10月1日/14日
至聖なる我が女宰生神女永貞童女マリヤ庇護祭
若し聖堂が本祭の名に依り、或は聖長之を望まば、徹夜堂課を行ふ、其式左の如し。
小晩課
「主よ、爾によぶ」に四句を立てて左の讃頌を歌ふ、第一調。
女宰よ、天上の寶座に息ふ惟一の神は、己の悦べる者に、爾が地の上に神聖なる手を舒べて、城邑及び人々の為に熱切に祈れるを見ることを許せり。女君よ、今も我等を爾が慈憐の肩衣にて庇ひ給へ。二次。
至浄なる童貞女、婚姻に與らざる神の聘女、人々の庇護及び扞衞なる者よ爾を尊みて、宜しきに合ひて讃榮する城邑を、爾は其尊き肩衣を以て敵の攻撃より、饑饉地震及び内亂より庇ひ給ふ。
ハリストスの生ける宮、信者の城垣とおおいと権柄たる神の母よ、爾に藉りて爾の城邑は救はれ、爾の助を以て正教の諸王は王冠を冠り、常に爾を誉と為して、諸敵に勝つを獲、爾が慈憐の肩衣を以て庇ひ給へばなり。
光榮、今も、第六調。
祭祀を愛する會衆来りて、至聖なる童貞女を歌はん、蓋今日天使等は諸聖人と偕に神の母の尊き庇護を祭りて、我等地の者を招きて、息めざる聲にて讃美せしむ、教会の神聖なる飾、全世界の奇妙なる庇護よ、慶べ、戦に於て虔誠なる諸王の扶助、軍士等の守護よ、慶べ、我等の庇護及び扞衞よ、慶べ、ハリストスの民は常に爾を讃美するに因る。
挿句に讃頌、第二調。
天には光栄、地には歓楽あり、蓋女王は諸聖人と偕に我等衆の為に聖堂の中に祷り給ふ。
句、女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。
信者よ、聖堂に来れ、蓋彼處に生神女は肩衣を以て人々を敵の悉くの攻撃より庇ひ給ふ。
句、民中の富める者は爾の顔を拝まん。
至浄なる生神女よ、我等爾の諸僕を忘れずして、信を以て爾を歌ふ我等の為に祷り給へ。
光榮、今も、第三調。
祭祀を愛する者皆来りて、神の母の尊き庇護を讃美せん、蓋彼は慈憐を以て手を其の子に舒べたるに、彼の聖なる庇護にて世界は守られたり。故に我等は口と心、歌頌と属神゜の詩賦とを以て趨り附く衆人と偕に欣ばしく祭る。
讃詞、第四調。
神の母よ、我等信者は今日爾の降臨に蔭はれて欣ばしく祭り、爾の至浄なる像を仰ぎて熱切に云ふ、爾の尊き庇護にて我等を覆ひ、我等を諸の悪より脱れしめて、爾の子ハリストス我等の神に我が霊を救はんことを祈り給へ。
發放詞
大晩課
第一「カフィズマ」の第一段を歌ふ。
「主よ、爾によぶ」に讃頌、八句を立つ、第一調。
嗚呼至浄なる生神女よ、爾は憂ふる者の為に速なる援助なり、爾は大なる扞衞、世界の拯救及び堅固、慈憐の淵、神の智慧の泉、衆人の庇護なり。我等信者は其光れる肩衣を讃揚して歌はん、恩寵を蒙れる者、慶べよ、主は爾と偕にす、爾に頼りて世界に大なる憐を賜ふ者なり。二次。
神妙なるイサイヤは預言して曰へり、末の日に主の山及び主の家は山の上に現れんと、女宰よ、我等爾に於て此の預言の眞に應ひしを見たり、蓋諸の山と岡とは爾の祭の多名なる聖堂にて飾られたり。故に我等楽しみて爾に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ、主は爾と偕にす、爾に頼りて世界に大なる憐を賜ふ者なり。
嗚呼衆信者の奇妙なる妝飾よ、爾は諸預言の眞の應験、使徒の光榮、致命者の飾、童貞者の誉、全世界の至りて神妙なる庇護なり。女宰よ、爾の慈憐の肩衣を以て皇帝及び衆人を覆ひ給へ、蓋彼等呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ、主は爾と偕にす、爾に頼りて世界に大なる憐を賜ふ者なり。
又讃頌、第四調。
生神女よ、我等爾を神の植えし楽園、聖神゜に潤されたる生命の樹の處と承け認む、蓋爾は萬有の造成主、生命の糧を以て信者を養ふ者を生み給へり。彼に前駆と共に我等の為に祈りて、尊き肩衣を以て皇帝及び人々を凡の患難より覆ひ給へ。二次。
天地は聖にせられ、聖堂は照され、人々は皆楽しむ、蓋視よ、神の母は天使の軍、前駆及び神学者、諸預言者及び使徒等と偕に見えずして入りて、「ハリスティアニン」等の為にハリストスに轉達して、其庇護の祭を讃榮する城邑及び人々に憐を賜はんことを祈り給ふ。
生神女よ、爾はイアコフの榮、又主が地に降りし所の天の梯なり、其時の此の預象は爾の尊貴と光榮とを示せり。天の使等及び地の人々は爾萬有の神を生みし者を讃揚す、蓋爾は全世界の為に祈りて、慈憐を以て爾の尊き祭を行ふ者を庇ひ給ふ。
光榮、今も、第八調。
神゜霊の品位は萬衆の女王が信者より熱切に讃榮せらるるを見て、無形にして有形の會に合せられて、我等と偕に喜び、顕現の實見者たる義人等の霊も、女宰が空中に其至りて尊き手を舒べて、世界に平安を、諸王に権柄の堅固を、我等の霊に救を賜はんことを祈れるを見て喜ぶ。
聖入。本日の提綱。喩言三篇、(生神女就寝祭に載す、第七百七十六頁を看よ)。
「リティヤ」」に讃頌、第三調。
至浄なる童貞女よ、今ひ爾の尊き庇護の光明なる祭は至れり。爾は日よりも明に爾の民を照す、蓋彼等は中心より爾を神の眞の母と承け認めて、爾の子に呼ぶ、ハリストスよ、そこなはれずして潔く爾を生みし永貞童女の祈祷に因りて、爾の嗣業を戦を為す敵に付す勿れ、乃慈憐なる者として平安の中に我等の霊を救ひ給へ。
第四調
至浄なる女宰よ、爾の子の民は宜しきに合ひて爾に讃美を歌はんことを望めども能はず、蓋爾は常に衆信者を守り、爾の尊き庇護にて之を覆ひ、信を以て爾潔き眞の生神女を尊む衆人の救はれん為に祈り給ふ。
第二調
信者よ、我等今日集まりて、至りて無てんなる萬衆の女王、至浄なる童貞女、ハリストス神の母を讃美せん、蓋彼は常に慈憐を以て其の子に手を舒べ給ふ、神妙なるアンドレイは彼が空中に在りて、其尊きおおいを以て民を覆へるを見たり。我等傷感の情を抱きて彼に呼ばん、我が霊のおおいと守護(まもり)と拯救(すくい)よ、慶べ。
光榮、今も、同調。
我等は心と智慧とを浄めて、天使等と偕に祝ひ、萬有の王我が神の聘女たる童貞女に欣ばしくダワィドの歌を歌はん、主よ、爾及び爾が能力の匱は爾が安息の所に立てよと、蓋爾は、主宰よ、彼を美しき宮の如く飾りて、爾の邑に添へて立て給へり、其祈祷に因りて爾の能力を以て之を治め、之を仇敵より覆はん為なり。
挿句に讃頌、第二調。
女宰よ、ハリストスは爾天上地下の悉くの造物に超え、ヘルワィムより尊き者を教会の守護及び権能なる庇護として賜へり、爾に趨り附く罪なる人々を覆ひて救はん為なり。故に我等爾衆人の避所を讃め歌ひ、爾の庇護の尊き祭を欣ばしく祝ひて、ハリストスに我等に大なる憐を賜はんことを祈る。
句、女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。 第五調
人々よ、我等欣ばしく童貞女、神の聘女、萬有の王ハリストスの母にダワィドの歌を詠はん、女王は金繍の衣を妝ひ、神聖なる美徳に飾られて、爾主宰の右に立てりと。蓋爾は此の女の中に選ばれたる者を萬有よりも修飾して、大なる憐に因りて、彼より生るるを嘉し、且此の獨祝福せられし者を扶助者として己の民に賜へり、其諸僕を治めて諸の患難より覆はん為なり。
句、民中の富める者は爾の顔を拝まん。第七調
生神女よ、爾は大にして至榮なる山、シナイ山に超ゆる者なり、蓋此は形と影との中に神の光榮の降るに忍びずして、火を燃し、雷も電も彼處に在りき、爾は萬有を其権内に有つ神の言、全き神聖の火たる者を焚かるるなく己の腹に宿し給へり。彼の前に母の勇敢を有ちて、女宰よ、信を以て爾の尊き祭を祝ふ者に助を與へ、慈憐を以て彼等を眷みるを忘るる毋れ、爾はハリストスの名を被れる爾の軍たる爾の諸僕を治めて覆はん為に恩賜を神より受けたればなり。
光榮、今も、第二調。
至浄なる生神女よ、神の教会は今日光明なる榮冠の如く、爾の尊き庇護を被りて、輝きて喜び、奥密に祝ひて爾女宰に呼ぶ、神の光榮の貴き衣と冠よ、慶べ、獨一圓満なる光榮と永久の歓楽よ、慶べ、爾に趨り附く者の避所と湊及び我等の救よ、慶べ。
次に讃詞、第四調。
「神の母よ、我等信者は」。(小晩課に載す)。
早課
「カフィズマ」の第一の誦文の後に坐誦讃詞、第三調。
神妙に光れる天軍に繞られ、預言者及び使徒の會と偕にありて、聖なる奉事を享け、神の母として、我等爾の諸僕を眷みて、ハリストス我が神に我等に大なる憐を賜はんことを祈り給へ。
光榮、今も、同上。
第二の誦文の後に坐誦讃詞、第六調。
至浄なる神の母よ、爾は實に憑恃なき者の堅固なり、故に我等謙卑なる者は爾を以て挙げられ、爾に因りて高くせらる、爾は衆人の為に庇護及び神の前に轉達者なり。
光榮、今も、同上。
多燭詞の後に坐誦讃詞、第四調。
女宰よ、眞に古の約匱に超えて尊き爾の肩衣、日より明に輝く者は、見えずして、慈憐に因りて、爾の不朽なる至浄の手を以て舒べられて、爾の庇護の飾られたる祭を尊む者を守る、我等今聚まりて、熱心に之を祭る。
光榮、今も、同上。
品第詞、第四調の第一倡和詞。
提綱、第四調。
我爾の名を萬世に誌さしめん。句、民中の富める者は爾の顔を拝まん。
「凡そ呼吸ある者」。福音經はルカ四端。「彼の日マリヤ起ちて亟に山地に適き」。
第五十聖詠の後に、光榮、「生神女の祈祷に依りて憐深き主よ」。今も、同上。「神よ、爾の大なる憐に因りて」。
讃頌、第八調。
神゜霊の品位は萬衆の女王が信者より熱切に讃榮せらるるを見て、無形にして有形の會に合せられて、我等と偕に喜び、顕現の實見者たる義人等の霊も、女宰が空中に其至りて尊き手を舒べて、世界に平安を、諸王に権柄の堅固を、我等の霊に救を賜はんことを祈れるを見て喜ぶ。
規程は生神女の、十二句に、「イルモス」二次、第四調。
第一歌頌
イルモス、我が口を開きて、聖神゜に満てられ、言を女王母に奉り、楽しみ祝ひ、喜びて其奇迹を歌はん。
爾は聖天使の品位、又預言者及び使徒の會と偕に、大なる光榮を以て、神の母として今日聖堂に入りて、ハリスティアニン等の為に祈り、爾の慈憐を以て衆人を覆ひて、わざわい及び憂愁より脱れしめ給ふ。
女王よ、モイセイは爾を幕及びアアロンの杖と稱へたり、蓋爾は生命の樹たるハリストスを生ぜり。彼の前に勇敢を有ちて、爾を尊む我等の為に祈りて、我等を諸の悪より脱れしめ給へ、我等が爾の庇護の祭を讃榮せん為なり。
ダワィドが昔會を集めて、約匱の前に躍るが如きに非ず、乃人々は今聖人の會と偕に爾の前に聖堂に進みて、爾に伏拝して云ふ、爾を尊む者の為に祈り給へ、皆爾の庇護を讃揚して、恭しく祭らん為なり。
生神女よ、天使の品位は爾を歌ひ、列祖成聖者と共に爾を讃榮して、爾の顔の前に聖堂に進む。聖アンドレイは其時爾が彼等と偕に我等罪なる者の為に神に祈りて、爾の庇護の祭を讃榮する人々に憐を賜はんことを求むるを見たり。
共頌は同「イルモス」。
第三歌頌
イルモス、生神女、生活にして盡きざる泉よ、祝ひて爾を讃め歌ふ者の霊を固め、彼等に爾が神妙なる光榮の中に榮冠を冠らしめ給へ。
耕されぬ田にして神聖なる穂を生ぜし者よ、慶べ、生命の糧を進むる生ける筵よ、慶べ、生活の水の盡きざる泉たる女宰よ、慶べ。
女宰よ、我等爾の諸僕は信を以て爾の聖堂に立ちて、爾の憐を俟つ。我等の謙卑を眷みて、爾の聖なる庇護を以て皇帝及び民を凡の悪より守り給へ。
至榮なる童貞女よ、敬虔に爾を預象せし預言者は今諸天使と偕に爾に奉事す。彼等と偕に我等の為に神に祈り給へ、我等皆喜びて爾の庇護の聖なる日を光明に祭らん為なり。
ゲデオンは羊の毛を以て爾を預象せり、蓋ハリストス神は露の如く爾に降り給へり。生神女よ、彼に我が皇帝に諸敵に對する勝利を與ふることを祈り給へ、マディアムの如く之を仆して、爾の聖なる祭を讃榮せん為なり。
生神女よ、爾は日の光線よりも盛んに輝ける爾の肩衣にて教会及び民を照し、爾の降臨にて我が諸罪の暗を拂ひて、我等の為に爾の子及び神に祈り給ふ。
第三歌頌の後に坐誦讃詞、第五調。
熱心なる勝たれぬ轉達者、堅固にして耻を得ざる憑恃、爾に趨り附く者の為に城垣とおおいと湊なる潔き永貞童女よ、諸天使と偕に爾の子及び神に世界に平安と救と大なる憐とを賜はんことを祈り給へ。
光柴、今も、同上。
第四歌頌
イルモス、光榮の中に神性の寶座に坐するイイスス神は、軽き雲に乗るが如く、朽ちざる手に抱かれ来りて、ハリストスよ、光榮は爾の力に帰すと呼ぶ者を救ひ給へり。
讃美せらるる童貞女よ、我等歌の聲を以て爾に呼ぶ、樹蔭繁き山、聖神゜にて湿されし者よ、慶べ、燈及び衆信者の感覚を楽しましむる「マンナ」を納るる壺よ、慶べ。
生神女よ、神は聖神゜を以て爾をアアロンの約匱より更に大に聖にして、諸天使に爾に奉事せんことを命じたり。彼等と偕に爾の尊き祭を讃榮する城邑及び人々の為に祈り給へ。
生神女よ、昔聖アンドレイが爾の空中に「ハリスティアニン」等の為に熱心に祈れるを見し如く、今光榮を以て諸聖人の會と偕に爾の聖堂に来りて、我等に爾の憐を與へ給へ。
女宰よ、ダワィドがゴリアフに對して堅められしが如く、我等の皇帝を諸敵に對して堅め給へ、我等楽しみて爾に呼ばん為なり、我が城邑の聖なる庇護及び扞衞よ、慶べ。
女君よ、我等信を以て爾に俯伏し、爾を拝みて、感謝の心を抱きて呼ぶ、神の恩寵を蒙れる童貞女、我等の庇護及び防禦、わざわいに遇ふ者の扶助者よ、慶べ、爾に趨り附く我等を救ひ給へ、我等爾を頼めばなり。
第五歌頌
イルモス、萬物は爾が神妙の光栄に驚かざるなし、爾婚配を識らざる童貞女は至上の神を孕み、永遠の子を生みて、凡そ爾を歌ふ者に平安を賜へばなり。
生神女よ、昔ソロモンは爾の事を言ひて、爾をセラフィムに繞らるる天の王の乗輿又宮室として像れり。故に我等今爾に祈る、至聖なる神の母よ、我等を諸の禍より覆ひ給へ。
天使等の諸長、尊き預言者、及び使徒等は爾を神の母として、恭しく爾に奉事して、爾が世界の為に祈祷を行へるを見る。主は爾の祷を聴きて、爾を頼む城邑及び人々を救ひ給ふ。
預言者の中に大なるイサイヤは爾を預言して、婚姻に與らずして神を生まんことを言へり、蓋爾は、潔きマリヤよ、衆人より至りて聖なる者と為れり、神を胎内に又手に抱きたればなり。彼に我等の為に祈りて、信を以て爾を讃榮する者を爾の庇護にて覆ひ給へ。
生神女よ、聖人の會は見えずして、神霊の翼にて翔り来りて、爾に奉事す、爾が光栄の軽き雲に在りて、救世主ハリストスに我が皇帝に諸敵に對する勝利を賜はんことを祈れるを見るに因る。
第六歌頌
イルモス、神の信者よ、来りて、神の母の此の神妙なる至りて尊き祭を祝ひ、手を拍ちて、彼より生れし神を讃榮せん。
生神女よ、神の司祭等は敬虔の人々と偕に爾の聖堂に立ちて、爾の憐を待つ。我等の悲を易へて喜と為し給へ、爾は歓喜なる者、衆人の罪を赦しし主を生みたればなり。
生神女よ、全地は爾を女王、神の母として、爾に礼物を奉り、諸王及び諸侯は拝み、衆人は楽しむ、爾の祈祷に由りて諸の悪より覆はるればなり。
生神女よ、ダニイルは爾を大なる山として像れり、蓋爾より種なくハリストスは生れて、悪魔の悉くの迷を破り、全地を己の教にて充てたり。彼に爾の庇護の祭を讃榮する我等の為に祈り給へ。
至浄なる者よ、我等天使の聲を以て爾に呼ぶ、慶べよ、神の寶座、イエゼキイリがヘルワィム等に舁はるる人の形に在る主の坐せるを見し所の者や。生神女よ、彼等と偕に主に我等の霊を救はんことを祈り給へ。
小讃詞、第三調。
今日童貞女は聖堂に立ちて、聖人の會と偕に見えずしてて我等の為に神に祈り給ふ。諸天使は司祭長等と偕に伏拝し、使徒は預言者と偕に慶賀す、生神女が我等の為に永遠の神に祈り給へばなり。
同讃詞
人人よ、来りて、彼の至榮なる奇蹟を楽しまん、蓋彼に由りてアダムは朽壊より救はれたり。彼はノイを以てするにあらずして神を以て造られし方舟なり。昔モイセイは燃ゆる棘の中に神を見るを得ざりき、今全地は彼より生れし神の子を識る、彼は我等の為に之に祈る。故に我等彼を神の母として讃榮す、生神女が我等の為に永遠の神に祈り給へばなり。
第七歌頌
イルモス、敬虔の者は造物主に易へて造物に事ふることをせざりき、火の嚇を勇ましく践みて、喜び歌へり、讃美たる主、先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
祝福せられし童貞女よ、爾は多くの預言者に録し盡くされぬ者、神に奉事する天の使等に知られぬ者たりしに、今は我等皆爾生神女を識りて、爾の佑助と守護とを求む。
アウワクムが聖神゜に潤されて信者に醫治の甘味を滴らす山と見たる生神童貞女よ、我等を醫し給へ、蓋我等爾の子に呼ぶ、我が先祖の神は崇め讃めらる。
祝福せられし童貞女、潔き神の母よ、天を傾けて爾の内に入りし者は今も爾の祈祷を見て、爾女王の祈願を行ふ、彼に我等の為に切に祈り給へ、我等爾を頼めばなり。
我等の造成者及び救世主ハリストス神よ、我等罪人の為に爾に獻ぐる爾の母の祈祷を納れ給へ、我等が喜びて爾に歌はん為なり、讃美たる我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。
第八歌頌
イルモス、生神女の産は敬虔の少者を爐の中に守れり。其時に預め徴され、今已に應ひし此の産は全世界に勧めて爾に歌はしむ、造物は主を歌ひて萬世に彼を讃め揚げよ。
女宰よ、天使の會と、尊貴光榮なる預言者と、首座たる使徒と、神品致命者及び司祭長等と偕に、我等罪人、爾の庇護の祭を日本の地に讃榮する者の為に神に祈り給へ。
嗚呼神の母、至りて尊き女王よ、不義なる諸侯の傲慢と騒擾とを倒し、其謀を破り、仇を醸す者を滅して、我が皇帝の角を揚げ給へ、我等が爾至浄なる生神童貞女の祭を讃榮して呼ばん為なり、造物は主を歌ひて、萬世に彼を讃め揚げよ。
我等口を以て爾に歌を奉り、霊を以と忠信に伏拝す、蓋我が心は吾が内に燃ゆ。至浄なる神の母よ、我等爾に祈り、且主を歌ひて、萬世に彼を讃め揚ぐる者を憐み給へ。
生神女よ、我多くの罪に昧まされて、宜しきに合ひて爾の庇護の讃美を著す能はず、然れども爾神の母として、奇蹟を以て爾の祭を飾り給へ、我等皆喜びて主を歌ひて、萬世に彼を讃め揚げん為なり。
第九歌頌
イルモス、凡そ地に生るる者は聖神゜に照されて楽しみ、形なき智慧の性も祝ひ、神の母の聖なる祭を尊みて呼ぶべし、至りて福なる潔き生神女、永貞童女よ、慶べよ。
父と偕に坐し、セラフィムより歌はるる至高なる王よ、我等罪人の為に爾に獻ぐる母の祈祷を眷みて、我等の罪を浄め、城邑を救ひ、民を増し給へ、爾を生みし者の祈祷に由りて、皇帝に體の壮健と敵に對する勝利とを與へ給へ。
神の選びし童貞女よ、我等天使の聲を以て爾に呼ぶ、アダムを復楽園に入れし者よ、慶べ、爾の名を以て悪魔を逐ふ者よ、慶べ、「ハリスティアニン」等の憑恃よ、慶べ、霊の成聖よ、慶べ、我等の城邑を守る者よ、慶べ。
女君生神童貞女よ、爾の祈祷の中に我等を記念し給へ、我等が罪の量に由りて亡びざらん為なり。我等を凡の悪及び諸の禍より覆ひ給へ、蓋我等は爾を恃み、爾の庇護の祭を尊みて、爾を崇め讃む。
爾は神の母として、衆「ハリスティアニン」の疾を醫し、わざわいを免れしめ、罪を赦し、迷惑と凡の危難より救はんことの恩賜を神より受け給へり。女君よ、我等をも棄つる毋れ、我等が體の壮健、霊の救を求むるを知り給へばなり。
光耀歌
嗚呼至聖なる女君生神童貞女よ、爾の神妙なる肩衣を以て我等を覆ひて、皇帝及び民を諸の禍より守り給へ、聖なるアンドレイの爾がウラヘルナの聖堂に祈れるを見し如く、女君よ、今も我等に爾の大なる憐を垂れ給へ。三次。
「凡そ呼吸ある者」に四句を立てて讃頌を歌ふ。第八調。
女君よ、我等爾に俯伏し、熱切に叩拝して、爾に祈る、神福たる女宰、大名なる童貞女、諸預言者に尊く預像せられし者よ、慶べ、蓋神言は露の如く爾に降りしに、爾婚姻に與らざる潔き者は萬有の造成者及び主を生みて、爾の手に抱き給へり。彼に今我等信を以て爾の庇護の祭を讃榮する者の為に祈り給へ。二次。
生神童貞女よ、天使の品位は爾を歌ひ、列祖は司祭長等と偕に讃榮し、聖使徒等は爾を神の母として、恭しく爾に奉事して、爾が世界の為に衆人の救世主ハリストス神に祷を獻ぐるを見る。信を以て爾を讃榮し、爾の庇護の祭を尊む城邑及び民を救はんことを彼に祈り給へ。
生神女よ、神は聖神゜を以て爾をアアロンの約匱より更に大に聖にせり。爾は日の光線よりも盛んに輝ける爾の肩衣にて教会及び民を照し、我が諸罪の暗を拂ひ、信を以て爾の尊貴なる庇護の祭を尊む者をわざわい及び憂愁より脱れしめ給ふ。
光榮、今も、第六調。
讃詠せらるる女宰よ、神妙なるアンドレイが空中に、爾が衆くの天使首、使徒、預言者、及び多くの致命者と偕に、爾の子我が神に城邑及び人々の為に祈りて、爾の尊き庇護を以て之を覆へるを見し如く、今も至浄なる者よ、爾の子の選ばれたる嗣業、爾の最尊き祭を祝ふ者を救はんことを忘るる毋れ。
大詠頌、發放詞。
聖體禮儀
眞覆詞は、規程の第三及び第六歌頌。
提綱、第三調、生神女の歌。
我が霊は主を崇め、我が神゜は神我が救主を悦べり。句、蓋其婢の卑しきを顧みたり、今より後萬世我を福なりと謂はん、使徒の誦讀はエウレイ書三百二十端。「兄弟よ、第一の約には奉事の例と地に属する聖所とありき」。「アルリイヤ」、第八調、女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。句、民中の富める者は爾の顔を拝まん。
福音經の誦讀はルカ五十四端。「彼の時イイスス一の村に入りしに」。
領聖詞、我救の爵を受けて主の名をよばん。「アリルイヤ」。三次。
【注】知るべし、至聖生神女の庇護祭若し主日外の日に當りて、聖務者が庇護祭と共に使徒アナニヤ及び克肖者ロマンに奉事せんと欲する時は、左の如く行ふべし。
小晩課には、讃頌は庇護の四句に、第一調。光榮、今も、第六調、「祭祀を愛する會衆来りて」。挿句には讃頌、第二調、「天には光榮」。光榮、今も、第三調、「祭祀を愛する者皆来りて」。讃詞は庇護の、第四調、「神の母よ、我等信者は」。次ぎて小聯締及び發放詞。
大晩課には、第一の「カフィズマ」の第一段、「主よ、爾によぶ」に、讃頌は庇護の四句に、使徒の三、及びロマンの三。光榮、使徒の、今も、庇護の、第八調、「神゜霊の品位は」。聖入。本日の提綱。庇護の喩言三篇、共に生神女就寝祭と同じ。常例の聯祷、「リティヤ」に、讃頌は庇護の、第三調、「至浄なる童貞女よ」。光榮、使徒の、今も、庇護の、第二調、「我等は心と智慧とを浄めて」。挿句に、讃頌は生神女の、第二調、「女宰よ、ハリストスは爾天上地下」、光榮、克肖者の、今も、庇護の、第二調、「至浄なる生神女よ、神の教会は」。餅の祝福に、讃詞は庇護の、第四調、「神の母よ、我等信者は」、三次。「願はくは主の名は崇め讃められて」を歌ふ、三次。第三十三聖詠、「我何の時にも主を讃め揚げん」。講説の誦讀。
早課には、「主は神なり」に、讃詞は生神女庇護の、次に使徒の。光榮、ロマンの、今も、庇護の。常例の「カフィズマ」。其後坐誦讃詞は庇護の。講説の誦讀。多燭詞の後に、坐誦讃詞は庇護の。講説の誦讀。品第詞、第四調の第一倡和詞。提綱、第四調、「我爾の名を」、句「民中の富める者」、「凡そ呼吸ある者」。福音經はルカ四端、「彼の日マリヤ起ちて亟に」。第五十聖詠。光榮、「生神女の祈祷に依りて」、今も、同上。「神よ、爾の大なる憐に因りて」。第五十聖詠の後に、讃頌、第八調、「神゜霊の品位は」、規程は.生神女庇護の、「イルモス」と共に六句に使徒の四句に、及び克肖者の四句に、共頌は「我が口を開きて」。第三歌頌の後に、小讃詞は使徒及び克肖者の、坐誦讃詞は使徒の。光榮、克肖者の、今も、庇護の。講説の誦讀。第六歌頌の後に、小讃詞は庇護の、第三調、「今日童貞女は聖堂に立ち」、及び同讃詞。祭日略解を讀む。第九歌頌の後に、光耀歌は庇護の、光榮、使徒の、今も、庇護の、「凡そ呼吸ある者」に、讃頌は庇護の四句に、光榮、使徒の、今も、庇護の。大詠頌。聖三祝文の後に、讃詞は使徒の、光榮、克肖者の、今も、庇護の。聯祷及び發放詞。第一時課。第一時課に、讃詞は庇護の、光榮、使徒の、今も、時課の生神女讃詞。聖三祝文の後に、小讃詞は庇護の。最後の發放詞。他の時課にも同じく始に庇護の讃詞を誦す、使徒及び克肖者の讃詞は交互之を誦す。小讃詞は各時課共に庇護のを誦す。
聖體禮儀には、眞福詞は庇護の規程の第三歌頌四句に、及び使徒の、第六歌頌四句に。聖入の後に、讃詞は庇護の、使徒の、及び克肖者の。小讃詞は使徒の、光榮、克肖者の、今も、庇護の。提綱、生神女の歌、第三調、「我が霊は主を崇め」、句、「蓋其婢の卑しきを顧みたり」、又使徒の、「其聲は全地に傳はり」。使徒の誦讀は庇龍の、エウレイ書三百二十端「第一の約には」又使徒行實二十一端の半より「ダマスクにー人の門徒、アナニヤ」。「アリルイヤ」、第八調、「女よ、之を聴き」、句、「民中の富める者」、又使徒の、「主よ、諸天は爾の奇異なる事」。福音經はルカ五十四端、「彼の時イイスス一の村に入りしに」、又使徒の、ルカ五十一端、「爾等に聴く者は」。領聖詞は「我救の爵を受けて」、又「其聲は全地に傳はり」順序の使徒及び福音經は預之を誦す。
【注】至聖生神女の庇護及び聖使徒アナニヤの祭日若し主日に當らば、左の如し。
「スボタ」の小晩課には、「主よ、爾によぶ」に、讃頌は主日の本調の四章、光榮、今も、庇護の。挿句に、讃頌は主日の第一の、及び庇護の大晩課の挿句の、其附唱と共に。光榮、今も、庇護の小晩課の。聖三祝文の後に、讃詞は主日の、光榮、今も、庇護の。小聯祷及び發放詞。
【注】大晩課には「主よ、爾によぶ」に、讃頌は主日の三章、アナトリイの一、庇護の三、使徒アナニヤの三。光榮、庇護の、今も、本調の生神女讃詞。庇護の喩言三篇。「リティヤ」に、讃頌は庇護の.光榮、使徒の、今も、庇護の。挿句に、讃頌は主日の、光榮、使徒の、今も、庇護の。餅の祝福に、讃詞は庇護の、三次。若し徹夜堂課を行はずば、主日の讃詞を誦す。光榮、使徒の、今も、庇護の。
早課には「主は神なり」に讃詞は主日の、二次。光榮、使徒の、今も、庇護の。「カフィズマ」の後に、坐誦讃詞は主日の、其生神女讃詞と共に。次ぎて多燭詞、及び諸讃詞、「救世主よ、天使の軍は」應答歌は本調の。坐誦讃詞は庇護の。品第詞及び提綱は本調の。福音經は主日の、及び其他。規程は主日の、「イルモス」と共に四句に、庇護の六句に、及び使徒の四句に、共頌は「我が口を開きて」。第三歌頌の後に、小讃詞は庇護及び使徒の、坐誦讃詞は使徒の。光榮、今も、庇護の。第六歌頌の後に、小讃詞は主日の。第九歌頌に「ヘルワィムより尊く」を歌ふ。光輝歌は主日の、光榮、使徒の、今も、庇護の、「凡そ呼吸ある者」に、讃頌は主日の四、庇護の四、其光榮のと共に、晩課の附唱を用いる。光榮、福音の讃頌、今も、「生神童貞女よ、爾は至りて讃美たる者なり」。大詠頌。聖三祝文の後に復活の讃詞。聯祷及び發放詞。第一時課。第一時課に、讃詞は主日の、光榮.庇護の、今も、時課の生神女讃詞、「天に在す」の後に、小讃詞は庇護の。第三時課に、讃詞は主日の、光榮、使徒の、今も、時課の生神女讃詞。「天に在す」の後に、小讃詞は主日の。他の時課にも主日及び庇護の小讃詞を更誦す。
【注】聖體禮儀には、眞福詞は本調の四句に、生神女の第三歌頌四句に、使徒の第六歌頌四句に。聖入の後に、讃詞は主日の、庇護の、及び使徒の。小讃詞は主日の。光榮、使徒の、今も、庇護の。提綱、使徒、「アリルイヤ」、福音經、及び領聖詞は先に主日の、後に生神女の。克肖なるロマンの奉事は是れを、舎きて、晩堂課に行ふ。