る、爾等の降臨を以て悪敵の強暴を斃(たふ)し、奇跡を以て世界を醫(いや)し給へ。
同讃詞(イコス)
睿智なる医師の言は凡の智識と智慧とに超えて、衆に睿智を与ふ、蓋至上者の恩寵を受けて、見えずして衆に健康を賜ふ。此れに由りて我にも彼等をハリストスの悦びを獲たる捧神なる役者(えきしゃ)、多くの醫治(いやし)を与ふる者として歌はん為に恩寵は賜はりたり、蓋彼等は衆を諸病より解きて、奇蹟を以て世界を醫(いや)し給ふ。
第七歌頌
イルモス 太初(はじめ)に地を基(もと)づけ、天を言にて固めし主、我が先祖の神よ、爾は世世に崇め讃めらる。
地上に睿智なる廉施者の記憶を尊栄高大(こうだい)なる者と為しし主、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
尊き二人(ににん)を衆の為に聖なる奇跡者と顕しし主、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
慈憐なる主よ、我等は廉施者の尊き記憶を行ひて、喜びを以て爾に呼ぶ、主、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
生神女讃詞
童貞女の腹に入りて、此れに縁りてアダムを新たにせし主、我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
第八歌頌
イルモス 聖なる山に光栄を顕し、棘(いばら)の中(うち)に火を以てモイセイに永貞童女の奥密を示しし主を歌ひて、萬世に讃め揚げよ。
価(あたひ)なく諸病を醫(いや)さん為に其廉施者に上より醫治(いやし)の恩賜を賜ひし主を歌ひて、世世に彼を讃め揚げよ。
聖なる者に病者の疾(やまひ)を醫(いや)し、霊の慾を治(ぢ)する恩寵を賜ひし主を歌ひて、世世に彼を讃め揚げよ。
廉施者の徳行の度生、人人に超ゆる度生を何人(なんぴと)か讃めざらん、蓋彼等は常に地上に大いなる奇跡を行へり。主を歌ひて、世世に彼を讃め揚げよ。
生神女讃詞
童貞女の腹に入りて、此に縁りて神妙に言ひ難く古きアダムを新たにせし主を歌ひて、世世に彼を讃め揚げよ。
第九歌頌
イルモス 山に於て立法者に火及び棘(いばら)の中に預象せられたる、我等信者の救ひを為す永貞童女の産を、黙さざる歌を以て崇め讃む。
聖なる廉施者(某)よ、爾等の柩は全地の良薬として啓かれたり、信者は宜しきに合(かな)ひて之に趨り附きて、皆醫治(いやし)を受く。
病める人人よ、来たりて、諸病より醫(いや)されよ、家畜も来たれ、蓋聖者の柩より奇跡の泉は流る。
天上の住処(すまひ)に居る讃美たる聖者よ、爾等は見えずして我等、爾等の殿に在りて歌を全能者に奉り、熱心に爾等を讃揚する者の間に来たりて、慈憐を施す。
生神女讃詞
生神女よ、爾は我等の垣及び武器なり、爾に趨り附く者の保護者なり、我等皆今爾に祷る、願はくは我が諸敵より救はれん。
光耀歌
奇跡を施す燈(ともしび)たる(某)及び(某)よ、主より醫治(いやし)の恩寵を受けて、我等の霊体の諸病を醫(いや)し給へ。
生神女讃詞
生神女よ、爾は神より世界に賜はりたる諸福の縁由(ゆえん)と為れり、求む、今も一般の救ひの為に寛容なる神に祷り給へ。
「凡そ呼吸ある者」に讃頌(スティヒラ)、第二調。
病む者の醫師、良薬の宝蔵、信者の救助者たる至栄なる廉施者よ、仁慈なる神に祷りて、患難に在りて呼ぶ者を助け、病者を醫(いや)し、我等を敵の網より脱れしめ給へ。二次
醫治(いやし)の泉は年毎(としごと)に唯(ただ)一人を醫(いや)ししに、廉施者の殿は病む者の大数を醫(いや)す、聖者の富は減(げん)ずるなく、竭(つ)くるなければなり。ハリストスよ、彼等の祈祷に由りて我等を憐み給へ。
聖者の会は世世に喜ぶ、蓋彼等は天の国を嗣ぎたり、地は彼等の聖躯を受けて香気を放つ、彼等はハリストスの役者(えきしゃ)と為りて、永遠の生命(いのち)に移り給へり。
光栄、第六調。
ハリストスより受けたる聖者の恩寵は限りなし、故に彼等の聖躯は神の力に由りて絶えず奇跡を行ひ、彼等の名も信を以て之を龥(よ)ぶ者の治(ぢ)し難き病を醫(いや)す。主よ、彼等に由りて我等をも霊体も苦悩より解き給へ、爾は人を愛する主なればなり。
今も、生神女讃詞。
憂ふる者の慰藉(なぐさめ)、病む者の醫治(いやし)、攻めらるる者の平安、荒らさるる者の穏静(おんせい)、獨信者の轉達者なる讃美たる生神女よ、城邑(まち)と民とを救ひ給へ。
十字架生神女讃詞
至浄なる者は爾が十字架に懸けられしを見し時、母として泣きて呼べり、吾が神、吾が甘愛なる子よ、如何ぞ爾は恥づべき苦しみを忍び給ふ。
もし挿句に光栄あらば、晩課の、今も、生神女讃詞、或は十字架生神女讃詞を誦せよ。
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