連接歌集(イルモロギオン)から
讃 歌
祭日の多燭詞及び讃揚詞并に抜粋聖詠
知るべし、若し主日に於て多燭詞を歌ふべき主の祭、或は生神女、或は大聖人の祭に遇はば、即常例の二の「カフィ ズマ」の後に「道に<きず>なくして」第百十八聖詠を誦せずして、直に多燭詞「主の名を讃め揚げよ」及び「主を 讃榮せよ」を歌ふ。同じく断肉及び断酪の主日にも「道に<きず>なくして」を誦せずして、多燭詞を歌ひ、此に又第 百三十六聖詠「我等曾てワワィロンの河邊に坐し」を加ふ。次に若し祭日ならば、讃揚詞を抜粋聖詠の諸句と 共に歌ふ。若し祭日ならずば、復活の讃詞「主よ、爾は崇め讃めらる」を歌ふ。次に品第詞、其他。
主の祭日及び生神女又大聖人の祭日に、定則が多燭詞なる第百三十四聖詠「主の名を讃め揚げよ」及び第百 三十五の「主を讃榮せよ」を歌ふことを規定する時には、多燭詞の後に、聖詠より抜粋せられたる左の諸句を、主 の祭日及び多燭詞を有する諸聖人の祭日に於て歌ふ。
主我が神の降誕に、一月七日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾今我等の為に婚姻を識らざる至浄なる童貞女マリヤより身にて生れ給ひし主を讃揚す。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、全地よ、神の歓びて呼び、
左、其名の光榮を歌ひ、
右、光榮と讃美とを彼に帰せよ。
左、其悉くの奇蹟を傳へよ。 神に謂ふべし、爾は其行事に於て何ぞ畏るべき。 諸天は楽しむべし、地は祝ふべし。 我等の神に歌ひ、其名に歌へ。 其所為は光榮なり、美麗なり。 彼は其民に救を遣せり。 其名は聖にして畏るべし。 神はシオン即極めて美しき處より顕る。 我等の神は天に在り、地に在り、凡そ欲する所を行ふ。 主よ、我永く爾の慈憐を歌はん。 彼我を呼びて云はん、爾は我が父なり、我彼を長子となして、 地の諸王より高くせん。 列王彼に伏拝せん。 何の神か我が神の如く大なる、爾は奇迹を行ふ神なり。 爾が有能の臂にて爾の諸敵を散らせり。 我黎明の前に腹より爾を生めり、 主は誓ひて悔いず、 爾メルヒセデクの班に循ひて司祭と為りて世々に迄らん。 主我に謂へり、爾は我の子なり、 我今日爾を生めり、 我に求めよ、我諸民を與へて爾の業と為し、 地の極を與へて爾の領と為さん。 書巻の中に我の事を記せり。 神よ、爾の寶座は世々に在り、 爾の国の権柄は正直の権柄なり。 故に神よ、爾の神は爾に歓の膏を傅けたり、 爾萬民を継がんとすればなり。 主は世々に崇め讃めらる、「アミン」、「アミン」。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
主の神現に 一月十九日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾今我等の為に身にてイオアンよりイオルダン水に洗を受け給ひし主を讃揚す。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、神よ、我等を憐み、我等に福を降し、
左、爾の顔を以て我等を照し給へ。
右、目を挙げて彼を仰ぐ者は照されたり、
左、彼等の面は愧を受けざらん。 河の流は神の邑を楽しましむ。 主の聲は水の上に在り、 主は多水の上に在り。 諸川聲を騰げ、主よ、諸川其聲を騰ぐ、 主が最高きに於て強きは、多くの水の聲に勝れり。 故に我イオルダン及びエルモンの地より爾を記憶す。 蓋生命の源は爾に在り、 我等爾の光に於て光を見る。 海は見て走り、イオルダンは後へ退けり。 爾は己の力を以て海を裂き、 爾は蛇の首を水の中に砕けり。 神よ、水は爾を見、水は爾を見て懼れたり。 爾の途は海にあり、爾の径は大水にあり。 主よ、爾の工業は何ぞ多き、皆智慧を以て作れり。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
主の迎接に 二月十五日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾を讃揚して、爾の至浄なる母、今律法に遵ひて爾を主の殿に捧げし者を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、我が心善言を湧き出せり、
左、我曰ふ、我が歌は王の事なり、
右、我が舌は迅書者の筆なり。
左、爾は人の子より美し。 剛き者よ、爾の剣を爾の股に佩びよ。 眞實と温柔と公義の為に急ぎて車に乗れ、 爾の右の手は爾に奇妙なる事を顕さん。 爾は義を愛し、不法を悪めり。 女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。 爾の民と爾が父の家とを忘れよ。 王は爾の美しきを慕はん、 蓋彼は爾の主なり、爾彼に伏拝せよ。 民中の富める者は爾の顔を拝まん。 主は其聖殿に在り、主の寶座は天に在り。 神よ、爾の行くを見、 我が神、我が王の聖所に行くを見たり。 爾が選び近づけて、爾の庭に居らしむる者は福なり。 主よ、聖徳は爾の家に属して永遠に至らん。 我爾の名を萬世に誌さしめん、 其爾の聖人の前に善なればなり。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
生神女の福音に 四月七日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、潔き者よ、我等天使首の聲を以て爾に<よ>ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ、主は爾と偕にす。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、神よ、爾の裁判を王に賜ひ、
左、爾の義を王の子に賜へ。
右、裁判の時彼に義を以て爾の民を判き、
左、爾の貧しき者を判かしめよ。 願はくは彼は民の貧しき者を判き、乏しき者の子を救はん。 我が課耳の救を日々に福音せよ。 主は福音を宣ぶる者に多くの力ある言を賜はん。 主は眞實を以てダワィドに誓ひて、之に背かざらん、 曰く、我爾が腹の果を以て爾の寶座に坐せしめん。 彼は芟りたる草場に降る雨の如く、 土を潤す雨滴の如く降らん。 彼は天を傾けて降れり、其足下は闇冥なり。 蓋主はシオンを擇び、此を以て其住所とするを望めり。 至上者は其住所を聖にせり、 神は其中に在り、其れ撼かざらん。 彼は貧しき者と乏しき者とを憐み、乏しき者の霊を救はん。 萬民彼に奉事せん、 日々に彼を祝讃せん。 彼の名は祝讃せられて世々に至らん、 日の在る間は彼の名傳はらん。 地上の萬族は彼に縁りて福を獲ん。 主イズライリの神、奇迹を行ふ者は祝讃せらる。 彼の光榮の名も世々に祝讃せらる。 全地は彼の光榮に満てられん。「アミン」、「アミン」。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
聖枝主日に
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、爾を讃揚して、我等も爾に呼ぶ、最高きに「オサンナ」、主の名に因りて来る者は崇め讃めらる。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、主我が神よ、爾の名は何ぞ全地に大なる。
左、爾の光榮は諸天に超ゆ。
右、爾は嬰児と、哺乳者との口より讃美を備へたり。
左、敵と仇を報ゆる者とに言なからしめん為なり。 爾は諸民を憤り、悪者を滅せり。 工師が棄てたる石は屋隅の首石と為れり、 此れ主の成す所にして、我等の目に奇異なりとす。 主はシオンに在りて大なり、彼は萬民の上に高し。 彼は彼處に於て弓の矢を壊れり。 シオンは聞きて悦び、イウダの女は皆楽しめり。 主の名をシオンに傳へ、其誉をイエルサリムに傳へよ。 蓋神はシオンを救ひ、イウダの諸邑を建てん。 神よ、讃頌はシオンに於て爾に属し、盟はイエルサリムに於て爾に償はれん。 主の名に依りて来る者は崇め讃めらる、主は神なり、我等を照せり。 縄を以て牲を繋ぎ、牽きて祭壇の角に至れ、 主の宮の庭に、イエルサリムよ、爾の中に於てなり。 主は永遠に王とならん、シオンよ、爾の神は世々に王とならん。 其讃美は永く存せん。
光榮、今も、「アリルイヤ」」三次。
フォマの主日に
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾我等の為に地獄に下りて、己と共に衆を復活せしめし主を讃揚す。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、主は王たり、彼は威厳を衣たり。
左、主は能力を衣、又之を帯にせり。
右、故に世界は堅固にして動かざらん。
左、孰か能く主の大能を言ひ、其悉くの讃美を述べん。 主を其憐と、其人の諸子の為に行ひし奇迹りて讃榮すべし。 彼は我等を闇冥と死の蔭より引き出せり。 蓋彼は銅の門を破り、鐵の柱を折けり。 主は彼等を其墓より脱し、其縛を截てり。 蓋主は貧しき者に聴き、 其囚人を軽んじ給はず。 主は寝ぬる者の覚むるが如く興きて、其敵を破れり。 蓋主の目は彼の憐を恃む者を顧みる、 俘の呻吟を聞き、 死の子を解かん為なり。 神は興き、其仇は散るべし、彼を悪む者は其顔より逃ぐべし。 主は此の日を作れり、我等之を以て歓び楽しまん。 主我が神よ、起きて、爾の手を挙げよ、若し苦しめらるる者を永く忘るる毋れ。 主我が神よ、我永く爾の名を讃榮せん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
主の升天に
讃揚詞、右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾を讃揚して、爾が至浄なる身と共にする神聖なる升天を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、萬民よ、手を拍ち、歓の聲を以て神に呼べ、
左、蓋至上の主は畏るべくして、全地を治むる大王なり。
右、彼は諸民を我等に従はせ、諸族を我等の足下に従はせたり。
左、神は呼ぶ聲に伴はれて升り、主は角<ラッパ>の聲に伴はれて升れり。 ヘルワィムに騎りて飛び、 風の翼にて翔りて挙がれり。 門よ、爾の首を挙げよ、世世の戸よ、挙れ、光榮の王入らんとす。 主は其寶座を天に建て、其國は萬物を統べ治む。 主我が主に謂へり、爾我が右に坐して、我が爾の敵を爾の足の<台>と為すに迄れ。 彼の悉くの天使は彼を拝すべし。 神は其聖なる寶座に坐せり。 彼は義を以て世界を審判せん。 神よ、爾の寶座は世々に在り。 爾の光榮は諸天に超ゆ。 神よ、願はくは爾は諸天の上に挙げられ、爾の光榮は全地を蔽はん。 孰か主我が神の如くならん、彼は高處に居る。 主よ、爾の力を以て自ら挙れ、我等は爾の権能を歌頌讃榮せん。 我が神に歌ひ歌へよ、我が王に歌ひ歌へよ。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
五旬祭に
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾を讃揚して、爾が父より神聖なる門徒に遣しし爾の至聖神゜を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、諸天は神の光榮を傳へ、穹蒼は其手の作為を誥ぐ。
左、天の全軍は其口の気にて造られたり。
右、主は天より鑑みて、悉くの人の子を視る。
左、我が神来る、其前に燬き盡す火あり、其四周に烈しき風あり、 <やけ>炭は彼より散り落ちたり、彼は天を傾けて降れり。 其前の輝に依りて、其雲は馳せたり。 地の極は皆記憶して、主に帰し、 異邦の諸族は皆爾の前に伏拝せん。 主の啓示は正しくして、蒙者を慧からしむ。 地は震ひ、天も神の顔に因りて融けたり。 神よ爾は甘霖を爾の嗣業に注がん、 爾の諸子を立てて、全地の牧伯とせん。 其聲は全地に傳はり、其言は地の極に至る。 爾の気を施せば造られ、爾は又地の面を新にす。願はくは爾の善なる神゜は我を義の地に導かん。 神よ、潔き心を我に造れ、正しき霊を我の衷に改め給へ。 我を爾の顔より逐ふこと毋れ、爾の聖神゜を我より取り上ぐること毋れ。 爾が救の喜を我に還せ、主宰たる神゜を以て我を固め給へ。 主は福音を宣ぶる者に多くの力ある言を賜はん。 主は其民に力を賜ひ、主は其民に平安の福を降さん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
授洗イオアンの誕生に 七月七日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、救世主の前駆イオアンよ、我等爾を讃揚して、爾が胎の荒れたる者よりする至榮なる誕生を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、祝讃せらるる哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて、之に贖を為し、
左、我等の為に救の角を其僕ダワィドの家に興せり。
右、主は眞實を以てダワィドに誓ひて、之に背かざらん、
左、我彼處に於て.ダワィドに角を長ぜしめ、我が膏つけられし者の為に燈を立てん。 其裔は地の力あり、 正直の者の族は、祝福せられて、 彼の前に在りて、聖を以て、義を以て、生涯彼に事へしめん。 子よ、爾も至上者の預言者と稱へられん、 蓋主の面前に行きて、其道を備へ、 彼の民に其救は我が神の矜恤に因ることを知らしめん。 此の矜恤に因りて、東旭は上より我等に臨めり、 我等の足を平安の道に向はしめん為なり。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
聖使徒ペトル及びパワェルに 七月十二日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、ハリストスの使徒等、己の教を以て全世界を照し、四極を率いてハリストスに就かしめし者よ、我等爾を讃揚す。
使徒の總ての讃揚詞
ハリストスの使徒(某)よ、我等爾を讃揚して、爾がハリストスの福音の為に受けし苦難勤労を尊む。
次ぎて同詠隊を又歌ふ。
右、諸天は神の光榮を傳へ、穹蒼は其手の作為を誥ぐ。
左、主よ、諸天は爾の奇異なる事を讃榮せん。
右、爾の列祖に代へて爾の諸子あらん、
左、爾之を立てて全地の牧伯とせん。 諸神の神主は言を出して地を召す。 日の出づる處より日の入る處まで主の名讃榮せらる。 爾の電は世界に閃きたり。 諸天は其義を傳へ、 萬民は其光榮を観る。 イウダの諸侯、彼等の主宰たるあり。 神は諸民の王となれり。 神は聖者の大會に於て讃榮せらる、 彼は凡そ彼を環る者の為に畏るべし。 諸民に言ふべし、 主は王たり。 其光榮を諸民の中に傳へ、其奇蹟を萬族の中に傳へよ。 其聲は全地に傳はり、 其言は地の極に至る。 彼は諸民を我等に従はせ、諸族を我等の足下に従はせたり。 吾が主は大なり、其力も亦大なり。 彼は其民に能と固とを賜ふ、神は崇め讃めらる。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
主の顕榮に 八月十九日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾を讃揚して、爾が最缺き身の神妙なる顕榮を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、主は大にして、我が神の城邑に、其聖山に讃揚せらる。
左、主は自ら卑くする者を挙げ、謙る者を升す。
右、孰か能く主の山に陟る、孰か能く其聖所に立つ。
左、主よ、孰か爾の住居に居るを得る、 孰か爾の聖山に在るを得る。 爾の光と爾の眞實とを遣し給へ。 爾は永遠の山より霊妙に照し給ふ。 世界と其中に満つる者とは、爾之を建てたり。 ファワィルとエルモンとは爾の名に因りて欣ぶ。 主よ、彼等は爾が顔の光の中に行き、 終日爾の名に因りて歓ばん。 願はくは主吾が神の恵は我等に在りて、今より世々に至らん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
生神女の就寝に 八月二十八日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、ハリストス我が神の純潔なる母よ、我等爾を讃揚して、爾の至榮なる就寝を讃榮す。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、全地よ、神に歓びて呼び、
左、其名の光榮を歌へ。
右、主王の前に祝へ。
左、彼を讃榮し、其名を崇め讃めよ、 萬軍の主の城邑、我が神の城邑に於てなり。 其住所はサリムに在り、其居所はシオンに在りき。 神の城邑よ、光榮の事は爾に於て傳へらる、 神は之を固めて永遠に迄らん、 至上者は其住所を聖にし給へり。 能力と美好とは其聖所に在り。 我我が光榮を以て謳ひ歌はん。 我救の爵を受けて圭主の名を<よ>ばん。 我安然として偃し寝ぬ。 我が霊よ、爾の平安に帰れ、蓋主は爾に恩を施せり。 主は義なり、彼は悪者の縛を噺てり。 主よ、爾及び爾が能力の匱は爾が安息の所に立てよ。 主よ、聖徳は爾の家に属して永遠に至らん。 我爾の名を萬世に誌さしめん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
前駆イオアンの斬首に 九月十一日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、救世主の授洗者イオアンよ、我等爾を讃揚して、皆爾の尊貴なる斬首を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、神を畏れ、其誡を極めて愛する人は福なり。
左、其裔は地に力あり、
右、富と財とは其家にあり、
左、其義は永く存す。 義人は永く記憶せられん。 義人は繁ること棕櫚の如く、高くなることリワンの柏香木の如し。 義人は主の為に楽しみて、彼を恃まん。 主よ、我我が口を禁ぜざりき、 我爾の義と爾の誠とを傳へたり。 我が舌も爾の義を傳へ、日々に爾を讃め揚げん。 光は義人を照し、楽は心の正しき者に注がる。 正直の者の族は祝福せられん。 爾彼に光榮と尊貴とを冠らせたり、 蓋主よ、爾は義人に福を降し、 恵を以て盾の如く彼を環らし衞ればなり。 東旭は上より我等に臨めり、 幽暗と死の蔭とに坐する者を照し、 我等の足を平安の道に向はしめん為なり。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
生神女の誕生に 九月二十一日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、至聖なる童貞女よ、我等爾を讃揚して、爾の聖なる父母を尊み、爾の至榮なる誕生を讃榮す。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、主よ、ダワィド及び其全き温柔を記憶せよ。
左、彼は主に誓ひ、イアコフの神に約したり。
右、視よ、我等之をエフラフに聞き、之にイアリムの田に遇へり。
左、神の城邑よ、光榮の事は爾に於て傳へらる。 神は其中に在り、其れ撼かざらん。 主は眞實を以てダワィドに誓ひて、之に背かざらん、 曰く、我爾が腹の果を以て爾の寶座に坐せしめん。 蓋主はシオンを擇び、此を以て其住所とするを望めり。 至上者は其住所を聖にせり。 能力と美好とは其聖所に在り。 爾が選び近づけて、爾の庭に居らしむる者は福なり。 主よ、聖徳は爾の家に属して永遠に至らん。 我爾の名を萬世に誌さしめん。 主は崇め讃められて世より世に迄らん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、「アリルイヤ」、神よ、光榮は爾に帰す。三次。
十字架の挙榮に 九月二十七日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、生命を賜ふハリストスよ、我等爾を讃揚して、爾が我等を敵の奴隷より救ひし聖なる十字架を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、主よ、我と争ふ者と争ひ、我と戦ふ者と戦ひ給へ。
左、盾と甲とを執り、起ちて我を助け給へ。
右、主よ、爾の顔の光を我等に顕し給へ。
左、爾恵を以て盾の如く義人を環らし衞ればなり。 爾を畏るる者に旗を賜ひて、彼等に眞實の為に之を挙げしめ給へ、 爾の途の地に知られ、爾の救の萬民の中に知られん為なり。 凡そ地の極は我が神の救を見たり。 往きて、彼の足<台>に叩拝せん。 林の諸木は主の顔の前に舞ふべし。 神我が古世よりの王は救を地の中に作せり。 主我が神を崇め讃め、其足<台>に伏し拝めよ、是れ聖なり。 願はくは神我が神は我等に福を降し、願はくは神に我等に福を降さん。 爾の民を救ひ、爾の業に福を降し、 之を牧し、之を世々に挙げ給へ。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
生神女の進殿に 十二月四日
讃揚詞。右列詠隊始めて歌ふ。
右、至聖なる童貞女、神の選びたる少女よ、我等爾を讃揚して、爾が主の殿に入るを尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、主は大にして、我が神の城邑に、其聖山に讃揚せらる。
左、シオン山は美しき高處にして、全地の喜悦なり。
右、神の城邑よ、光榮の事は爾に於て傳へらる。
左、爾は大王の城邑なり。 我等曾て聞きし如く、今見るを得たり、 萬軍の主の城邑、我が神の城邑に於てなり。 神は之を固めて永遠に至らん。 至上者は其住所を聖にせり。 能力と美好とは其聖所に在り。 爾が選び近づけて、爾の庭に居らいむる者は福なり。 是れは主の門なり、義人等之に入らん。 女王は爾の右に立てり、 オフィルの金を妝へり。 民中の富める者は爾の顔を拝まん。 諸王の女は爾の貴嬪の中に在り。 王の女の光榮は皆内にあり、 其衣は金を繍とせり。 彼は彩服を衣て王の前に進められ、 彼の伴たる童女は彼に従ひて爾の前に進めらる、 彼等は楽しみ祝ひて導かれ、王の殿に入る。 女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ、 爾の民と爾が父の家とを忘れよ。 王は爾の美しきを慕はん。 我爾の名を萬世に誌さしめん。 神よ、我等爾の仁慈を爾の堂の中に念へり。 故に諸民爾を讃榮して永遠に迄らん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
聖致命者の記憶に總ての讃揚詞
右列詠隊始めて歌ふ。
右、聖なる致命者(某)よ、我等爾を讃揚して、爾がハリストスの為に忍びし尊貴なる苦を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、神は我等の避所なり、能力なり。
左、患難の時には速なる佑助なり。
右、故に地は動くとも我等懼れざらん。
左、神よ、黙す毋れ、言を出さざる毋れ、蓋視よ、爾の敵は騒ぎ、爾を疾む者は首を昂げたり。 彼等は爾の民に向ひて奸なる計畫を為し、爾に護らるる者に向ひて謀る。 爾が諸僕の<屍>を天の鳥に<与>へて食となし、 爾が聖者の肉を地の獣に<与>へ、 彼等の血を水の如く流せり。 爾の為に我等毎日殺され、 人の我等を視ること、屠に定められたる羊の如し。 爾我等を諸民の諺となせり。 我毎日傷を受けたり。 神よ、爾銀を錬るが如く我等を錬り給へり。 我等は火と水との中に入り、而して爾我等を引ひ出して安息を賜へり。 義人よ、主の為に喜び楽しめ、 蓋神は義人の族にあり、 彼等の嗣業き永く存せん。 義人は呼ぶに主は之を聴く。 光は義人を照し、楽は心の正しき者に注がる。 義人は永く記憶せられん。 地上の聖人と爾の奇異なる者とは、我等之を慕ふ。 神よ、爾は爾の聖所に於て厳なり。 義人は繁ること棕櫚の如く、高くなることリワンの柏香木の如し。 義人は主の為に楽しみて、彼を恃まん、 心の正しき者は皆榮を獲ん。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
成聖者の記憶に總ての讃揚詞
右列詠隊始めて歌ふ。
右、成聖者神゜父(某)よ、我等爾を讃揚して、爾の聖なる記憶を尊む、爾は我等の為にハリストス我が神に祈り給へばなり。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、萬民之を聴け、全地に居る者皆之に耳を傾けよ。
左、我が口は睿智を出し、我が心の思は智識を出さん。
右、小子よ、来りて我に聴け、主を畏るる畏を爾等に訓へん。
左、我爾の義を大會の中に傳へたり、 爾の誠と爾の救とを宣べたり。 我爾の名を我が兄弟に傳へ、爾を會中に詠はん。 讃揚の聲を宜べ、爾が悉くの奇迹を傳へん。 主よ、我爾が居る所の室と、爾が光榮の住所の處とを愛せり。 我悪を謀る党を疾めり、不虔の者と偕に坐せざらん。 蓋我主の道を守り、我が神の前に悪者たらざりき。 義人の口は睿智を言ひ、其舌は義を語る。 其義は永く存す。 爾の司祭等は義を衣、爾の諸聖者は悦ばん。 爾の家に住む者は福なり、彼等は世々に爾を讃め揚げん。
光榮、今も、「アリルイヤ」」三次。
克肖者の記憶に總ての讃揚詞
右列詠隊始めて歌ふ。
右、克肖なる神゜父(某)、修道士の教師、天使等の對話者よ、我等爾を讃美して、爾の聖なる記憶を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、我切に主を恃みしに、彼我に傾きて、我が<よ>ぶ聲を聆き納れ給へり。
左、我が足を磐の上に立て、我が歩を固めたり。
右、我遠く離れて野に居りたり。
左、我は野に在る鵜(う)の如くなれり、 我が眠らずして坐するは、屋葢に在る孤鳥の如し。 我が膝は齋に依りて弱り、我が躯は肥えたるを失へり。 我が涙にて我の褥を濡す。 蓋犬の群は我を環り、悪者の党は我を圍めり。 彼等は其毒言を弓の如く張りて、 隠に無<てん>の者を射んと欲す。 我恒に主を我が前に見たり、蓋彼は我が右にあり、我が動かざらん為なり。 萬民我を圍みたれども、我主の名を以て之を敗れり。 我等<与>へて其歯の獲物となさざりし主は崇め讃めらる。 主よ、願はくは爾が悉くの作為は爾を讃榮し、 爾の聖者は爾を崇め讃めん。 爾等主が其聖者を折ちて己に属せしめしを知れ。 其霊を贖ふ價は貴し。 主は其聖人の霊を護る。 諸聖人は光榮に在りて祝ひ、其榻に在りて歓ばん。 聖人の死は主の目の前に貴し。 主の諸聖人よ、主に歌へ、其聖を記念して讃榮せよ、其奇蹟を萬族の中に傳へよ。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。
聖なる無形軍の總ての讃揚詞
右列詠隊始めて歌ふ。
右、天使首と差役と諸天軍、ヘルワィムとセラフィム、主を讃榮する者よ、我等爾を讃揚す。
天使首、差役、首領、権柄、寶座、主制、能力及びヘルワィム、畏るべきセラフィム、主を讃榮する者よ、我等爾を讃揚す。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、我心を盡して爾を讃榮し、
左、諸天使の前に於て爾を歌ふ。
右、爾は其使者を以て風と為し、其役者を以て火焔と為す。
左、主の諸の天使よ、主を祝讃せよ。 主の悉くの軍よ、主を祝讃せよ。 彼の悉くの天使は彼を拝すべし。 ヘルワィムに坐する者よ、己を顕せ。 主の使は主を畏るる者を環り衞る。 天は主の言にて造られ、 天の全軍は其口の気にて造られたり。 主はヘルワィムに騎りて飛べり。 彼に光榮と尊貴とを冠らせたり。 天より處を讃め揚げよ、至高に彼を讃め揚げよ。 其悉くの天使よ、彼を讃め揚げよ、其悉くの軍よ、彼を讃め揚げよ。 凡そ呼吸ある者は主ほ讃め揚げよ。
光榮、今も、「アリルイヤ」、三次。