7月15日/28日

聖大侯亞使徒ウラディミル聖洗名ワシリイの祭日

 


小晩課

「主よ、爾にぶ」に讃頌、四句を立つ、第一調。

光榮なる大侯ウラディミルよ、爾は至上者の手に堅められて、偶像の迷を棄て、聖洗に光照せられて、ハリストスを識る知識の光を以てロッシヤの地を照し給へり。二次。

ロッシヤ人々よ、来りて、ハリストスの正教に於ける我等の首導者、常に光榮なる大侯ウラディミル、偶像を践みて、聖洗を以てロッシヤの地を照しし者を崇め讃めん。

使徒とrしき大侯ウラディミルよ、今日爾の光明なる記憶は我等に最欣ばしく輝きて、爾の神智の美しきを以て霊と心とを楽しましむ。

  光榮、第六調。

大侯ウラディミルよ、今日ロッシヤの地は爾を新なるコンスタンティン王として獲て、楽しみて祝ひ、喜びて爾の記憶を祭る。我等爾の諸子は祈祷して爾に呼ぶ、使徒とrしき者よ、我等の霊を救ひて照さんことを主に祈り給へ。

  今も、生神女讃詞、同調。

至浄なる生神童貞女よ、爾に趨り附く者は一も耻を得て爾より出づるなし、即恩寵を求めて、益ある求に適ふ賜を受く。

  挿句に讃頌、第二調。

大侯ウラディミルよ、爾は喜びて地より天に移りて、ハリストス神より尊榮を受けたり。彼に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

句、我民より選ばれし者を挙げたり。

使徒とrしき者よ、爾は神を識る知識の光線に照されて、偶像を践み、ハリストスの教を爾の郷國に植え給へり。

句、我が聖膏を以て之に膏せり。

大侯ウラディミルよ、爾がハリストスを識る知識に導きたる爾の牧群を守護して、ロッシヤの國を常に平安に護り給へ。

  光榮、今も、第八調。

来りて、今日喜びて我が族の保護者たる至浄なる生神童貞女を歌頌せん。大侯ウラディミルは彼の為に最尊き聖堂を造り、己の資産の十分の一を以て之に獻じたり。我等は之に效ひて、十分の一に易へて、讃歌を彼に奉りて、呼びて言はん、言の宮、萬有の王の美しき殿よ、我等卑微なる者に爾のおほひを蒙らせて、我が霊の救の為に我等の扶助者と為り給へ。

 

大晩課

「主よ、爾にぶ」に讃頌、八句を立つ、第四調。

爾は言と行とを以て第二のコンスタンティンたりき。彼はハリストスの教の開くる時に生れて、多年異教の中に在りき、爾は異邦の父母より生れて、爾を愛せしハリストスを愛して、喜びて彼に登れり。絶えず彼に爾の記憶を尊む者の為に祈り給へ。

シオン山はモイセイの立法に聖にせられ、見えざる者を見しに因りて永遠に楽しみて輝く。ウラディミルよ、爾の大なる都邑も楽しみて、欣ばしく輝く、黒雲を以てするにあらずして、神゜に於て子が父と偕に己の中に讃榮せらるるを見るに因る。彼に我等の霊を救ひて照さんことを祈り給へ。

福たるウラディミルよ、爾はロッシヤの人民の為に外形に於ては王にして、属神゜に於ては父たりき。爾はハリストスの使徒の如く、眞の傳道師として、救の洗禮を傳へて、邦の諸方に爾の人民を光照して、聖にし給へり。

ウラディミルよ、爾は正教の根と為り、至聖なる神゜に潤されて、我等の為に神の植えし枝、芳ばしき花を開きたる者を生長せしめ給へり。是れ奇異なるボリス、及び敬虔の熱心者グレブ、豊に衆信者に奇蹟を流す者なり。彼等と偕にハリストスの前に立ちて、我等の霊を救ひて照さんことを祈り給へ。

  光榮、第八調。

来りて、皆ロッシヤの父、我等の教導師ウラディミルの尊き記憶に會せん。彼は異邦の父母より生れて、彼を愛せしハリストスを愛し、己の祖母オリガと偕に喜びて彼に登れり。蓋偶像を踏み破りて、己の衆民に三位に於て惟一なる神を信じて、之に伏拝することを教へ、且我等の為に己の尊き枝ボリス及びグレブを生長せしめ給へり。故に我等も今欣ばしく歌を以て熱信に彼等の記憶を尊みて、愛を以て祭る。願はくは彼等は我等の為に主に祈りて、我が皇帝に敵に對する勝利を賜ひ、全世界を平安にし、我等の霊を救はんことを求めん。

  今も、生神女讃詞、「天の王は人を愛するに因りて地に現れ」。

  聖入。本日の提綱。喩言三篇、六月三日に戴す、第516頁を看よ。

  「リティヤ」に本堂の讃頌。次に聖人の、第二調。

今日敬虔なる侯ウラディミルの記憶は注がれたる香料の如く現れたり。蓋彼はハリストスを愛して、偶像を毀ち、地には我等の為に釘せられし主に奉る諸聖堂を起し、天には國と榮冠とを受け給へり。

  光榮、第六調。

来りて、皆熱心にロッシヤの父、我等の教導師ウラディミルの尊き記憶に會せん。蓋彼は異邦の父母より生れて、彼を愛せしハリストスを愛し、己の祖母オリガと偕に喜びて彼に登り給へり。故に我等も愛を以て彼を祭りて、世界を平安にし、我が霊を救はんことを主に祈るを求む。

  今も、生神女讃詞、「至浄なる者よ、我の造成者及び贖罪者ハリストス」。

  挿句に讃頌、第八調。

嗚呼至榮なる奇蹟や、今日驕れる智慧は滅され、凶悪の群は皆哭く。蓋荒れたる枝が神の力にて神の庭に植えられて、榮せらるるを見る、是れ神より榮冠を冠れる大なるウラディミル、我等の敬信の首なり。

句、我民より選ばれし者を挙げたり。

至榮なる奇蹟の淵や、幽暗に坐せし心の頑なる民は今日ウラディミルに因りて尊き教会の中に在りて楽しむ。蓋王たるハリストス神は嘗て彼をパワェルの如くに獲て、忠信なる侯として其地に立て、彼をして尊貴なる洗禮を以て其民を光照せしめ給へり。

句、我が聖膏を以て之に膏せり。

ロッシヤの誉よ、慶べ、信者の宰よ、慶べ、神聖なるウラディミル、我等の首長よ、慶べ。信の盾よ、慶べ、至榮なる奇蹟よ、慶べ、趨り附く者の穏なる湊よ、慶べ。信教の至聖なる根、及び熱切に爾を歌ひて崇め讃むる者の為に祈祷する者よ、慶べ。

  光榮、第八調。

今日ロッシヤの會集まりて、敬虔の首及び正教の傳道師、ロッシヤの諸侯の首長たる大なるウラディミル、使徒とrしき者を崇めて、歌頌と属神゜の詩賦とを以て彼を讃栄して言はん、ハリストスの勇毅なる軍士よ、慶べ、蓋爾は暴虐者敵を全く滅し、我等を其誘惑より脱れしめて、王たるハリストス神に導き給へり。嗚呼至福至榮なる者よ、我が皇帝に平安、壮健、堅固なる権柄、及び敵に對する勝利、我等の霊に大なる憐を賜はんことを祈り給へ。

  今も、生神女讃詞。

女宰よ、爾の諸僕の祈祷を納れて、我等を諸のワザワイと憂愁より救ひ給へ。

  讃詞、第四調。

光榮なる権能者ウラディミルよ、爾は諸邑の母たる神佑を蒙れるキエフの高座に坐して、美き眞珠を求むる商賈に似たる者と為れり。蓋醇正の教を尋ね、王城に使して、値貴き真珠たるハリストスを獲たり。彼は爾を第二のパワェルの如くに選びて、聖洗の盤の中に霊と體との盲目を啓き給へり。故に爾の民は爾の逝世を祭る。爾のロッシヤの國の諸長、ハリストスを愛する皇帝、及び衆民の救はれんことを祈り給へ。

  光榮、今も、生神女讃詞。

是れ古世より隠されて云々

 

早課

「主は神なり」に讃詞、二次、及び生神女讃調。

  「カフィズマ」の第一の誦文の後に坐誦讃詞、第一調。

福たる侯、使徒とrしきウラディミルよ、我等は爾信教の首及び根、偶像の破壊者たる者に呼ぶ、愛を以て爾の聖なる記憶を祭る者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。二次。

  光榮、今も、生神女讃詞。

婚姻に與らざる祝福せられしマリヤ、失望せる人の避所、神の住所よ、我等常に諸悪の非道に迷ひて、至仁なる主を怒らせし者を痛悔の途に向はしめ給へ。

  第二の誦文の後に坐誦讃詞、第八調。

光明なる燈ウラディミルよ、爾は神より言ひ難き上なる睿智に導かれ、醇正なる教を悟るに至りて、速に神の仁慈に趨り附きたり。之に因りて爾の民にも霊の目を啓かしめて、之を敬虔の教を悟るに升せ給へり。故に我等祭りて言ふ、神聖なる智慧の光を以て爾の心を照しし神は崇め讃めらる。愛を以て爾の聖なる記憶を尊む者に諸罪の赦を賜はんことをハリストス神に祈り給へ。二次。

  光榮、今も、生神女讃詞。

罪の暗は我を覆ひ、常に抑制せざる我の耻づべき行、及び良心の責は絶えず我を苦しむ。嗚呼悲しい哉、我今何處にか隠れん、誰にか趨り附きて復助を獲ん。神の母よ、我唯爾の前に俯伏して、爾に祈る、我等の霊の救はれんことを常に祈り給へ。

  多燭詞。次に讃揚詞。

使徒とrしき聖侯ウラディミルよ、我等爾を讃揚して、爾の聖なる記憶を尊む、爾偶像を踏みて、聖洗を以て全ロッシヤの地を照したればなり。

  多燭詞の坐誦讃詞、第四調。

爾はハリストスの眞の教を得んとする熱切にして堅固なる望を起して、愛を以て速に之に就き、神聖なる救贖の洗盤の中に諸罪の汚れを浄めて、爾の民を聖にし給へり。ハリストス神に我等の霊の救はれんことを祈り給へ。

  光榮

ハリストスの悦を獲たる侯、信者の教導師よ、速に援け給へ、蓋諸敵は謗りて我等を嚇す。爾の教を以て我等に敵する者に勝ちて、彼等にも爾の記憶を讃榮することを習はしめ、我等爾を歌ふ者を凡の危難より救ひ給へ。

  今も、生神女讃詞。

生神童貞女、獨潔く、獨祝福せられし者よ、我等は爾より身を取り給ひし父の言、ハリストス我が神を識るを得たり。故に常に歌ひて爾を崇め讃む。

  品第詞、第四調の第一倡和詞。

  提綱、第四調。

我民より選ばれし者を挙げたり。句、我が手恒に彼と偕にし、我が臂彼を固めん。

「凡そ呼吸ある者」。福音經はイオアン36端。

  第五十聖詠の後に讃頌、第八調。

来り集まりて、使徒等に熱中せしウラディミル、至福なる父及び教師を崇め讃めん。我等は彼に由りてハリストス神を識り、暗より光に近づきて、智慧と心とを照さる。彼の記憶日に祝ひて、共に楽しまん、彼を天國に導く醇正の嚮導者として獲たればなり。

規程は生神女の、「パラクリシス」、六句に。(其イルモス、「イズライリは乾ける地の如く」。讃詞、「多くの誘惑に圍まれて」。及び聖人の二規程、八句に。

  第一の規程、第八調。

  第一歌頌

イルモス、斫られたる者は斫られざる者を斫り分ち、日は曾て見ざりし地を見たり、水は残忍なる敵を溺らして、イズライリは過られぬ處を過り、歌は唱へられたり、主に謳はん、彼厳に光榮を顕したればなり。

神の同無原の言、昔四つの元行を造り、此を以て全世界を縛りし主よ、諸慾に縛られたる我が霊を釋き給へ、我が祝ひて、光榮なる大侯ウラディミルを歌はん為なり。

最高きより無形にして属神゜の山に降りし主宰よ、爾に求むる霊に上より豊かなる光照を遣はして、奇異なる大侯ウラディミルを宜しきに合ひて讃揚せしめ給へ。  生神女讃詞

女宰よ、爾は母及び童貞女等の誉なり、蓋母の産苦を覚えずして、世界の造成主たる生命を生み、母にして童貞女に止まり給へり。故に我等爾を崇め讃めて、爾に慶べよと呼ぶ。

  第二の規程、第六調。

  第一歌頌

イルモス、イズライリは陸の如く淵を踏み渡り、追ひ詰めしファラオンの溺るるを見て呼べり、凱歌を神に奉らん。

信者よ、来りて、属神゜の詩賦を歌ひて、尊きウラディミル大侯を榮せしハリストスを讃榮せん。

播く者に種を與ふる萬善の賦予者よ、我にも言を與へ給へ。救世主よ、我が舌の縛を解きて、熱心に爾を讃栄する為に力を得しめ給へ。

強ひて為すに非ずして、願に因りて衆を己に召し給ふ主よ、爾は昔モイセイ及びイサイヤを召しし如く、今亦忠信なる讃美すべき侯を其心中に召して、己に就かしめ給へり。  生神女讃詞

至浄なる神の母よ、爾は諸徳の美しきに飾られて、眞の神、我等を神聖なる諸徳を以て照しし主を孕み給へり。

共頌、「我が口を開きて」。

  第三歌頌

イルモス、我が心は主の中に堅められ、我が角は我が神に在りて高くなり、我が口は我が敵に向ひて開け、我は爾の救の為に楽しめり。

福たる者よ、爾の属神゜の舌は神言の角の如く鳴りて、ロッシヤの地の四極にハリストスの醇正なる洗禮を宣傳せり。爾は此に光照せられて、全地を光照し給へり。

ウラディミルよ、今日爾の至榮なる記憶は輝く。ハリストスの名を蒙れる皇帝は爾己の父祖を讃揚して、之を祭る、爾が霊智の光に導き給ひし民も之と偕にす。  生神女讃詞

生神女よ、爾の産に由りて律法の影は去りて、恩寵たる父の言ハリストス我が神は来り給へり、光榮なる侯は彼を承け認めて、爾の聖堂を麗しく飾り給へり。

  又

イルモス、爾が信者の角を高うし、我等を爾が承認の石に堅めし仁慈の主、吾が神よ、爾と均しく聖なるはなし。

仁慈なる主よ、爾はパワェルを光照して、選ばれし者と為しし如く、斯く今爾の聖洗を以て、ロッシヤの父たるウラディミルの目の疾を除き給へり。

爾は敬信なるコンスタンティンに似たる者と為り、ハリストスを爾の心に納れて、使徒の如く其誡命を全ロッシヤの地に教へ給へり。

爾は神聖なる力を有ちて、霊なきペルンの悪鬼の幕を破りて、其偶像を馬の尾に繋ぎて、軍士に之を打つことを命じ給へり。  生神女讃詞

神の器たる大侯ウラディミル、使徒パワェルに熱心に效ふ者は、聖なる幕童貞女マリヤを獲て、其名に奉る神聖なる堂を建て給へり。

  坐誦讃詞、第二調。

ウラディミルよ、爾は欣ばしき霊を以て恒に祈祷にけい醒して、上より降る泉より睿智の神゜を汲みたり。故に信徳を以て日の如く輝きて、絶えずハリストスに祈れり、宏恩なる主よ、速に世界を諸罪より救ひ給へ。二次。

  光榮、今も、生神女讃詞。

婚姻に與らざる潔き生神女、種なく萬有の主宰を生みし者よ、諸天使と偕に彼に祈りて、我等を諸の誘惑より脱れしめ、我が霊に感動と光照と諸罪の潔浄とを賜はなんことを求め給へ、爾獨速に助くる者なればなり。

  第四歌頌

イルモス、主よ、預言者アウワクムは霊智の眼にて爾の降臨を預見せり、故に呼べり、神は南より来らん、光榮は爾の能力に帰し、光榮は爾の寛容に帰す。

雲に蔽はれて後に天日の光は欣ばし、冬の閉塞の後に春は嬉し、ウラディミルよ、爾は偶像の黒雲の後に洗禮を以て光明なる日の如く我等に輝き給へり。

ダマスクに往くサウル「ファリセイ」は大なる光の小さき輝に昏まされて、洗禮を以て光照せられたり。光榮なる者よ、爾は彼に似たる者と為り、コルスンに至りて、目の昏きを除き給へり。  生神女讃詞

童貞女よ、爾は潤されざる根と現れて、光を施す果たるハリストス我が神を生みて、赦罪を生長せしめたり。祈る、諸慾に昧まされたる我が霊を照して、罪過の赦を求め給へ。

  又

イルモス、尊き教会は浄き心より主の為に祝ひ、神に適ひて呼び歌ふ、ハリストスは吾が力と神と主なり。

主宰ハリストスは至榮にして驚くべく言ひ難き奇蹟を行ふ、蓋神聖なる洗礼を以て全ロッシヤの地を新にし、ウラディミル侯を照し給ふ。

ロッシヤの諸子よ、皆欣ばしく来りて、宜しきに合ひて熱信に我が父ウラディミルを歌頌して、彼の記憶を楽しみて祭らん。

ハリストスの使徒とrしき大侯ウラディミルよ、爾は父の不虔を斥けて、爾の最尊き祖母の醇正なる教を愛し給へり。  生神女讃詞

我等は童貞女を光明なる楽園に入る神聖の門、成聖の霊場、イアコフの榮として讃美す。

  第五歌頌

イルモス、主我が神よ、我等に平安を賜へ、主我が神よ、我等を獲よ、主よ、我等爾の外に他の者を識らず、爾の名を稱ふ。

大侯ウラディミルよ、神゜を以て喜びて楽しめ、蓋爾は神に植えられたる美しき枝をハリストスに捧げたり、是れ神の嘉する爾の果たる光榮なるボリス、及び敬虔なるグレブなり。彼等と偕にハリストスの前に立ちて、我等の為に祈り給へ。

イサイヤはイエルサリムに関して奇妙なる事を預言せり、主の山及び神の家は諸山の峯に顕れんと。聖神゜の恩寵は爾に関しても之を謀り給へり、蓋爾は家を山の峯に造りて、主宰に奉れり。  生神女讃詞

イサイヤは聖神゜に因りて爾に関して奇妙なる事を言ひて、爾を種なくハリストスを生まんとする童貞女と傳へ、爾の父祖ダワィドは奇妙に爾の大なる事を預言せり、蓋仁慈なる天の王は爾より生れて、我等を救ひ給へり。

  又

イルモス、至仁なる神の言よ、切に祈る、爾に朝の祈祷を奉る者の霊を爾が神の光にて照して、爾罪の暗より呼び出す眞の神を知らしめ給へ。

今日爾の聖なる記憶に於て、神の使等は天に在りて喜びて楽しむ、蓋爾は我等を凶悪者より救ひ、全ロッシヤの地の民を悪鬼の祭より脱れしめ給へり。

悪鬼の大数、暗黒の群は、人々の滅亡の為に立てられたる偶像が地に践まるるを見て哭く。ウラディミルよ、爾は神の命に因りて之を滅し給へり。

ハリストスの僕、睿智なる大侯、我等の霊の為に祈祷する者よ、喜びて楽しめ、蓋我等皆爾に由りて悪鬼の迷惑より救はれたり。故に爾に慶べよと呼ぶ。

  生神女讃詞

讃美たる者よ、爾は潔浄を以て光れる神聖なる居處として主宰の為に備へられたり、蓋爾は獨神の母と為りて、彼を赤子として手に抱き給へり。

  第六歌頌

イルモス、人を愛する主よ、我海の水の如く世の浪に荒らさる、故にイオナの如く斯く爾にぶ、慈憐の主よ、我が生命を淪滅より引き上げ給へ。

ウラディミルよ、爾は光榮なるコンスタンティン帝の敬虔に效ふ者と為れり、彼は洗禮を以てエルリンの族を照し、爾は属神゜の洗盤を以て霊妙に爾の民を新にし給へり。

福たる者よ、爾はハリストスを愛する愛を以て霊を楽しませ、霊智なる翼を獲て、偶像の暗を飛び過ぎ、悪しき教の黒暗を拂ひて、萬有の神、救世主の宮に入り給へり。  生神女讃詞

童貞女よ、今日ウラディミルの光明なる記憶に於て、ロッシヤの正教の皇帝及び正教者の會は喜びて、爾の種なき産を歌頌し、熱切に爾の子に祈りて呼ぶ、爾を崇め讃む。

  

イルモス、誘惑の猛風にて浪の立ち揚がる世の海を観て、爾の穏なる港に着きて呼ぶ、憐深き主よ、我が生命を淪滅より救ひ給へ。

霊を滅す者たるサタナ、及び其迷謬の祭は神の力に践まれたり、蓋ハリストスは敬信なる侯ウラディミルを勝利者と顕し、彼を以て之を破りて、我等の足下に斃し給へり。

主は先にモイセイの手を以てイズライリを奴隷より救へり。同じき主は今も敬信なる侯ウラディミルの手を以て我等衆を偶像の迷謬より救ひ給へり。

ウラディミルよ、我等宜しきに合ひて爾に呼び、皆爾に歌ふ、至尊至福なる者よ、慶べ、蓋我等は爾を神と偕に扶助者として有つ。爾の諸僕を棄てずして、常に我等を護り給へ。  生神女讃詞

至浄にして讃美たる童貞女よ、我等爾に因りて救を獲たり。天使等が天に於て見んと欲する我等の神は今赤子として爾の懐に見らる。

  小讃詞、第八調。

至榮なるウラディミルよ、爾は白髪の時に、大なる使徒パワェルに似て、偶像に於ける熱心を幼児の思の如く棄てて、成全の人として、聖洗の王衣に飾られたり。今楽しみて救主ハリストスの前に立ちて、ロッシヤの國の首長及び衆民の救はれんことを祈り給へ。

  同讃詞

昔モイセイの律法を以てイズライリを照ししハリストス神よ、爾は己の降臨の顕現を以て世界を照し、爾の神聖なる門徒を遣して、諸方に爾が童貞女よりの種なき降誕を傳へ、父子及び聖神゜の名に因りて洗を施すことを命じ給へり。爾は又ロッシヤの地が罪に舊びたるを見て、爾の神゜を智慧深き光榮なるウラディミルの霊に遣して、爾聖三者の中の一なるハリストス神を識らしめ、聖洗を以て爾が選びて彼に託せし人々を光照せしめ給へり。彼等は信を以て爾に攜へられて呼ぶ、爾の嗣業たるハリストスを愛する皇帝及び其衆民を諸敵より救ひ給へ。

  第七歌頌

イルモス、少者は降りたる天使の形を以てハルデヤの爐の焚き盡す力を滅して、造物主に呼べり、讃美たる我が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

霊を滅す敵は我より原祖の神織の衣をぎたり、無原なるイイススは肉體に現れて、聖神゜の水を以て之を潔めて、我に復之を予へ給へり。光榮なるウラディミルよ、爾は彼を識るを得て、楽しみて呼ぶ、我が先祖の神は崇め讃めらる。

ダニイルはモイセイの律法を守りて、神を見るを得たり。爾は先祖の偶像を棄てて、暗の中に於けるが如くならず、乃更に大なる光榮の中に霊智を以てハリストスを父及び聖神゜と偕に仰ぎ見るを得、洗禮に光照せられて、楽しみて呼ぶ、我が先祖の神は崇め讃めらる。

  生神女讃詞

童貞女よ、敵は始に造られたる爾の原祖を誘ひて、其神聖なる衣をぎたり、爾婚姻に與からざる潔き者より出でたる我が甘愛なるイイススは彼を救ひ給へり。敵はアダムに於けるが如く之を攻めたれども、神に觸れて、烈しく破られたり。我等は爾の子に呼ぶ、我が先祖の神は崇め讃むらる。

  又

イルモス、天使は敬虔なる少者の為に爐に露を出さしめ、ハルデヤ人を焼く神の命は苦しむる者に呼ばしめたり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

ウラディミルよ、爾は至福なるオリガの孫にして、新なるエレナの愛に固められ、新なる大コンスタンティンと現れて、ハリストスに呼べり、吾が先祖の神よ、爾は崇め讃めらる。

凶悪なる詭譎者は爾に「ハリスティアニン」等と戦はんことを勧めたれども、至大なる主はコルスンに於て爾を光照し、神聖なる洗禮を受けしめて、爾に天の國を賜へり。

爾は舊びたる悪鬼の迷謬を斥けて、ハリストスの大なる門徒として、我等衆を新にして光照し、黙すなく主に呼ばしむ、吾が先祖の神は崇め讃めらる。

  生神女讃詞

永貞童女よ、永在の神は世世の先に爾を萬族より選びしに、末の日に爾より身を取りて、共に全き神及び人と現れ給へり。

  第八歌頌

イルモス、水の上に己の宮を建て、沙を以て海の界を定め、一切を持つ主よ、日は爾を歌ひ、月は爾を讃め、造物は皆世世に爾萬有の造成主に歌頌を獻る。

神聖なる口は宣べたり、正直の者の族は祝福せられんと、福たる者よ、是れ爾に應へり。蓋爾は神の選びたる聖なる爾の胤、二の勝たれぬ致命者をハリストスに獻じたり、爾は彼等を以てロッシヤの地を照し給へり。我等は爾と偕に彼等を歌頌して、世世にハリストスを崇め讃む。

福たる者よ、キエフは實に爾の國の諸邑の母と現れたり、蓋其中にハリストスは父及び聖神゜と偕に先爾の祖母、次に爾に因りて讃栄せられたり。爾の聖躯も彼處に女宰の聖堂に安息す。我等爾の民はハリストスを歌ひて、世世に崇め讃む。

  生神女讃詞

諸預言者の聲は爾より父の無原なる光及び言が、異邦民の堅き望たるエムマヌイル、神及び人として、爾より生れんとするを傳へたり。爾母たるに因りて我等の救はれんことを彼に祈り給へ。

  又

イルモス、ハリストスよ、爾は敬虔なる者の為に焔より露を注ぎ、義人の祭の為に水より火を出せり、爾は一の望にて萬事を行ひ給へばなり、我等爾を萬世に讃め揚ぐ。

父よ、爾は我等衆を霊なき偶像より逃れしめて、ハリストス神に来らしめ、敬信なる諸侯を爾の牧群の教師と為し給へり。彼等はハリストスを世々に讃め歌ふ。

福たるウラディミルよ、爾は全ロッシヤの地の為に新なるコンスタンティンと為れり、ハリストスの名を顕したればなり。我等彼を世々に讃め揚ぐ。

爾は今世々の王の前に立ちて、彼の手に因りて榮冠を冠れり。爾の不當なる諸僕の為に彼に祈り給へ、我等が彼を歌ひて、世世に讃め揚げん為なり。

  生神女讃詞

讃美たる至りて潔き童貞女よ、爾は言の雲、輝く燈、神の輅、樹蔭繁き高き山、童貞女の誉なり。

  第九歌頌

イルモス、天は懼れ、地の極は驚けり、神は身にて人々に現れ、爾の腹は天より廣き者と為りたればなり、故に天使と人々の群は爾生神女を崇め讃む。

ダワィドは昔イズライリを宰る王と為りて、民を救ひ、異邦の諸神を倒して、聖神゜に由りて神の子を傳へたり。福たるウラディミルよ、爾は聖三者に於て神を識るを得たり。我等彼を崇め讃む。

福たる者よ、神の選びたる民は今日神の母の堂に於て楽しみて、爾の記憶を祝ふべし。爾は愛を以て爾の永遠の記憶の為に之を飾りて、地の天と為し、其中に安息して、天使首の畏るべき角(らっぱ)を待ち給ふ。故に我等常に爾を崇め讃む。

  生神女讃詞

生神女よ、我等萬族は神聖なる神゜に燃されて、愛を以て爾を讃美す、爾は原母の詛を破りたればなり。我等熱切に神の言を歌ふ、爾は焚かれずして彼を爾の腹に受けて身にて生みたればなり。彼に祈りて、爾の信なる牧群が諸の危難憂愁より救はれんことを求め給へ。

  又

イルモス、天使の品位すら見るを得ざる神は、人見る能はず、唯爾至浄の者に藉りて人體を取りし言は人々に現れ給へり。我等彼を崇めて、天軍と偕に爾を讃め揚ぐ。

爾は棕櫚の如く繁り、橄欖樹の如く華さきて、多く實れる枝を張り、葡萄樹の如く二の熟したる房、尊き致命者ボリス及びグレブを捧げたり。

爾より敬虔を継ぎたる良族なる諸侯の會は今信なる民と共に爾の前に立ちて、爾を讃め揚ぐ。教導師及び速なる保護者よ、我等衆を記憶し給へ、我等が爾に由りて平安に生命を送らん為なり。

ロッシヤの人々よ、来りて、聖ウラディミル、稱してワシリイと名づけられし至福なる大侯、至榮なるハリストスの役者の尊き聖堂に集まりて、生命と拯救、恩寵と大なる憐を受けよ。

  生神女讃詞

童貞女よ、爾は地上に神を生み給へり、肉體なき者は肉體に合せられて、二性は一位に現れたり、信を以て爾至浄なる生神女に伏拝する我等衆を救はん為なり。

  光耀歌

神の栄冠者ウラディミル及び光榮なる祖母オリガよ、爾等は敬虔と熱信とを以て實に全地を照す燈と現れたり。我等も爾等を榮せしハリストス、聖者の中に奇異なる主を讃栄す。二次。

  光榮、今も、生神女讃詞。

至りて無てんなる神の母童貞女よ、爾は言ひ難く二旨二性にして一位なる神を生み給へり。彼は甘じて我等の為に十字架に釘せらるるに至るまで貧しくなりて、我等に神聖なる富を賜へり。

「凡そ呼吸ある者」に讃頌、四句を立つ、第四調。

主よ、爾は我等の侯に強き武器として爾の尊き十字架を賜へり。彼は此に由りて地上に義に合ひて住ひ、敬虔を以て輝きて、爾の仁慈に因りて天國を獲たり。故に全能なるイイスス、我が霊の救主よ、我等爾の仁愛なる摂理を讃榮す。二次。

人を愛する主よ、爾は諸王の王、諸主の主として、爾の敬虔なる役者にソロモンの智慧、ダワィドの温柔、使徒ノの正教を賜へり。故に全能なるイイスス、我が霊の救主よ、我等爾の仁愛なる摂理を讃栄す。

常に記憶せらるる侯、ハリストスを愛する者よ、爾は第一の者として甘じて侯位をハリストスに服せしめたり、蓋彼を神と識り、萬有の王及び恩者、凡の首長と有権者とに勝利を賜ふ主と承け認めたり。故に人を愛するイイスス、我が霊の救主は爾の国を堅め給へり。

  光榮、第二調。

光榮なる亞使徒ウラディミルよ、爾は人より召を受けしにあらず、乃奇異なるパワェルの如く、之を上よりハリストス神より蒙れり。蓋爾は至りて善き獲として十字架に獲られて、自ら此を以て己の武具と為して、見ゆると見えざるとの敵に勝たれぬ勝利者と現れたり。故に我等地上の者は宜しきに合ひて爾の記憶を尊みて、爾を熱心なる祈祷者として求む、勇敢を以て我等に光照と潔浄と大なる憐とを賜はんことを祈り給へ。

  今も、生神女讃詞。

  大詠頌。発放詞。

 

聖體禮儀

眞福詞は、第一の規程の第三歌頌、第二の規程の第六歌頌

  提綱、弟三調。

我が神に歌ひ歌へよ、我が王に歌ひ歌へよ。句、萬民よ、手を拍ち、歓の聲を以て神に呼べ。使徒の誦読はガラティヤ書200端。「アリルイヤ」、第六調、我は民より選ばれし者を挙げたり。句、我が手恒に彼と偕にし、我が臂彼を固めん。

福音經の誦読はイオアン35端の半より。領聖詞、義人は永く記憶せられ、悪評を懼れざらん。