諸預言者の歌頌

注:○○段にというのはカノンのトロパリの数を示す。三歌斎経を見て、その日行われるカノンのトロパリの合計が14個あれば、14段のところから始め、8個であれば8段にの位置から始めるという意味。実際は、日本語の月課経(ミネヤ)がないので、大斎平日はトロパリ8個、従って「八段に」と書かれた次の句まで続けて読んで、そこから一句ごとにトロパリを挿入していく。

第一歌頌(エギペトを出づる記15:1-19)


主に謳はん、彼厳に光榮を顕したればなり、彼は馬と乗者とを海に投てり。佑け護る者顕れて我が救と為れり、彼は吾が神なり、我彼を讃め揚げん、彼は我が父の神なり、我彼を尊み頌はん。主は軍を破る者なり、其名は主なり、彼はファラオンの兵車と其の軍とを海に投てり。簡ばれたる騎兵の軍長等を紅の海に溺らせり。淵を以て彼等を覆ひ、彼等石の如く深處に沈めり。主よ、爾が右の手は力を以て榮を顕せり、主よ、爾が右の手は敵を破り、爾は光榮の大なるを以て爾に逆ふ者を滅せり。 爾怒を發したれば、彼等を藁の如く焚けり、爾のチの気息に因りて水分れたり。
  十四段に、
大水は壁の如く凝り、濤も海の中に凝れり。敵曰へり、我追ひて及ばん、抄掠物を分たん、我が霊を飽かしめん、我が剣を以て殺さん、我が手彼等を制せん。 爾気を嘘きたれば、海は彼等を覆ひ、彼等鉛の如く大水に沈めり。 主よ、諸神の中孰か爾の如きあらん、孰か爾の如く聖にして威あり、光榮にして尊むべく、諸の奇蹟を行ふ者あらん。 爾右の手を伸べたれば、地は彼等を呑めり。爾の義を以て斯の爾が拯ひし民を導けり。 爾の力を以て彼等を爾の聖なる住所に送れり、諸民は之を聞きて慄き、フィリスティヤの居民は懼を懐けり。
  八段に、
其時エドムの諸?は恐れ惶ひ、モアフの牧伯は戦き慄き、ハナアンの居民は皆望を失へり。 願はくは畏懼と戦慄とは彼等に及ばん、願はくは爾が臂の巨なるに縁りて、彼等は石の如くならん。 爾の民の過ぐるに致るまで、主よ、斯の爾が獲たる民の過ぐるに至るまで然らん。 爾彼等を導きて、爾が嗣業の山に植え、主よ、爾が己の住所として備へし處、主よ、爾が手の作りし聖所に植え給へ。
  四段に、
主は王と為りて永遠に迄らん。ファラオンの馬は其車、其乗者と偕に海に入りしに、主は海水を以て彼等を覆へり、惟イズライリの諸子は海の中に乾ける地を行けり。
  光榮、今も。

知るべし、第二歌頌は平日之を誦讀せず、唯大四旬齋の火曜日にのみ通讀して終に至る。諸讃詞には、各段に附唱、我等の神よ、光榮は爾に帰す、光榮は爾に帰す、を誦す。

第二歌頌(申命記32:1-43)

天よ、耳を傾けよ、我語らん、地よ、我が口の言を聴くべし。我が教は雨の如く注ぎ、我が言は露の如く滴り、 微雨の嫩草の上に降るが如く、細雨の青草に上に降るが如くならん。我主の名を讃榮せん、威厳を我等の神に帰せよ。神は全能なり、其工は完全なり、其悉くの道は公義なり。神は誠實なり、其中に不義なし、主は偽なり、聖なり。然れども彼等は其前に罪を犯し、己の罪悪に因りて彼の諸子たらず、頑梗にして邪僻なる族なり。愚昧無知なる民よ、此くの如く主に報ゆるか、彼は爾の父にして、爾を己に属せしめ、爾を造り、爾を建てしにあらずや。
古の日を記憶し、歴代の年を思へ、 爾の父に問へ、彼爾に示さん、爾の翁に問へ、彼等爾に告げん。至上者は諸民に業を分ち、アダムの諸子を散じ處らしむる時に、諸民の彊界を神の使の数に循ひて定めたり、 主の分は其民イアコフ、其嗣業の範囲はイズライリなりき。 主は彼を野に見、彼に水なき荒地に遇ひて、 彼を環り保ち、彼を教へ、彼を眸子の如く護れり。 Gが其巣を覆ひ、其雛の上に翔り、 其翼を展べ、雛を取りて其羽の上に負ふが如く、 主は是くの如く獨彼等を導き、他の無神は之と偕に在らざりき。 主は彼等を地の高き處に登せ、田疇の産物を食はせ、 石より蜜を、堅き磐より油を吸はせ、 牛ノ乳酥及び羊の乳、羔の脂、ワサンの牡羊、牡山羊、及び麦の最嘉き者を之に食はせたり、爾は亦葡萄の血たる酒を飲めり。 斯くしてイアコフは食ひて飽き、至愛の者は背けり、 肥え、太り、肥満して彼を造りし神を棄て、己の救主神より離れたり。 彼等は他の諸神を以て彼を憤らせ、己の憎むべき者を以て彼を怒らせたり。 祭祀を神に非ずして悪鬼に捧げ、曾て識らざりし諸神、新なる者、隣國より出でし者、彼等の先祖が識らざりし者に捧げたり。 爾を生みし神を爾は棄て、爾を養ふ神を忘れたり。 主は之を視てチり、其子女が彼の怒を激せしに因りて曰へり、 我我が面を彼等に隠して、彼等の終の如何なるを示さん 蓋彼等は戻れる族、信なき諸子なり。 彼等は神に非る者を以て我を嫉ましめ、其偶像を以て我を怒らしめたり、 我も民に非る者を以て彼等を嫉ましめ、無知なる民を以て彼等を怒らしめん。蓋火は我が震怒に由りて燃え、地獄の深處にまで焚き至り、地と其産物とを焚き盡し、山山の基を燃さん。 我災を彼等の上に集め、我が矢を彼等に向ひて射盡さん。 彼等は饑えて衰へ、熱病と劇しき疫癘とに因りて滅びん。 我亦彼等に獣の歯及び地に匍ふ者の毒を遣さん。 外には剣、内には恐懼ありて、少者及び少女、哺乳児及び白髪の翁を滅さん。 我言へり、彼等を散らし、彼等の記憶を人人の中より滅さんと。 然れども敵の怒に由りて是を舎けり、恐らくは其敵は驕りて言はん、我が手は高し、主皆之を為ししにあらずと。 彼等は謀を失ひし民なり、智慧は其中に在るなし。 嗚呼願はくは彼等は謀り、此を悟りて、其末の如何を想はん。 若し神彼等を付さず、主彼等を賣らずば、 如何ぞ一人にして千人を逐ひ、二人にして萬人を敗るを得ん。 蓋彼等の諸神は我が神に如かず、我等の敵は自ら斯く認めたり。 彼等の葡萄の樹はソドムの葡萄の樹より、ゴモラに田園より出でたる者、彼等の葡萄は毒葡萄、其房は苦し、 彼等の酒は蛇の毒、蝮の害毒なり。 是れ我に蔵めたるに非ずや、我が庫に封じたるに非ずや。 彼等の足の躓かん時、我仇を復し、報を為さん。 其滅亡の日は近し、彼等の為に備へられたることは速に至る。 然れども主は其民を鞫きて、彼等の手を已に弱り、 繋がれたる者も繋かれざる者も幾ど無きに至りしを見ん時、其諸僕を憐まん。 其時主は曰はん、彼等の諸神、彼等の頼みし防固は安にか在る、其犠牲の脂を食ひ、其灌祭の酒を飲みたる者は安にか在る。 彼等は起ちて爾等を助け、爾等の為に覆葢と為るべし。見よ、見よ、我は我なり、我の外に神なし。 我は殺し、又生かす、我は撃ち、又痊す、我の手より脱れしむる者なし。 我天に向ひて手を挙げ、我が右の手を以て誓ひて曰ふ、我世世に活く。 我吾が閃めく刃を礪ぎ、我が手に鞫を秉らん時、 必我が敵に仇を復し、我を悪む者に報を為さん。 我吾が箭をして血に酔はしめん、 吾が剣は肉を食ひ、殺されし者虜にせられし者の血、敵の牧伯の首を食はん。 諸天よ、彼と偕に楽しめ、神の使等は皆彼に伏拝すべし。 諸民よ、彼の民と偕に楽しめ、神の諸子は皆堅固なるべし、 蓋彼は己の諸僕の血の為に報を為し、己の諸敵に仇を復し、彼を悪む者に仇を復さん。 主は己の地及び己の民を潔めん。
  光榮、今も。

第三歌頌(列王記I 2:1-10)

我が心は主の中に堅められ、我が角は我が神に在りて高くなり、我が口は我が敵の上に開けたり、蓋我は爾の救の為に楽しむ。主の如く聖なる者あらず、蓋爾の外に他の者なし、我が神の如く堅固なる者あらず。復驕れる言を言ふ勿れ、狂妄をして爾の口より出でしむる勿れ、蓋主は睿智の神にして、行為は彼に権られたり。
  十四段に、
強き者の弓は弱み、弱れる者は力を帯びたり。飽きたる者は糧の為に労働し、飢えたる者は息ふ。胎荒れたる者は七子を生み、多くの子ある者は衰ふ。主は殺し亦生かす、地獄に下し亦上す。主は貧しくし亦富ますも卑くし亦高くす 主は貧しき者を塵埃より起し、乏しき者を草芥より挙げて、之を牧伯と共に坐せしめ、光榮の位を嗣がしむ。
  八段に、
彼は其聖者の足を守る、不法の者は幽暗の中に消ゆ。蓋人は力を以て堅固なるに非ず、主は之に敵する者を砕かん、主は聖なり。智者は其智を以て誇る勿れ、強き者は其力を以て誇る勿れ、富む者は其富を以て誇る勿れ。誇らんと欲する者は主を悟りて彼を知り、且地の中に審判と義とを行ふを以て誇るべし。
  四段に、
主は天に升りて轟けり、彼は義にして地の極を審判せん。彼は力を以て其王に賜ひ、其膏つけられし者の角を高くせん。
  光榮、今も

第四歌頌(アウワクム3:1-19)

主よ、我爾の風聲を聞きて懼れたり、主よ、我爾の作為を悟りて驚けり。 爾は両の生者の間に悟られん、年の邇づく時爾は識られん、期の屈る時爾は現れん、爾の怒に因りて我が癘の擾れん時爾は矜恤を記念せん。紳は南より来り、聖なる者は樹蔭繁き山より来らん。 其光榮は天を蔽ひ、其讃美は地に盈ちたり。其朗耀は日の光の如く、光線は其手より出づ、彼は其権能の厚き愛を顕せり。 彼の言は其面前に行き、亦其後に従ふ。 彼立ちて地は震ひ、目を注ぎて諸民慄けり。 恒久の山は崩れ、永在の岡は陥りたり、彼の道は永遠なり。我はエフィオピヤの天幕が難に遇ふを観たり、マディアムの帷幕も震へり。主よ、豈に爾は河に向ひて怒るか、河に向ひて爾の憤を洩らすか、或は海に向ひて爾の怒を發するか。蓋爾は爾の馬に乗れり、爾の乗るは救なり。爾は弓を露せり、支派に與へたる許約の如し。 爾は地を裂きて河を流し、諸山は爾を見て震へり。 洪水は溢れ、淵は其聲を出し、高く其手を挙げたり。日は升り、月は其宿に立てり。爾の箭は光の中に飛び、爾の戈は電の如く閃く。 爾は憤怒を以て地を行き、忿捷を以て諸民を倒す。爾は爾の民の救の為に出で、爾の膏つけられし者を救はん為に臨めり。
  十四段に、
爾は不虔者の家の頭を碎き、之を其基より頂に至るまで裸體にせり。爾は戈を以て其将帥の首を刺せり、蓋彼等は我を散らさん為に大風の如く進み、暗に貧しき者を呑み盡さんと欲して喜べり。 爾は爾の馬を海に放ちて、大水の淵を渉れり。 我聞きて、我が心懼れたり、斯の風聲に因りて我が唇は震ひ、 疾痛は我が骨に入り、我が膝は慄けり。 然れども患難の日、即我の民を攻むる者の来らん時、我安んずるを得ん。
  八段に、
其時無花果の樹は果を結ばず、葡萄の樹は實らず、橄欖の樹は産を予へず、田畝は糧を出さず、牢には羊絶え、芻槽の傍には牛無からん。然れども我主の為に喜び、我が救の神の名に楽しまん。
  四段に、
主神は我の力なり。彼は我が足を鹿の如くならしめ、我を高き處に登らしめん、凱歌を彼に奉らん為なり。

第五歌頌(イサイヤ26:9-19)

神よ、我が神゜は夜中より爾を慕ふ、蓋爾の誡は地に在りて光なり。地に居る者は義を学べ。不虔の者は恩を承くれども義を学ばず、直き者の地に居りて猶不義を行ひ、主の威厳を顧みざらん。
  十四段に、
主よ、爾の手は高く挙りたり、然れども彼等は之を見ざりき、爾の民を悪む者は之を見て愧ぢん、火は爾の敵を噛まん。主我が神よ、我等に平安を與へ給へ、蓋凡の事は爾我等に報いたり。 主我が神よ、我等を獲よ、主よ、我等は爾の外に他の者を識らず、爾の名を唱ふ。彼等死して復活きず、減びて復起きざらん。蓋爾は彼等を糺して之を滅し、彼等の記念を全く失はしめたり。主よ、彼等に艱難を加へ、地の驕れる者に艱難を加へよ。
  八段に、
主よ、患難の時我等爾を尋ね、爾の懲罰の我等に及べる時靜に祷を為せり。妊める婦の産に臨みて苦しみ、其痛に由りて號ぶが如く、主よ、我等は爾の前に是くの如くなりき。主よ、我等爾を畏るるに因りて妊みて苦労し、爾の救の神を生みて、之を地に施せり。 我等主を頼みて亡びず、唯地上に居りて地を頼む者は亡びん。
  四段に、
爾の死者は復活し、墓に在る者は起き、地に在る者は楽しまん。蓋爾よりする露は彼等の為に醫治なり、地は其死者を出さん。
  光榮、今も。

第六歌頌(イオナ2:3-10)

我我が患難の中に主我が神に?びしに、彼我に聴けり、地獄の腹より呼はりしに、爾我が聲を聴き給へり。爾我を海の心の深處に投げたるに、流水我を環り、爾の波濤、爾の巨浪は悉く我が上を度れり。我曰へり、我爾の目の前より逐はれたり、豈復爾の聖なる殿を観んや。水は我を環りて我が霊に及び、今を限の淵は我を圍み、
  八段に、
我が首は巖の間を潜り、我地の中に下れり、其永遠の關は我を閉せり。主我が神よ、願はくは我が生命は淪滅より爾に上げられん。我が霊我を離れんとする時、我主を記愈せり。願はくは我が祷は爾に至り、爾の聖なる殿に至らん。
  四段に、
虚しくして偽なる處神を敬ふ者は己の矜恤者を棄てたり。然れども我讃美の聲を以て爾に祭を獻げん、我が誓ひし事は爾主に我が救の為に之を償はん。
  光榮、今も。

第七歌頌(ダニイル3:26-56)

主我が先祖の神よ、爾は讃揚せられ、爾の名は世々に讃榮せらる。蓋爾は凡そ我等に行ひし事に於て義なり、 爾の事は皆眞實なり、爾の道は正直なり、爾の審判は悉く公義なり。爾は凡そ我等及び我等の先祖の聖なる城イエルサリムに降しし事に於て公義なる審判を行へり、蓋眞實と義判とに縁りて悉く之を我等の諸罪の為に降せり。蓋我等爾より離れて、罪を犯し、不法を行ひ、一切の事に於て罪人と為れり、 爾の誡命を聴かず、守らず、爾が我等に福を獲しむる命を行はざりき。爾が我等に降しし事、爾が我等に為しし事は、皆公義の審判に縁りて之を行へり。爾我等を不法なる敵、憎むべき叛逆者の手に、不義なる王、全地の極悪者に付せり。今我等は我が口を啓く能はず、我等は爾の諸僕、爾を敬ふ者の為に羞及び辱と為れり。求む、爾の名に縁りて、終に至るまで我等を棄つる毋れ、爾の約を破る毋れ。爾が愛する所のアウラアム、爾の僕イサアク、爾の聖なるイズライリに縁りて、爾の慈憐を我等より離す毋れ、爾曾て彼等に其裔を天上の星の如く、海邊の沙の如く殖さんと言へり。主よ、我等は我が罪悪の故に因りて、諸民よりも小くなり、今全地に卑しくなれり。今の時我等には君も、預言者も、率領もなく、燔祭も、獻祭も、禮物も、乳香もなく、爾に祭を獻げて、爾の恩を獲べき處もなし。惟痛悔の心、謙卑の霊あり、願はくは之を納れ給へ。願はくは我等が今爾に獻ぐる祭は、牛と羊との燔祭の時の如く、肥えたる羔千千を獻ぐる時の如く爾に悦ばれんことを、蓋爾を頼む者には羞なし。 今我等一心に爾に従ひ、爾を畏れ、爾の面を尋ぬ。求む、我等を辱かしむる毋れ、乃爾の寛容に因りて、爾が慈憐の多きに因りて我等に行ひ給へ。主よ、爾が奇蹟の力を以て我等を救ひ、爾の名を榮せよ。願はくは凡そ爾の諸僕に害を為す者は羞を蒙らん、願はくは彼等は其悉くの権勢と共に辱しめられ、彼等の力は敗られん、願はくは彼等は爾が獨主神にして、全地に光榮ある者たるを知らん。時に彼等を火に投ぜし王の諸僕は石油、松脂、麻、枯枝を以て爐を焼きて止まず。
  十四段に、
火焔爐の上に起ること四十九尺、溢れ出でて、爐の旁に在りしハルデヤ人の中、其及ぶ所の者を焼き盡せり。然れども主の使はアザリヤ及び彼と同じく在りし者と偕に爐の中に降り、爐より焔を撥ね出して、爐の中に露を含める風の鳴るが如きを為せり、火は聊かも彼等に触れず、彼等を悩まさず、彼等を懼れしめざりき。 其時斯の三人口を一にして、爐の中に歌頌し、神を讃美讃榮して曰へり、
  八段に、
主我が先祖の神よ、爾は崇め讃められ、世々に尊まれ、讃め揚げらる、爾の光榮にして聖なる名も崇め讃められ、世世に尊まれ、讃め揚げらる。爾は聖なる爾の光榮の殿に崇め讃められ、世世に尊まれ、讃め揚げらる。 へルワィムに坐し、淵を鑑みる者よ、爾は崇め讃められ、世世に尊まれ、讃め揚げらる。
  四段に、
爾は光榮なる爾の國の寶座に崇め讃めらけれ、世世に尊まれ、讃め揚げらる。爾は天の穹蒼に崇め讃められ、世世に尊まれ、讃め揚げらる。
  光榮、今も。

第八歌頌(ダニイル3:57-88)


主の悉くの造物は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。主の諸天使と主の諸天は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世世に讃め揚げよ。 諸天の上に在る水と、主の萬軍は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世世に讃め揚げよ。 日と月と、天の星は主を崇め讃めよ、彼を歌ひい世世に讃め揚げよ。雨と露と、諸の風は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世世に讃め揚げよ。
  十四段に、
火と熱、寒と暑は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世世に讃め揚げよ。露と霜、氷と厳寒は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。霰と雪、夜と晝は主を崇め讃めよ彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。光と暗、電と雲は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。山と邱、地と地上の植物は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。 諸の泉と、海と河、鯨と凡そ水に泳ぐ者は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。
  八段に、
天の諸の鳥と、野獣と、一切の家畜は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。人の諸子と、イズライリ民は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世世に讃め揚げよ。 主の司祭と、主の諸僕は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世世に讃め揚げよ。諸神と諸聖人の霊、諸義人と心の謙卑なる者は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。
  四段に、
アナニヤ、アザリヤ、ミサイルは主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。 主の諸使徒、預言者、致命者は主を崇め讃めよ、彼を歌ひて世々に讃め揚げよ。 我等主なる父と子と聖神゜とを崇め讃めん、今も何時も世世に、「アミン」。我等主を讃め、崇め、伏し拝みて、世世に歌ひ讃めん。


至聖生神女の歌(ルカ1:46-55)

我が霊は主を崇め、我が神は神我が救主を悦べり、蓋其婢の卑しきを顧みたり、今より後萬世我を福なりと謂はん。 蓋権能者は我に大なる事を成せり、其名は聖なり、其矜恤は世世彼を畏るゝ者に臨まん。彼は其臂の力を顕し、心の意の驕れる者を散らせり。権ある者を位より黜け、卑しき者を挙げ、飢うる者を善き物に飽かしめ、富める者を空しく返らしめたり。其僕イズライリを納れて。我が先祖に告げしが如く、アウラアムと其裔とを世世に恤まんことを記念せり。

第九歌頌(ルカ1:68-79)

祝讃せらるゝ哉主、イズライリの神、蓋其民を眷みて之に購を為し、我等の為に救の角を其僕ダワィドの家に興せり、古世より其聖なる預言者の口を以て言ひしが如し、即我等を我が諸敵及び凡そ我等を悪む者の手より救ひ、以て矜恤を我が先祖に施し、
  八段に、
其聖なる約、即我が祖アウラアムに矢ひたる誓を記念せん、謂ふ、我等に我が諸敵の手より救はれし後、懼なく、彼の前に在りて、聖を以て、義を以て、生涯彼に事へしめんと。 子よ、爾も至上者の預言者と称へられん、蓋主の面前に行きて其道を備へ、彼の民に、其救は即諸罪の赦にして、我が神の矜恤に因ることを知らしめん。
  四段に、
此の矜恤に因りて、東旭は上より我等に臨めり、幽暗と死の蔭とに坐する者を照し、我等の足を平安の道に向はしめん為なり。
  光榮、今も