第二十二編
一人の克肖女の総奉事
晩課
「主よ爾に籲(よ)ぶ」に讃頌(スティヒラ)、第八調。
斎の勤労を忍びたる尊き母(某)よ、爾は霊体の諸病を醫(いや)し、神゜を以て汚鬼を逐ひ、凡そ憂ふる者の為に転達する恩寵を受け給へり。故に爾の祈祷を以て衆の為に醫治(いやし)と大いなる憐みとを求め給へ。
奇異にして克肖なる母(某)よ、爾の不朽体の柩は信を以て来たりて、爾の助けを求むる瞽者(めしい)に見ることを、凡の病者に癒ゆることを流す。故に爾の祈祷を以て我等の為に大いなる憐みを求め給へ。
神福なる尊き(某)よ、爾は近者(きんしゃ)の於ける矜恤(きょうじゅつ)を行ひ、醇正の教へを守り、神を愛する愛を抱きたり、故に聖神゜の恩寵は爾の内に息(いこ)へり。求む、爾の祈祷に由りて、信を以て爾を讃美する者を護り給へ。
光栄、今も、生神女讃詞。
至浄なる者よ、我等哀しみの中に在る者は爾我等の転達者に祈る、爾の諸僕に全く亡ぶるを赦す勿れ、嗚呼至聖至潔なる生神女よ、急ぎて我等を今の怒り及び憂ひより救い給へ、爾は我等の為に垣墻(かき)及び勝たれぬ助けなればなり。
十字架生神女讃詞
主宰イイススよ、童貞女及び爾の母は爾が十字架に釘せられ、甘んじて苦しみを受くるを見て呼べり、哀しい哉吾が甘愛なる子、人性の不能を醫(いや)す醫師、爾の慈憐を以て衆を滅亡(ほろび)より救ひ給ふ主よ、如何ぞ爾は非義の傷を忍ぶ。
もし之あらば、自調。光栄、第二調。
克肖女よ、爾は節制の剣(つるぎ)を以て霊の誘(いざなひ)及び体の慾を断ち、斎の勤労を以て意念の諸罪を消し、爾の涙の流れを以て野に盈てて、我等の為に痛悔の果(み)を生じ給へり、故に我等は爾の記憶を祭る。
今も、生神女讃詞
生神童貞女よ、爾の諸僕を災禍(わざわい)より救ひ給へ、我等皆爾を破られぬ垣及び転達として、神の次に爾に趨り附けばなり。
十字架生神女讃詞
無玷(むてん)なる牝羊は己の羔(こひつじ)が人の如く甘んじて屠宰(ほふり)に牽かるるを見て、哭きて云へり、ハリストスよ、爾は我爾を生みし者を今子なき者と為さんとす、萬衆の贖罪主よ、何ぞ之を為したる、然れども人を愛する主よ、我智慧と言とに超ゆる爾の至大なる仁慈を歌頌して讃栄す。
もし多燭詞(ポリエレイ)を以て祭を行はば、復活の生神女讃詞を誦すべし。
恩寵来たりて、法律の影は去れり、蓋燃ゆる棘(いばら)の焚(や)けざりし如く、童貞女は生みし後も永く童貞女なり、焔の柱の代りに義の日は出でて光る、モイセイの代りに我が霊の救者ハリストスは現れたり。
聖入。本日の提綱(ポロキメン)。克肖者の喩言(パリミヤ)三篇、巻末に載す。
挿句(くづけ)の讃頌(スティヒラ)、第一調。
(某)よ、爾は実に諸神゜父の光栄を慕ひて、不朽の光栄を愛せり、故に逸楽に離れて、爾の肉体を凡の勤労に委ね給へり、今は勤労の賞(むくい)を受けて、ハリストスと偕に王たり。
句 神よ、爾は爾の聖所に於て厳かなり。
(某)よ、爾は新郎(はなむこ)ハリストスの厳かなる華麗を慕ひて、多種の善行に由りて彼に聘定せられんと欲して、節制の勤労を以て己を飾り給へり、故に今彼と偕に其婚筵(こんえん)の宮に王たり。
句 聖人の死は主の目の前に貴し。
至尊なる者よ、爾は神聖なる港に進みて、己の霊の舟を逸楽に由りて沈めらるるなく、奥密の貨物(たから)に満てて、穏やかに世の騒擾(さわぎ)の浪を済(わた)り給へり。
光栄、第六調。
奇異なる者よ、今日爾の聖にせられし慶賀は日よりも盛んに輝きて、幽闇(くらやみ)の中に在る霊を照し、悪鬼の暗(やみ)を逐ふ。
今も、生神女讃詞。
生神女よ、爾は実の葡萄の枝、我等の為に生命の果(み)を結びし者なり、女宰よ、爾に祈る、聖使徒と共に我が霊の憐みを蒙らんことを祈り給へ。
十字架生神女讃詞
ハリストスよ、爾を生みし者は爾の釘せらるるを見て呼べり、吾が子よ、我が見る所の奥密は何ぞ驚くべき、生命(いのち)を賜ふ主よ、如何ぞ身にて木に懸けられて死する。
讃詞(トロパリ)は奉事例に据る。もし奉事例になくば、左の讃詞(トロパリ)を誦せよ。第八調。
克肖なる母(某)よ、神の像に由る者は爾の内に確かに救はれたり、蓋爾は十字架を任ひてハリストスに従ひ、過ぎ易き者たる肉体を軽んじ、不死の者たる霊のことに熱中するを行ひを以て教へたり。故に爾の神゜は諸天使と偕に喜ぶ。
光栄、今も、生神女讃詞、或は十字架生神女讃詞。
早課
「主は神なり」に讃詞(トロパリ)同上。
第一の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第五調。
克肖なる(某)よ、爾は節制の功労を修めて、雄雄しく悪謀者を斃(たお)し、忍耐を以て敬虔に生(いのち)を度りて、神に移り、今凡そ慎みて爾の聖なる慶賀を行ふ者の為に祈り給ふ。二次
光栄、今も、生神女讃詞。
純潔なる母童貞女よ、我に痛悔の光線を輝かして、我が無量の悪の暗(やみ)を散じ、我が心の邪まなる思ひを払ひ給へ。
第二の「カフィズマ」の後に坐誦讃詞(セダレン)、第四調。
克肖なる(某)よ、爾は肉体を其情(じょう)と偕に十字架に釘して、爾の全き愛を爾の不朽なる新郎(はなむこ)ハリストスに捧げたり、故に栄冠を受け、天使の品位に加へられて、爾を尊む者の為に熱切に彼に祷り給ふ。二次
光栄、今も、生神女讃詞。
罪の暴風(あらし)と不当なる思ひの惶擾(さわぎ)とは我を煩はす、純潔なる童貞女よ、仁慈なる者として慈憐を垂れて、我に援助(たすけ)の手を伸べ給へ、我が救はれて爾を崇め讃めん為なり。
「主の名を讃め揚げよ」の後に附唱。
克肖なる母(某)よ、我等爾を讃美して、爾の聖なる記憶を尊む、爾は我等の為にハリストス我が神に祈り給へばなり。
抜粋聖詠
「我切に主を恃みしに、彼我に傾きて。」
多燭詞(ポリエレイ)の後に坐誦讃詞(セダレン)、第八調。
神より預選せられたる母よ、爾は生命(いのち)の湊(みなと)に導かれて、穏やかに度生の暴風(あらし)を度り、諸天使と偕に贖罪主を歌頌して、絶えず我等の為に祷る、ハリストスが我等に恩寵と慈憐とを賜ひて、爾が勤労を以て集めし牧群を護らん為なり。二次
光栄、今も、生神女讃詞。
天使に由りて世界の歓喜(よろこび)を受けし者よ、慶べ、爾の造成者及び主を生みし者よ、慶べ、神の母と為るに堪へし者よ、慶べ。
品第詞(ステペンナ)、第四調の第一倡和詞(アンティフォン)。
提綱(ポロキメン)
神よ、爾は爾の聖所に於て厳かなり。
句 イズライリの源より出づる者よ、教会に於て主神を崇め讃めよ。
「凡そ呼吸ある者。」
克肖女の福音経、巻末に載す。
第五十聖詠の後に讃頌(スティヒラ)、第二調。「主よ爾に籲(よ)ぶ」の光栄に載す。
克肖女よ、爾は節制の剣(つるぎ)を以て霊の誘(いざなひ)及び体の慾を断ち、斎の勤労を以て意念の諸罪を消し、爾の涙の流れを以て野に盈てて、我等の為に痛悔の果(み)を生じ給へり、故に我等は爾の記憶を祭る。
規程(カノン)、第八調。
第一歌頌
イルモス 昔奇蹟を行ふモイセイの杖は、十字形に撃ちて、海を分ち、車に乗りて追い来るファラオンを沈め、徒歩(かち)にて逃るるイズライリ、神を讃め歌ふ者を救ひ給へり。
神福なる(某)よ、爾は斎を以て敬虔に度生して、諸慾を断ち、貞潔の徳に輝きて、潔き言に聘定せられて、生命(いのち)に導く其跡(あと)に従ひ給へり。
光栄なる克肖女(某)よ、爾は神聖なる諸神゜父の教へに従ひ、熱切に彼等の風習に效(なら)ひて、肉体なき者の如く、節制と、潔浄と、貞潔と、真の謙遜とを以て生(いのち)を送り給へり。
生神女讃詞
我等は神聖なる壺及び生命(いのち)の糧を載する筵(えん)、耕作せられざる田(た)、聖なる山たる生神童貞女を歌を以て讃栄せん。
第三歌頌
イルモス 主、天の穹蒼(おおぞら)の至上なる造成者、教会の建立者、冀望(きぼう)の極(かぎり)、信者の固め、獨人を愛する者よ、我を爾の愛に堅め給へ。
(某)よ、爾は全能者の選ばれたる新婦(はなよめ)と為りて、天の輝ける宮に入り、醫治(いやし)の河を注ぎて、我等の諸慾の流れを涸らし給ふ。
爾は大仁慈に由りて人体を取りしハリストスを愛する愛に熱して、生(いのち)を施す彼の言に従ひて、世上の一切の栄華を忌み給へり。
福たる(某)よ、爾は徳の金色(こんじき)の翼を獲て、浄き鳩の如く天の高きに飛び上がり給へり。
生神女讃詞
神の恩寵を蒙れる至浄なる童貞女よ、人類は爾の胎内より言ひ難く人体を取りし主の恩寵に因りて救はれたり、故に我等爾を尊みて、敬虔に讃揚す。
坐誦讃詞(セダレン)、第四調。
克肖女よ、爾は斎の聖なる功労の美(うるは)しきに飾られたる者と現れて、ハリストスの無玷(むてん)なる新婦(はなよめ)として彼と偕に不朽の宮に入りて、彼の華麗を楽しみ給ふ。求む、愛を以て爾を歌ふ我等が凡の患難より救はれんことを祈り給へ。
光栄、今も、生神女讃詞。
純潔無玷(むてん)にして婚姻に與らざる童貞女、獨 時に由らざる子及び神の言を時の内に生みし者よ、彼に神聖尊貴なる使徒、致命者、預言者、克肖者と偕に祈りて、我等に潔浄(きよめ)と大いなる憐みとを賜はんことを求め給へ。
十字架生神女讃詞
至りて無玷(むてん)なる童貞女、ハリストス神の母よ、爾が己の子及び神の甘んじて十字架に釘せらるるを見し時、剣(つるぎ)は爾の至聖なる霊を貫きたり、祝福せられし者よ、我等に諸罪の赦しを賜はんことを絶えず彼に祷り給へ。
第四歌頌
イルモス 主よ、我爾が摂理の秘密を聆(き)き、爾の作為(しわざ)を悟り、爾の神性を讃栄せり。
克肖女(某)よ、爾の光明なる慶賀は聖神゜の光にて輝きて、信を以て爾を歌ふ我等の霊を照す。
主宰を知らざる者は爾の神聖なる奇跡に由りて之を知り、之を信ずる者と為りて、迷ひの暗(やみ)を棄てたり。
(某)よ、爾は潔く肢体を殺すことと節制の勤労とを礼物としてハリストスに捧げて、其賞(むくい)として天の国と永遠の楽しみとを受け給へり。
生神女讃詞
我等の卑(ひく)くなりたる性を高く上げし主を生みたる至浄なる者よ、高ぶりて度生する我を卑(ひく)くして救ひ給へ。
第五歌頌
イルモス 主よ、我等夙(つと)に興(お)きて爾に籲(よ)ぶ、我等を救ひ給へ、爾は我等の神なればなり、爾の外(ほか)他(た)の神を知らず。
母(某)よ、爾は潔く造物主に向ひて挙げたる爾の手を以て敵の驕りを斃(たお)し給へり。
母よ、至上者は爾の右の手を取りて、爾を己の天上の楽しみに導き給へり。
最(いと)尊き(某)よ、爾は斎を以て狭き路(みち)を過(とお)りて、楽園の広きに至り給へり。
生神女讃詞
至浄なる神の母よ、爾を生神女と承け認(と)めざる者は爾より生れし光を見るを得ざらん。
第六歌頌
イルモス 光を衣の如く衣(き)る慈憐の深きハリストス我が神よ、我に光明の衣を予(あた)へ給へ。
最(いと)尊き(某)よ、爾は肉体の動きを殺し、大いに諸慾を制して、今無慾の光明なる所に居り給ふ。
光栄なる者よ、爾は救世主の像(すがた)に伏拝する風習(ならはし)を得て、爾の行ひと言とを以て彼の救ひの教へを守り給へり。
至栄なる母(某)よ、ハリストスは爾を信を以て爾に求むる者の為に生命(いのち)の雨を降らす雲と為し給へり。
生神女讃詞
至浄なる者よ、爾の子は我等の為に肉体と成りたれども、神性の華麗を以て衆人より最(いと)美(うるは)し。
小讃詞(コンダク)は奉事例に据る。もし奉事例になくば、左の小讃詞(コンダク)を誦せよ。第二調。
克肖なる者よ、爾は主を愛するに因りて世俗の安楽を厭ひ、斎を以て爾の神゜を照して、勇ましく猛獣に勝てり、求む、爾の祈祷を以て諸敵の驕りを破り給へ。
同讃詞(イコス)
我が神よ、我に言の流れを與へ、我が智慧を讃美の泉と為し、我が舌に福を降し給へ、我が爾の恩寵の栄冠にて飾られたる爾の牝羊を歌はん為なり、蓋もし爾親(みづか)ら宜しきに合(かな)ふ言を我に與へずば、如何ぞ我貧しき者は言と行ひとに富める者に礼物を捧ぐるを得ん、故に我に其功労を讃揚せん為に力を與へ給へ、蓋彼は勇ましく猛獣に勝てり、求む、彼の祈祷に由りて諸敵の驕りを破り給へ。
第七歌頌
イルモス エウレイの少者は爐(いろり)に在りて勇ましく焔を踏み、火を露に変じて籲(よ)べり、主神よ、爾は世世に崇め讃めらる。
克肖女(某)よ、爾は朽つべき栄華を顧みずして、目を注ぎて、彼処(かしこ)にある報賞(むくい)及び光、神の過ぎざる光栄と、華美と、神聖なる居処(すまい)とを見給へり。
爾は朽つべき世を天上の老いざる生命(いのち)に、暫時の楽しみを永在の楽園に、肉体の聘定者を天の新郎(はなむこ)に易へ給へり。
(某)よ、爾は神を愛する心を得て、肉体と共に諸天使に似たる者と為りて、熱切に警醒して歌へり主神よ、爾は世世に崇め讃めらる。
生神女讃詞
童貞女よ、爾は我が多くの悪が我に及ぼしし憂ひを見る、求む、我を火焔より脱れしめ給へ、蓋我呼ぶ、主神よ、爾は世世に崇め讃めらる。
第八歌頌
イルモス 神を伝ふる少者は爐(いろり)の中に焔を踏みて歌へり、主の造物は主を崇め讃めよ。
母よ、爾は潔浄の光に飾られ、潔き生命(いのち)に輝きて、爾の新郎(はなむこ)ハリストス我等の神の前に立ち給ふ。
克肖女よ、不朽にして柩に蔵(おさ)められたる爾の聖躯は人々の種々の病を醫(いや)し、悪鬼の害を逐ふ。
克肖なる母(某)よ、爾は聖にせられし祭、光明なる礼物として、馨(こうば)しき香爐の如く、萬有の主宰ハリストス我等の神に捧げられたり。
生神女讃詞
童貞女よ、爾は言に超えて不朽なる言、我等を凡の朽壊より救ふ主を生み給へり、故に我等信を以て爾を崇め讃む。
第九歌頌
イルモス 凡の者は神の言ひ難き寛容の事、如何に至上者が甘んじて肉体を取るまでに降りて、童貞女の腹より人と為りしかを聞きて、恐れざるなし、故に我等信者は至浄なる生神女を崇め讃む。
爾は新郎(はなむこ)の無形なる華麗を慕ひ、潔く彼を愛して、熱切に呼べり、爾は何処(いづこ)にか息(いこ)ふ、何処にか群(ぐん)を牧する、願はくは我爾の許に息(いこ)ひ、爾の光の中に楽しみて、爾の仁慈を崇め讃めん。
福たる(某)よ、爾は己の霊の中に睿智と謙遜と、神聖なる温柔、神に於ける疑ひなき信と望と愛とを有ちて、徹夜の祈祷を以て彼に近づきたり、故に彼処にある光照に照されて輝き給ふ。
最(いと)尊き克肖女(某)よ、今日人々集まりて、爾の此の聖なる慶賀を大いなりとせし主を讃美を以て崇め讃む、新郎(はなむこ)ハリストスの前に立ちて、此の慶賀に於て爾を記憶する我等を記憶し給へ。
生神女讃詞
童貞女より生れて、産の後に爾を生みし者を不朽に護りし神よ、坐して我が行ひを審判せん時、我を宥め給へ、仁慈にして人を愛する神として、我が不法と諸罪とを顧みること勿れ。
光耀歌
人々に恥を蒙らする誘惑者を免れて、其謀(はかりごと)の無智なるを顕しし克肖女(某)、貞潔者の華麗、修道女の装飾なる者よ、爾は霊と体とには童女にして、智慧と信に於ては男子なり。
生神女讃詞
潔き者よ、我に霊智なる楽しみの日を輝かし給へ、蓋爾は幽暗(くらやみ)に在る者の光及び生命(いのち)なり、萬衆の女宰として凡そ欲する所を行ふを能くするに因りて、衆人を凶悪者の誘惑(いざなひ)より、憂ふる者を諸々の禍ひより救ひ給へ。
「凡そ呼吸ある者」に自調の讃頌(スティヒラ)、第四調。
(某)よ、爾は斎の勤労を以て肉体の動揺(うごき)を霊に服せしめ、ハリストスに従ひて、修斎女(しゅさいじょ)の中に入り、涙の神聖なる雨を以て逸楽の望みを滅(け)し、造成主を愛する愛を盛んに燃やし給へり。二次
嗚呼睿智なる(某)よ、爾は霊の潔浄に由りて聖神゜の殿と為りて、衆(おお)くの人々を霊を益する斎の功労に導き、彼等を救はれたる者と為して、之を結納として主宰に携へ給へり、彼等と偕に我等信を以て爾を尊む。
嗚呼(某)よ、少女は爾の教へに従ひて、新郎(はなむこ)及び主を愛し、神゜を以て肉体の柔弱を堅め、敬虔に諸慾を制して、爾と偕に天上の神聖なる宮に入れられて、常に楽しむ。
光栄、第八調。
嗚呼至栄なる奇跡や、蓋爾は全く己を神に委ねて、斎の勤労を以て肉慾に勝ち、節制を以て悪鬼を踏み、熱切なる涙を以て神聖なる愛を養ひて、全能者の新婦(はなよめ)と為り給へり。
今も、生神女讃詞。
我等は天使首ガウリイルの声に效(なら)ひて言はん、慶べよ、神の母、世界の為に生命(いのち)を賜ふ主ハリストスを生みし者や。
十字架生神女讃詞
至淨なる者は爾が身にて木の上に懸れるを見し時、心裂かれ、泣きて呼べり、言、至愛なるイイスス、我が子及び主よ、如何ぞ爾隠れたる、ハリストスよ、我爾を生みし者を獨遺す勿れ。
もし挿句に光栄あらば、晩課の、今も、生神女讃詞、或は十字架生神女讃詞を誦せよ。
総月課経目次に戻る