主日晩課 生神女讃詞 (八調経より)

――月課経があれば月課経の生神女讃詞が歌われるが、日本では月課経が未翻訳なため八調経の生神女讃詞で代用――

<第1調>
無?(むてん)なるマリヤ、凡の智慧(ちえ)に超えて神の母と為りし至浄なる者よ、爾の至りて能力ある転達を以て、我多くの罪に圍(かこ)まれて狭めらるる者を痛悔の広きに向はしめ給へ、爾は能(よく)せざる所なき主の母として、之を能くすればなり。

<第2調>
至浄なる者よ、爾の子の無数の天使は、三聖の声を以て、爾を彼の火の状(さま)の宝座、活ける宮、常に地より彼に渡す神聖なる橋と歌ひて、天使首ガウリイルと同心に、爾歓喜(よろこび)の泉を生みし者に呼ぶ、恩寵を蒙れる者、慶べよ。

<第3調>
万物を宰制する至浄なる者よ、我霊の諸慾に氏iはげ)しく制せらるる者を爾の熱心なる転達及び母の祈祷を以て釋(と)きて、爾の子及び神に服役せしめ給へ。

<第4調>
天使の品位に超ゆる純潔なる者よ、天使と偕(とも)に常に天使及び万物を宰(つかさど)る主に祈りて、我等に諸罪の赦そを賜ひ、我等を諸慾より脱れしめ、我等を其時に彼の光栄を歌ひ及び永福を嗣ぐに勝(た)ふる者と為さんことを求め給へ。

<第5調>
潔き者よ、爾は実にヘルワィムの宝座にして、諸天使に超ゆる者なり、蓋神の言葉は我等の形を新たにせんと欲して、爾の内に入りたり、身を取りて爾より出でて、仁慈なるに由りて我等の為に十字架及び苦しみを受け、神なるに由りて復活を賜へり。故に我等爾が我等の定罪せられし性を造物主と和睦せしめしを感謝して、爾に呼ぶ、爾の祈祷に由りて我等に諸罪の赦しと憐みとを與へ給へ。

<第6調>
生神女よ、爾は天使首の声に因りて父及び聖神と同無原なる言を胎内に孕(はら)みて、ヘルワィム、セラフム及び宝座より上なる者と現れたり。

<第7調>
我等皆天使等と偕(とも)に歌を以て生神女に呼ばん、蓋彼は世界の為に救主を生み、産の後に復(また)童貞女に止どまり、其産を以て世界を迷ひより救ひ、乳にて吾が霊(たましい)の贖罪主を養ひて、我等に竭(つ)きざる糧を与へ給へり。

<8調>
光栄、今も、生神女讃詞。
我造物は常に造物主を憂ひしめて怒らす、少女よ、我に悔改を与へて我を改め、爾の助けを以て神を悦ばしむる行ひに導き給へ、我が赦罪と救ひとを得ん為なり。