主神我が救世主イイススハリストスの迎接祭
【大晩課】
103聖詠
大連祷
第一「カフィズマ」の第一段を歌ふ。
小連祷
「主よ、爾によぶ」に八句を立てて讃頌を歌ふ、第一調。(總主教ゲルマンの作)。
シメオンよ、言ふべし、爾誰をか手に抱きて殿の中に悦べる、誰に呼びて曰ふ、我今釋かれたり、我が救主を見たればなりと。此れ童貞女より生れし者、此れ神よりする神言、我等の為に身を受けて人を救ひし者なり。我等彼に伏拝せん。三次。
シメオンよ、モイセイがシナイに於て昏黒(くらやみ)の下に立法者として見し者を、嬰児と為りて、律法に順ふ者として接けよ。此れ律法を以て語りし者、此れ預言者に藉りて言ひし者、我等の為に身を受けて人を救ひし者なり。我等彼に伏拝せん。三次。
来りて、我等も神聖なる歌を以てハリストスを迎へ、シメオンの視たる救を備へし者を接けん。此れダワィドの預言せし者、此れ預言者に藉りて言ひし者、我等の為に身を受け、律法を以て語りし者なり。我等彼に伏拝せん。二次。
光栄、今も、第六調。(修士イオアンの作)
今日天の門は啓かるべし、蓋始なき父の言は其神の性を離れずして、時の始を受け、四十日の嬰児として甘じて童貞女母によりて律法の殿に攜へらる。翁は彼を手に接けて呼ぶ、主宰よ、僕を釋(ゆる)して逝かしめ給へ、蓋我が目は爾の救を見たり。人類を救はん為に世に来りし主よ、光栄は爾に帰す。
聖入。「聖にして福たる」
本日の提綱。(その日の曜日で)
パレミヤ三篇。
エギペトを出づる記の讀。(十二、十三章)。
主はイズライリの諸子をエギペトの地より引き出しし日に、モイセイに謂ひて曰へり。凡そイズライリの諸子の中の始めて生まれたる首生子を聖と為して我に属せしめよ。モイセイ往きて、衆民を聚めて曰へり、爾等エギペトの地より奴隷の家より出でし此の日を記憶せよ、蓋主は強き手を以て爾等を彼處より引き出せり。爾等彼の法を守れ。主神が爾の列祖に誓ひし如く、爾をハナアンの地に攜へ入れん時、爾凡そ始めて生まれたる男子を別ちて主に属せしめよ。後に爾の子爾に問ひて、此れ何ぞと曰はん時、爾彼に謂ふべし、主は強き手を以て我等をエギペトの地より、奴隷の家より引き出せり、蓋ファラオンが剛愎にして我等を出さざりし時、主はエギペトの地に於て凡そ首生子たる者を、人の首生子より畜の首生子に至るまで戮せり、是の故に我は凡そ始めて生まれし牡を祭として献げ、凡そ我が諸子の首生子を贖ふ、此れ爾の目の前に動かざる號と為るべし。蓋主神全能者は是くの如く言へり、爾の諸子の首生子を我に與へよ。凡そ婦男子を生まば、第八日に至りて其陽の皮を割るべし、而して三十三日間、修潔の日の満つるに至るまで、神の聖所に、司祭の前に入るべからず。其後主に燔祭の為に當歳の無てんの羔を取り、又雛鴿、或はやま鳩を取りて、之を證詞の幕の門に攜へて司祭に至るべし、或は之に代へて雛鴿二羽、又はやま鳩二羽を主の前に攜ふべし、司祭彼の為に祈祷を獻ぜん。蓋彼等は凡のイズライリの諸子より我に與へられたり、我彼等を取れり、我エギペトの地に於て悉くの首生子を、人より畜に至るまで斃しし時、彼等をエギペトの首生子に代へて聖と為して我に属せしめたり、至上なる神、イズライリの聖なる者は斯くの如く言へり。
イサイヤの預言書の讀。(六章)
ヲジヤ王の死せし年、我主の高く且挙がりたる寶座に坐するを見たり、其衣の裾殿に満ちたり。セラフィムは彼を環りて立てり、各六の翼あり、二を以て其面を蔽ひ、二を以て其足を蔽ひ、二を以て飛べり。相呼びて曰へり、聖なる哉、聖なる哉、聖なる哉、主サワオフ、其光栄は全地に満つ。門の上は呼ぶ者の聲に因りて動き、堂は烟に満ちたり。我曰へり、禍なる哉我や、我亡びん、蓋我は唇穢れたる人にして、唇穢れたる民の中に居りて、我が目は王たる主サワオフを見たり。時にセラフィムの一我に飛び来り、其手に鉗を以て祭壇より取りたるやけ炭を持ちて、我が口に触れて曰へり、視よ、此れ爾の唇に触れたれば、爾の不法は除かれ、爾の罪は潔められたりと。我主の聲を聴けり、曰く、我誰をか遣さん、誰か我等の為に往かん。我曰へり、視よ、我有り、我を遣せ。彼曰へり、往きて此の民に謂へ、爾等耳にて聴けども悟らず、目にて視れども見ざらん、蓋此の民の心は頑になれり、其耳は聴くに慵く、其目を閉ぢたり、恐らくは目にて見、耳にて聞き、心にて悟り、轉じて我が彼等を醫さん。我曰へり、主よ、此くの如くにして何の時にまで至らんか。曰へり、諸邑は荒れて之に居る者なく、家屋も亦人の居るなく、斯の地皆虚しくなる時にまで至らん。其後神は人々を継続せしめて、地に遺りたる者は増さん。
イサイヤの預言書の讀。(十九章)
視よ、主は軽き雲に乗りてエギペトに来らん、エギペト人の手にて造られたる者は其面前に震い、彼等の心は其衷に消え、彼等の神゜は其中に空しくならん。主は彼等の謀略を滅し、エギペトを苛酷なる君主の手に付さん、主サワオフ、聖なる主宰之を言ふ。エギペト人は海の旁らに在る水を飲まん、川は竭きて涸れん。主是くの如く言ふ、爾の智者は今安にか在る、彼等は主サワオフのエギペトの為に定めし事を爾に告げて云ふべし。當日エギペト人は主サワオフの彼等に置かんとする手に因りて恐れ慄かん。當日エギペトの地に主を祭る祭壇あり、其境に主に獻る柱あらん。此れエギペトの地に於て世々に主サワオフの徴と為らん、蓋彼等は主に呼ばん、主は彼等を救ふ人を彼等に遣さん。主はエギペト人に己を知らしめん、當日エギペト人は主を識り、祭と禮物とを捧げ、祈祷を献じて、己の誓を主に償わん。
重連祷
「主や我等を守り」
増連祷
「リティヤ」に讃頌、第一調。(アナトリイの作)。
日の老いたる者、昔シナイに於てモイセイに律法を賜ひし主は今日嬰児として覩られ、律法を建てし者にして、律法を行ひて殿に進められ、翁に授けらる。義なるシメオンは之を接けて、許約の成れるを見て、喜びてよべり、我が目は古世より隠されて、此の末の日に現れし秘密を見たり、此れ不信なる異邦民の黯を散ずる光、及び新に選ばれたるイズライリ民の光栄なり。故に世界に大なる恩を賜ふ主よ、爾の僕を此の肉體の繋より釋きて、老いざる奇妙なる終なき生命に入らしめ給へ。
(修士イオアンの作)。
昔シナイに於てモイセイに律法を予へし主は、慈憐なる者として我等の為に我等に似たる者と為りて、今日律法の命に順ふ。潔浄なる神は、潔き胎を開きし聖なる嬰児として、今神たるに由りて己に獻げられて、律法の詛を釋き、我等の霊を照し給ふ。
第二調。(アンドレイピルの作)。
天上の役者が戦きて祷る所の者を、シメオンは今下に物質の手に接けて、神が人々に合せらるるを傳へ、天の神が人と為りしを視て、地上の者に離るる時喜びて呼べり、幽暗に居る者の為に暮れざる光を現し給ふ主よ、光栄は爾に帰す。
(ゲルマンの作)。
今日シメオンは其手に光栄の主、曩にモイセイがシナイ山に昏黒の下に彼に石板を與ふるを見し者を接く。此れ預言者の中に語る者、亦律法を立つる者なり、此れダワィドの宣傳する所にして、衆の畏るる者、大にして豊なる憐を保つ者なり。
聖なる童貞女は聖なる者を聖所に聖務者に攜へたり、ンメオンは手を伸べ、喜びて之を接けて呼べり、主宰よ、今爾の言に循ひて、爾の僕を釋し、安然として逝かしむ。
天地の造成者は今日聖なる翁シメオンの手に抱かれたり、彼は聖神゜に藉りて曰へり、今釋かれたり、我が救主を見たればなり。
(アナトリイの作)。
今日翁シメオンは神゜に喜びて殿に入る、モイセイの立法者及び律法を行ふ者を手に接けん為なり、彼はシナイ山に於て神を見るに堪ふる者と為りて、蔽ひたる面を以てエウレイ人の不信なる心を責めたり、此は世々の先より在す父の言、身を取りし者を抱きて、異邦民に光と十字架と復活とを示せり。預言女アンナも現れて、救主・贖罪主をイズライリに傳へたり。我等彼に呼ばん、ハリストス我が神よ、生神女に因りて我等を憐み給へ。
光栄、第五調。(クリトのアンドレイの作)。
聖書を探れ、ハリストス我が神が福音經に言ひしが如し、蓋其中に我等は彼が生れ、襁褓に裹まれ、芻槽に置かれ、乳にて養はれ、割禮を受け、シメオンに抱かれ、想像或は幻像にあらず、乃實體に世に現れたるを覩る。我等彼に呼ばん、世々の先より在す神よ、光栄は爾に帰す。
今も、同調。(ゲルマンの作)。
日の老いたる者は肉體にて嬰児と為り、己の律法の契約を行ひて、母童貞女に依りて殿に攜へらる。シメオン彼を接けて曰へり、聖なる者よ、今爾の言に循ひて、爾の僕を釋し、安然として逝かしむ、蓋我が目は爾の救を見たり。
リティヤ
挿句に讃頌、第七調。(修士コスマの作)。
シオンよ、爾の宮を飾りて、ハリストス王を接けよ、天の門たるマリヤを迎へよ、蓋彼はヘルワィムの寶座と現れたり、彼は光栄の王を載す。童貞女は光る雲として、其手に黎明の前より在る子を抱く。シメオンは彼を己の手に接けて、人々に其生死の主宰及び世界の救主たるを傳へたり。
句、主宰よ、今爾の言に循ひて、爾の僕を釋し、安然として逝かしむ。
世々の前に父より輝き、季の時に童貞女の胎より出で、シナイ山に於て律法を立て、律法の命に順へる主ハリストスを、婚姻を識らざる母は殿に攜へ、見んことを約せられし者として、司祭たる義なる翁に進めたり。シメオンは彼を己の手に接けて、喜びて呼べり、此は父と同永在なる神、我等の霊の贖罪者なり。
句、是れ異邦人を照す光、及び爾の民イズライリの栄なり。
婚姻を識らざる生神女マリヤは、ヘルワィムの輅に乗せられ、セラフィムの歌に歌はるる主、律法の例を行ふ立法者を、彼より身を取りし者として、其手に載せて、翁なる司祭の手に付せり。生命を抱ける者は生命を釋かんことを求めて云へり、主宰よ、今我を釋して、我が變易なき赤子、永久の神、及び世界の救主を見たることをアダムに知らせしめよ。
光栄、今も、第八調。(クリトのアンドレイの作)。
ヘルワィムに舁はれ、セラフィムに歌はるる者は、今日律法に循ひて神の聖所に攜へられ、寶座に於けるが如く翁の手に坐し、神に適ふが如くイオシフより禮物として雙の班鳩を受け給ふ、是れ無てんなる教会及び異邦民の中より新に選ばれたる民を示す、又二の雛鴿を受く、是れ其舊約新約の首たるを示す。シメオンは己に約せられしことの成りたるを見て、生神童貞女.マリヤを祝福して、之に苦の状を預言し、且主に釋を請ひて呼べり、主宰よ、曩に我に示しし如く今我を釋し給へ、蓋我は爾永久の光、及びハリストスの名を負へる民の救主を見たり。
「主宰よ、今爾の言に循ひ」。
聖三祝文。
「天に在す」
祭日の讃詞、三次 第一調。
恩寵を満ち被むる生神童貞女よ、慶べ、爾より義の日ハリストス我等の神、幽暗に在る者を照す主は輝き出でたればなり。義なる翁よ、爾も楽しめ、爾我が霊の救主、我等に復活を賜ふ者を抱きたればなり。
【早課】
六段の聖詠
大連祷
「主は神なり」に祭日の讃詞、三次。
恩寵を満ち被むる生神童貞女よ、慶べ、爾より義の日ハリストス我等の神、幽暗に在る者を照す主は輝き出でたればなり。義なる翁よ、爾も楽しめ、爾我が霊の救主、我等に復活を賜ふ者を抱きたればなり。
「カフィズマ」の第一誦文の後に坐誦讃詞、第一調。(日本ではカフィズマと坐誦讃詞は省略されてポリエレイ多燭詞に飛ぶ)
天使の會は奇蹟を奇とすべし、我等地上の者は神の言ひ難き寛容を観て、聲を揚げて歌を唱ふべし、蓋天軍の慄く惟一仁愛の主を今翁の手は抱く。
光栄、今も、同上。
第二の誦文の後に坐誦讃詞、第一調。
聖なる寶座に父と偕に在す者は地に来りて童貞女より生れ、年歳を以て誌されぬ者は赤子と為れり。シメオン彼を手に取りて、喜びて曰へり、宏恩なる主よ、爾は今爾の僕を楽しませて、世を逝らしむ。
光栄、今も、同上。
多燭詞ポリエレイの後に坐誦讃詞、第四調。(日本ではカフィズマと坐誦讃詞は省略)
日の老いたる者よ、爾は我の為に嬰児と為れり、至りて浄き神よ、爾は潔浄に與り給ふ、我に爾が童貞女より受けし身を信ぜしめん為なり。シメオン此の奥義を暁りて、爾身に現れし神を承け認め、生命として抱き、翁に適ひて歓びて呼べり、我を逝らしめ給へ、我爾萬有の生命たる者を見たればなり。
光栄、今も、同上。
讃歌 (讃歌はスラブ系教会のみの習慣。本来は下記の句を挟みながら炉儀が終わるまでくり返す。連接歌集P332参照)
生命を賜ふハリストスよ、我等爾を讃揚して、爾の至浄なる母、今律法に遵ひて爾を主の殿に捧げし者を尊む。
次ぎて同詠隊又歌ふ。
右、我が心善言を湧き出せり、
左、我曰ふ、我が歌は王の事なり、
右、我が舌は迅書者の筆なり。
左、爾は人の子より美し。 剛き者よ、爾の剣を爾の股に佩びよ。 眞實と温柔と公義の為に急ぎて車に乗れ、 爾の右の手は爾に奇妙なる事を顕さん。 爾は義を愛し、不法を悪めり。 女よ、之を聴き、之を観、爾の耳を傾けよ。 爾の民と爾が父の家とを忘れよ。 王は爾の美しきを慕はん、 蓋彼は爾の主なり、爾彼に伏拝せよ。 民中の富める者は爾の顔を拝まん。 主は其聖殿に在り、主の寶座は天に在り。 神よ、爾の行くを見、 我が神、我が王の聖所に行くを見たり。 爾が選び近づけて、爾の庭に居らしむる者は福なり。 主よ、聖徳は爾の家に属して永遠に至らん。 我爾の名を萬世に誌さしめん、 其爾の聖人の前に善なればなり。
品第詞(ステペンナ/アンティフォン)、第四調の第一倡和詞。「我が幼き時より」
提綱、第四調。
我爾の名を萬世に誌さしめん。句、我が心善言を湧き出せり。
「凡そ呼吸ある者」。
福音經はルカ八端。
第五十聖詠の後に讃頌スティヒラ、第六調。
今日天の門は啓かるべし、蓋始なき父の言は其神の性を離れずして、時の始を受け、四十日の嬰児として、甘じて童貞女母に由りて律法の殿に攜へらる。翁は彼を手に接けて呼ぶ、主宰よ、僕を釋して逝かしめ給へ、蓋我が目は爾の救を見たり。人類を救はん為に世に来りし主よ、光栄は爾に帰す。
規程、其冠詞は、翁は欣ばしくハリストスを抱く。第三調。コスマ師の作。
「イルモス」二次、讃詞十二句に。(注:本来はイルモスを2回繰り返し、その後讚詞はくり返して12回にする。冠詞は英文のFestal
Menayonでは「至聖なる生神女よ、我等を救い給え)
第一歌頌
イルモス、昔日は深處より出でたる乾ける地の上に升れり、蓋水は徒歩にて海を渡る民の為に左右に壁の如く堅く立てり。彼等神に悦ばるる歌を捧げて曰へり、主に謳はん、彼厳に光栄を顕したればなり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
雲は水を注ぐべし、蓋日なるハリストスは軽き雲に乗るが如く不朽の手に乗せられ、嬰児として殿に現れ給へり。故に我等信者はよぶへし、主に謳はん、彼厳に光栄を顕したればなり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
年老いて弱りたるシメオンの手は堅くなるべし、翁の衰へたる足はハリストスを迎へん為に疾く進むべし。我等無形の者と偕に詠隊を為りて、主に謳はん、彼厳に光栄を顕したればなり。
光栄は、今も
智慧を以て張りたる天よ、楽しめ、地も喜べ、蓋神聖なる懐より出でし主、萬有の前に在る造成主ハリストスは、嬰児として母童貞女に依りて、神父に獻ぜらる、彼厳に光栄を顕したればなり。
共頌に同「イルモス」を歌ふ。
第三歌頌
イルモス、主、爾を頼む者の堅固よ、爾の尊き血にて獲たる教会を堅め給へ。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
世々の前に父より首めて生れし者は、不朽の童貞女より首めて生れたる嬰児と現れて、アダムに手を伸べ給へり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
誘に縁りて嬰児の如く愚蒙となりし始めて造られたる者を、原の位に回さん為に、神言は嬰児と現れ給へり。
光栄は、今も
造物主は變易なく嬰児となりて、地より出で、復地に帰る性を神性に合ふ者と顕し給へり。
共頌に同「イルモス」を歌ふ。
坐誦讃詞、第四調。(日本では省略)
昔モイセイはシナイ山に於て.神の背を視、又黒雲及び烈しき風の中に神の細微なる聲を聞くを得たり。今シメオンは我等の為に變易なく身を取りし神を手に接けて、欣ばしく此の世より永遠の生命に往かんことを急ぎてよべり、主宰よ、今爾の僕を釋し給ふ。
光栄、今も、同上。
第四歌頌
イルモス、ハリストスよ、爾の仁慈は天を覆へり、蓋爾は聖所の匱たる爾の無てんなる母より出でて、手に抱かるる嬰児として爾の光栄の殿に現れ給へり。萬有は爾の讃美に充てられたり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
生神女はよびて曰へり、シメオン、言ひ難き秘密の洞察者よ、昔が聖神゜に藉りて示されし嬰児となりたる言ハリストスを喜びて手に受けて、之によべ、萬有は爾の讃美に充てられたり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
シメオンよ、年齢に因りて嬰児たるハリストス、爾が仰ぎ望みし所の、神聖なるイズライリの慰藉、律法の設立者にして、律法の規程を行ふ主宰を喜び受けて、之によべ、萬有は爾の讃美に充てられたり。
光栄は、今も
シメオンは始なき言が肉體と偕にヘルワィムの寶座に於けるが如く童貞女の手に乗せらるるを見、萬有の存在の起原者が嬰児と為りたるを見て、驚きて之によべり、萬有は爾の讃美に充てられたり。
共頌に同「イルモス」を歌ふ。
第五歌頌
イルモス、イサイヤは預象に於て崇き寶座に坐して、光栄の諸天使に繞らるる神を見し時によべり、噫(ああ)我禍なる哉、我肉體を取る神、暮れざる光と平安とを司る者を預見せり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
神聖なる翁は母の手に乗せらるる言を見て、昔預言者に顕れし光栄を悟りてよべり、嗚呼尊き者よ、慶べ、爾は寶座の如く、暮れざる光と平安とを司る神を乗せ給ふ。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
翁は首を伏し、敬みて婚姻を識らざる神の母の足に觸れて曰へり、浄き者よ、爾は火を載す、我嬰児たる神、暮れざる光と平安とを司る者を抱くを畏る。
光栄は、今も
翁は神の母によべり、イサイヤはセラフィムよりやけ炭を受けて潔まれり、爾は手にて鉗の如く、我に爾が載する所の暮れざる光と平安とを司るものを與へて、我を照し給ふ。
第六歌頌
イルモス、翁は神より諸民に来りし救いを親しく見て、爾によべり、ハリストスよ、爾は我の神なり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
爾信者の敗られぬ救は石としてシオンに置かれたり、順はざる者の為には躓と誘との石なり。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
爾は世より前に爾を生みし者の正しき像にして、今仁慈に依りて地上の者の弱きを衣給へり。
光栄は、今も
爾至上者の子、童貞女の子、嬰児と為りし神に伏拝せし者を今安然として逝かしめ給へ。
共頌に同「イルモス」を歌ふ。
小讃詞、第一調。
ハリストス神よ、爾は己の降誕にて童貞女の腹を聖にし、宜しきに合ひてシメオンの手に福を降し、今我等の為に救を備へ給へり。獨人を愛しむ主よ、我が國を戦の時に平和にし、爾の愛する国を固め給へ。
同讃詞
我等生神女に趨り附きて、謹みてシメオンに攜へらるる其子を見ん。無形の者は天より彼を見て、驚きて曰へり、我等今奇妙至栄なる測り難く言ひ難き事を見る、蓋アダムを造りし者は嬰児として攜へられ、容れられぬ者は翁の手に容れられ、己の父の限なき懐に在す者は、神性を易へずして、甘じて身を以て限らる、獨人を愛しむ主なればなり。
第七歌頌
イルモス、爾、火に在りて神を傳へし少者に露を注ぎ、又不朽の童貞女に入りし神言を、我等讃美して、敬みて歌ふ、我が先祖の神は崇め讃めらる。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
我逝きて地獄に在るアダムに傳へ、エワに福音を報れんとシメオンはよびて、諸預言者と偕に歌へり、我が先祖の神は崇め讃めらる。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
地上の族を救はん為に、神は地獄にまで降り.悉くの虜に釋を、瞽者に見るを、亦唖者に我が先祖の神は崇め讃めらるとよぶを賜はん。
光栄は、今も
シメオンは生神女に預言して曰へり、不朽の者よ、爾の心も剣にて刺されん、是れ爾が己の子を十字架に見ん時なり。我等彼によぶ、我が先祖の神は崇め讃めらる。
共頌に同「イルモス」を歌ふ。
第八歌頌
イルモス、敬虔の範たる少者は堪へ難き火に入れられしに、焔に悩まされずして、神聖なる歌を歌へり、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
イズライリの民よ、童貞女の子、爾の光栄たるエンマヌイルを見て、今神聖なる櫃の面の前に歌へ、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。
翁は欣ばしくハリストスを抱く
シメオンよべり、視よ、此の神及び嬰児は駁論の號と為らん。我等信者は彼に歌はん、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよ。
光栄は、今も
此の神言、生命たる者は嬰児と為りて、順はざる者の為には頽、亦凡そ信を以て、主の悉くの造物は主を崇めて、萬世に讃め揚げよと歌ふ者の為には興と為らん。
共頌に同「イルモス」を歌ふ。
第九歌頌 (附唱をつけて第9歌頌を指示通りに歌うと以下の通りになる。)
生神童貞女「ハリスティアニン」等の倚恃よ、爾を恃む者を覆ひ、護り、救ひ給へ。
イルモス、我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讃む。
生神童貞女、世界の慈憐なる扶助者よ、凡の危難憂愁より覆ひて、護り給へ。
イルモス、我等信者は影及び文なる律法に於て預象を見ん、凡そ始めて生るる男子は神に獻げられたり。故に我等は無原の父より始めて生れし言、夫なき母より始めて生れし子を崇め讃む。
捧神者シメオンよ、来りて、潔き童貞女マリヤの生みしハリストスを捧げよ。
古には新に生れし者と偕に雙の斑鳩と二の雛鴿とは獻げられたり、之に代へて、神聖なる翁と貞潔なる預言女アンナとは、童貞女より生れし者、父の獨生の子、殿に獻げられたる者に務めて、之を崇め讃む。
翁シメオンは律法の設立者、及び萬有の主宰を手に抱く。
古には新に生れし者と偕に雙の斑鳩と二の雛鴿とは獻げられたり、之に代へて、神聖なる翁と貞潔なる預言女アンナとは、童貞女より生れし者、父の獨生の子、殿に獻げられたる者に務めて、之を崇め讃む。
翁我を保つにあらずして、我彼を保つ、彼我に釋を求むればなり。
古には新に生れし者と偕に雙の斑鳩と二の雛鴿とは獻げられたり、之に代へて、神聖なる翁と貞潔なる預言女アンナとは、童貞女より生れし者、父の獨生の子、殿に獻げられたる者に務めて、之を崇め讃む。
奥密なる鉗よ、何如にやけ炭を執る、何如に萬有を養ふ者を養ふ。
古には新に生れし者と偕に雙の斑鳩と二の雛鴿とは獻げられたり、之に代へて、神聖なる翁と貞潔なる預言女アンナとは、童貞女より生れし者、父の獨生の子、殿に獻げられたる者に務めて、之を崇め讃む。
嗚呼ファヌイルの女よ、来りて我等と偕に立ち、ハリストス救世主、神の子に感謝せよ。
シメオンよべり、ハリストスよ、爾我に爾の救の喜を賜へり、求む、影に疲れたる爾の役者、今恩寵を仰ぎ観て、敬みて之を傳へ、爾を讃め揚ぐる者を納れ給へ。
貞潔なるアンナは畏るべき事を預言して、ハリストス、天地の造成主を讃栄す。
シメオンよべり、ハリストスよ、爾我に爾の救の喜を賜へり、求む、影に疲れたる爾の役者、今恩寵を仰ぎ観て、敬みて之を傳へ、爾を讃め揚ぐる者を納れ給へ。
嗚呼ハリストス萬有の王よ、我等に諸敵に勝つを賜へ。
シメオンよべり、ハリストスよ、爾我に爾の救の喜を賜へり、求む、影に疲れたる爾の役者、今恩寵を仰ぎ観て、敬みて之を傳へ、爾を讃め揚ぐる者を納れ給へ。
潔き童貞女たる母よ、爾に於て行はれし事は諸天使及び人々の為に悟り難し。
貞潔にして義なる老婦アンナ預言女は殿に於て敬みて明に主宰を承け認め、之を衆人の前に傳へて、生神女を讃め揚げたり。
潔き雌鴿、きずなき牝羊は羔及び牧者を殿に攜ふ。
貞潔にして義なる老婦アンナ預言女は殿に於て敬みて明に主宰を承け認め、之を衆人の前に傳へて、生神女を讃め揚げたり。
嗚呼ハリストス萬有の王よ、我に熱き涙を與へ給へ、我甚しく害ひし霊の為に哭かん為なり。
貞潔にして義なる老婦アンナ預言女は殿に於て敬みて明に主宰を承け認め、之を衆人の前に傳へて、生神女を讃め揚げたり。
光栄はに代えて
我等敬虔にして、三光三位の神性を讃め揚ぐべし。
貞潔にして義なる老婦アンナ預言女は殿に於て敬みて明に主宰を承け認め、之を衆人の前に傳へて、生神女を讃め揚げたり。
今もに代えて
嗚呼童貞女マリヤよ、世俗の逸楽にて甚しく昧まされたる我が霊を照し給へ。
貞潔にして義なる老婦アンナ預言女は殿に於て敬みて明に主宰を承け認め、之を衆人の前に傳へて、生神女を讃め揚げたり。
畢りて後両詠隊共に第一の附唱、「生神童貞女「ハリスティアニン」等の倚恃よ」を共頌に附けて歌ふ。
光耀歌
翁は聖神゜に依りて殿に至り、律法の主宰を手に取りてよべり、今爾が言ひし如く、我を肉體の繋より釋きて、安然たらしめ給へ、我目を以て異邦人を照す光、及びイズライリの救を見たればなり。三次。
「凡そ呼吸ある者」に四句を立てて讃頌を歌ふ、第四調。(日本ではスティヒラが省略され、「光栄は」生神女讃詞に飛ぶ)
人を愛しむ主は聖書の律法を行ひて、今殿に攜へらる。翁シメオンは老いたる手にて之を接けてよぶ、今爾我を釋して彼の福楽に往かしむ、蓋我今日爾生命を司り死を制する者が死すべき肉體に包まれたるを見たり。二次。
主よ、爾は義の日として、軽き雲に乗りて、異邦人を照す光と顕れ、律法の影なることを行ひて、新なる恩寵の始を示せり。故にシメオンは爾を見てよべり、朽壊より我を釋き給へ、我今日爾を瞻たればなり。
神性を以て父の懐を離れずして、己の意に順ひて身を取りし者は永貞童女に抱かる、其手に萬有を保つ者は捧神者シメオンの手に授けらる。故に彼は歓びて呼べり、爾は今我爾の僕を釋し、安然として逝かしめ給ふ、我爾主宰を見たればなり。
光栄、今も、第六調。(ゲルマンの作)。
ヘルワィムの輅に乗るが如く、今日甘じて翁の手に坐し給ひしハリストス神よ、我等爾を歌ひて呼ぶ者を諸慾の苛虚より脱して救ひ給へ、人を愛しむ主なればなり。
大詠頌。聖三祝文
祭日の讃詞、三次 第一調。
恩寵を満ち被むる生神童貞女よ、慶べ、爾より義の日ハリストス我等の神、幽暗に在る者を照す主は輝き出でたればなり。義なる翁よ、爾も楽しめ、爾我が霊の救主、我等に復活を賜ふ者を抱きたればなり。
聯祷。發放詞。
第一時課に祭日の讃詞。「天に在す」の後に祭日の小讃詞。其他。最後の發放詞。
【聖体礼儀】
眞福詞は、祭日の規程の第三歌頌、及び第六歌頌。聖入の句、主は其救ひを顕し、諸民の目の前に其義を示せり。
(本来は上記の句を真福詞の間に挟み込んで歌うが、一般にロシアでも真福詞のみが歌われる。ギリシアではティピコンが異なりトロパリと句)
祭日の讃詞、三次 第一調。
恩寵を満ち被むる生神童貞女よ、慶べ、爾より義の日ハリストス我等の神、幽暗に在る者を照す主は輝き出でたればなり。義なる翁よ、爾も楽しめ、爾我が霊の救主、我等に復活を賜ふ者を抱きたればなり。
光栄、今も、
小讃詞、第一調。
ハリストス神よ、爾は己の降誕にて童貞女の腹を聖にし、宜しきに合ひてシメオンの手に福を降し、今我等の為に救を備へ給へり。獨人を愛しむ主よ、我が國を戦の時に平和にし、爾の愛する国を固め給へ。
提綱、生神女の歌、第三調。
我が霊は主を崇め、我が神゜は神我が救主を悦べり。句、蓋其婢の卑しきを顧みたり、今より後萬世我を福なりと謂はん。
使徒の誦読はエウレイ書三百十六端。
「アリルイヤ」、第八調、主宰よ、今爾の言に循ひて、爾の僕を釋し、安然として逝かしむ。句、是れ異邦人を照す光、及び爾の民イズライリの栄なり。
福音經の誦読はルカ七端。
領聖詞、
我救の爵を受けて、主の名をよばん。「アリルイヤ」。三次。
知るべし、主の迎接祭若し税吏及びファリセイの主日の前の主日に當らば、晩課、早課及び聖體禮儀の奉事の異例は、八月二十八日の規定と同じ。唯共頌には祭日の「イルモス」。
主の迎接祭若し税吏及びファリセイ、或は蕩子、或は断肉或は乾酪の週間の某日に當らば、其奉事式に関するマルコの章程を三歌齋経及び奉事例に看よ