生神女のアカフィスト 三歌斎経P809〜
生神女のアカフィストは大斎第5週土曜日早課の祈りの中で行われる。しかし、ロシアではアカフィストだけが単独で行われることも多く、生神女のアカフィストだけでなく、いろいろな聖人のアカフィストもある。ここでは生神女のアカフィストの部分のみを三歌斎経から抜き出した。この歌は6世紀の聖歌者聖ロマン(ロマノス・メロードス)の作と言われ、当時のコンダクの形を残している。コンダク・イコス合わせて24節もあり、ギリシア語原文ではそれぞれの節の頭文字がギリシア語のアルファベット順にならぶ。
祈祷文付き楽譜 アカフィストのスボタ全体 トロパリとコンダクとリフレインの楽譜
[コンダク]三歌斎経
生神女よ、我等爾の僕婢は禍(わざわい)より援けられしを以て、爾克(よ)く勝つしょうすい将帥にかちうた凱歌と感謝とを奉る、勝たれぬちから權能をたも有つに依りて、我等をもろもろ諸の苦難より救ひ、爾を歌ひて呼ばしめ給へ、聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。楽譜 pdf
[第1イコス] リフレインの楽譜 pdf
首品の天使は/天より生神女に慶べよと云はん為に遣されて、此の無形の声と共に、主よ、爾が身を取るを見て、驚きて立ち、斯く彼に呼べり、
喜びの耀かんとする所以の者よ、慶べ(よ)、1
詛いの滅せんとする所以の者よ、慶べ(よ)。2
陥りしアダムを喚び起こす者よ、慶べ(よ)、3
エヴァの涙を拭ふ者よ、慶べ(よ)。4
人の意念(おもい)の登り難き巍崇(たかさ)よ、慶べ(よ)、1
天使の目にも見難き深邃(ふかさ)よ、慶べ(よ)。2
王の座たるに因りて慶べ(よ)、3
万物を載する者を載するに因りて慶べ(よ)。4
日を顕す星よ、慶べ(よ)、1
神が身を取る腹よ、慶べ(よ)。2
造物の新たにせらるる所以の者よ、慶べ(よ)、3
我等が造物主に伏拜する所以の者よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女よ、慶べ。
[第2コンダク]
聖なる者は/己の潔浄を見て、毅然としてガウリイルに言ふ、爾が告ぐる所の奇異なる事は/我が霊の為に受け難く現る、蓋し爾は如何ぞ/種なき降孕(はらみ)の産の事を言ひて呼ぶ、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第2イコス]
童貞女は悟られぬ奥秘(おうひ)を悟らんと欲して、奉事する者に呼べり、潔浄の胎より/如何ぞ子の生るるあらん、我に言へ。彼は畏(おそれ)を以て/斯く是に呼びて云へり、
言ひ難き議定の秘密者よ、慶べ(よ)、1
黙念を要する奥義を信ずる者よ、慶べ(よ)。2
ハリストスの奇跡の始よ、慶べ(よ)、3
彼のヘの首要なる者よ、慶べ(よ)。4
神の降(くだ)りたる天の梯(かけはし)よ、慶べ(よ)、1
地上の者を天に度す橋よ、慶べ(よ)。2
天使の大(おおい)に栄する奇跡よ、慶べ(よ)、3
諸惡鬼の大いに悲しむ痛傷(いたみ)よ、慶べ(よ)。4
言ひ難く光を生みし者よ、慶べ(よ)、1
何如にと何人にもヘへざりし者よ、慶べ(よ)、2
睿智者の智慧に超ゆる者よ慶べ(よ)。3
信者の智識を照す者よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第3コンダク]
其時至上者の能は/婚姻に与らざる者を妊孕(はらみ)の為に蔭(おお)ひ、其(その)胎を甘美なる田の如く、凡そ救を刈らんと欲する者の為に/善き実を結ぶ者と為して、彼等に斯く呼ばしむ、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第3イコス]
童貞女は神を受けし胎を有(たも)ちて、エリサベタの許に上りしに、其の胎兒(はらみご)は/直に彼の安を問ふを知りて、喜び躍りて、歌を以てするが如く/生神女に呼べり、
枯れざる枝の芽よ、慶べ(よ)、1
不死の果を獲たる者よ、慶べ(よ)。2
仁愛なる農夫を出す者よ、慶べ(よ)、3
我が生命の栽培者を生む者よ、慶べ(よ)。4
慈憐の豊なるを生ずる疇(はた)よ、慶べ(よ)、1
潔浄の充満を載する案よ、慶べ(よ)。2
楽園を繁栄せしむるに因りて慶べ(よ)、3
霊の為に港を設くるに因りて慶べ(よ)。4
祈祷の嘉く納れらるる香烟よ、慶べ(よ)、1
全世界の潔浄よ、慶べ(よ)。2
死すべき者に対する神の恵よ、慶べ(よ)、3
神に対する死すべき者の勇敢(いさみ)よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第4コンダク]
無?(むてん)なる者よ、貞潔なるイオシフは婚姻せざる爾を見て、竊(ひそか)に婚姻をしたりと思ひて、己の内に/疑の思の暴風(あらし)を抱きて心擾(みだ)れたり、然れども爾が/聖神°に由る懐孕(はらみ)を知りて云へり、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第4イコス]
牧者は/天使等がハリストスの肉体に於ける降臨を/歌ふを聞きて、之に牧師に於けるが如く/急ぎ来りて、其無垢なる羔の如く/マリヤの腹に養はれしを見て、歌ひて云へり、
羔(こひつじ)及び牧師の母よ、慶べ(よ)、1
霊智なる羊の牢(おり)よ、慶べ(よ)。2
見えざる敵を防ぐ者よ、慶べ(よ)、3
楽園の門を啓く者よ、慶べ(よ)。4
天の者が智の者と偕に喜ぶに因りて慶べ(よ)。1
地の者が天の者と偕に楽しむに因りて慶べ(よ)。2
使徒等の黙さざる口よ、慶べ(よ)。3
受難者の勝たれぬ勇敢(いさみ)よ、慶べ(よ)。4
信の堅固なる保固(かため)よ、慶べ(よ)、1
恩寵の輝ける印章(しるし)よ、慶べ(よ)。2
地獄の剥がれたる所以の者よ、慶べ(よ)、3
我等が光栄を衣せられたる所以の者よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第5コンダク]
博士は神妙に行く星を見て、其光に從ひ、之を燈の如く執りて、此に由りて権能の王を尋ね、詣(いた)り難き者に詣(いた)りて、歓びて彼に呼べり、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第5イコス]
ハルデヤの諸子は/童貞女の手に/人を其手にて造りし者を見て/彼が僕の形を受けたりと雖(いえども)/主宰たるを悟りて/熱切に之に礼物を奉りて、祝福せられし者に呼べり、
没せざる星の母よ、慶べ(よ)、1
奥密の日の暁よ、慶べ(よ)。2
迷の爐(いろり)を滅しし者よ、慶べ(よ)、3
聖三者の秘密者を照らす者よ、慶べ(よ)。4
残忍なる暴虐者の権を空しくする者よ、慶べ(よ)、1
仁愛なる主ハリストスを顕しし者よ、慶べ(よ)。2
偶像の役事より釈く者よ、慶べ(よ)、3
悪業の濘(ひじ)より出すものよ、慶べ(よ)。4
火の敬拜を滅せし者よ、慶べ(よ)、1
諸慾のほのおより救ふ者よ、慶べ(よ)。2
信者を貞潔に導く者よ、慶べ(よ)、3
万族の楽しみよ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第6コンダク]
捧神なる伝道師と為りし博士は/爾に関する預言を応(かな)はせ、衆に爾ハリストスを伝えてバビロンに帰り、イロドを虚言の者として遺せり、蓋彼は歌ふを知らざりき、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第6イコス]
救世主よ、爾はエギペトに真実の光を耀かして、偽の幽暗(くらやみ)を逐ひ給へり、蓋彼處の偶像は爾の力に勝(た)へずして墜ちたり。此等より救はれたる者は/生神女に呼べり、
人々の矯正(あらため)よ、慶べ(よ)、1
惡鬼の傾倒(たおれ)よ、慶べ(よ)。2
誘惑(いざない)の権を践みたる者よ、慶べ(よ)、3
偶像の虚誕(いつわり)を顕しし者よ、慶べ(よ)。4
無形のファラオンを溺らしし海よ、慶べ(よ)、1
生命に渇く者に飲ませし石よ、慶べ(よ)。2
幽暗(くらやみ)に在る者を導く火の柱よ、慶べ(よ)、3
雲より広き世界のおおいよ、慶べ(よ)。4
「マンナ」に続ぐ糧よ、慶べ(よ)、1
聖なる甘味を頒かつ者よ、慶べ(よ)、2
許役の地よ、慶べ(よ)、3
蜜と乳とを流す者よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ(よ)。
[第7コンダク]
シメオンは今の迷の世より移らんとせしに、爾は赤子(せきし)として彼に与へられたり、然れども彼に/亦完全なる神として知られたり。故に彼は爾の言ひ難き睿智を奇として呼べり、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第7イコス]
造物主は/我等彼に由りて造られし者に現れて、新たなる造物を示し給へり。蓋種なき胎より生じて、之を元のまま不朽の者と護れり、我等が奇跡を見て、之を歌ひて呼ばん為なり、
不朽の花よ、慶べ(よ)、1
節制の栄冠よ、慶べ(よ)。2
光明に復活を形る者よ、慶べ(よ)、3
天使の度生を顕す者よ、慶べ(よ)。4
美(うるわ)しき実を結ぶ樹、信者の之に由りて養はるる者よ、慶べ(よ)、1
蔭の繁き樹、衆(おお)くの者の其の下に蔽はるる者よ、慶べ(よ)。2
俘虜(とりこ)を釈く者を孕(はら)みし者よ慶べ(よ)、3
迷へる者の嚮導者(きょうどうしゃ)を生みし者よ、慶べ(よ)。4
義なる審判者に轉達する者よ、慶べ(よ)、1
多くの罪の赦免(ゆるし)よ、慶べ(よ)。2
裸体者の勇敢(いさみ)の衣よ、慶べ(よ)、3
凡ての望に超ゆる愛よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ(よ)。
[第8コンダク]
我等は奇異なる産を見て、智慧を世より離して天に移さん、蓋至高き神が/地上に謙卑なる人と現れしは、殊に彼に呼ぶ者を高きに登せんと欲したればなり、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第8イコス]
形どられぬ言は/全くして下に在り、亦全くして上(かみ)に離れざりき、蓋成りたることは/處所(ところ)の変遷に在らずして、神聖なる謙遜と神を孕みし童貞女よりの降誕(うまれ)なり。故に我等之に呼ばん、
容れられぬ神の容處(いれどころ)よ、慶べ(よ)、1
尊き奥密の門よ、慶べ(よ)。2
不信者の疑わしき風聞(きこえ)よ、慶べ(よ)、3
信者の確かなる誇よ、慶べ(よ)。4
ヘルビムの上に居る者の至聖なる輅(くるま)よ、慶べ(よ)、1
セラフィムの上に居る者の至栄なる居處(すまい)よ、慶べ(よ)。2
攻敵する者を一に集めたる者よ、慶べ(よ)、3
童貞と生産とを合せし者よ、慶べ(よ)。4
犯罪の釈かれたる所以の者よ、慶べ(よ)、1
楽園の開かれたる所以の者よ、慶べ(よ)。2
ハリストスの国の鑰(かぎ)よ、慶べ(よ)、3
永遠の福の恃頼(たのみ)よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第9コンダク]
凡その天使の性は爾が人と為りし大いなる事に驚きたり、蓋神として近づき難き者を衆に近づき易く、我等と偕に居り、衆に歌はるる人として見たり、
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第9イコス]
生神女よ、我等は多言(たげん)なる弁舌家を爾の前に/魚の如く無言なる者と見る、蓋彼等は如何に爾が/童貞女に止まりて生むことを得たるを述ぶるに惑ふ。惟我等は奥密を奇として、信を以て呼ぶ、
神の睿智の器よ、慶べ(よ)、1
彼の思慮(おもんぱかり)の宝蔵よ、慶べ(よ)。2
智識を誇る者を無智者と顕す者よ、慶べ(よ)。3
能弁者を無言者と為す者よ、慶べ(よ)。4
非理なる研究者の無能なるに因りて慶べ(よ)、1
虚説を作る者の衰へたるに因りて慶べ(よ)。2
アフィニの編み物を裂く者よ、慶べ(よ)、3
漁者の網をみつる者よ、慶べ(よ)。4
無智の深處(ふかみ)より、引き出す者よ、慶べ(よ)、1
許多の智識を照らす者よ、慶べ(よ)。2
救を望む者の舟よ、慶べ(よ)、3
生命(いのち)の海を渡る者の港よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第10コンダク]
飾る主は世界を救はんと欲して、己の許約に由りて此に來たり、牧者として神は/我等の為に我等に似たる人と現れ給へり、蓋同じき者を以て/同じき者を召して神として聽く、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第10イコス]
至浄なる生神童貞女よ、爾は童貞女/及び凡そ爾に趨り附く者の為に垣墻(かき)なり。蓋天地の造成者は/爾の胎内に居りて、斯く爾を造り、且衆に教へて爾に呼ばしむ、
童貞の柱よ、慶べ(よ)、1
救の門よ、慶べ(よ)。2
心霊の再興の所以の者よ、慶べ(よ)、3
神聖なる仁善を與ふる者よ、慶べ(よ)。4
不法に於いて妊まれたる者を新たにせしに由りて慶べ(よ)、1
智慧の乏しき者を教へしに由りて慶べ(よ)。2
意念(いねん)の破壞者を空しくする者よ、慶べ(よ)、3
潔浄を播く主を生みし者よ、慶べ(よ)。4
種なき婚姻の宮よ、慶べ(よ)、1
信者を主に配合せし者よ、慶べ(よ)。2
童貞女の善良なる教育者よ、慶べ(よ)、3
聖なる霊を聘女として主に携ふる者よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第11コンダク]
聖なる王よ、凡の歌爾の洪恩の大数を述べんと欲する者は/之を盡くす能はず。蓋し我等若し砂(まさご)の数の如き歌を/爾に捧ぐとも、爾が我等に賜ひし諸恩に適ふことを一も行はず、故に爾に呼ぶ、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第11イコス]我等は聖なる童貞女/を幽暗(くらやみ)に在る者に現れたる輝ける燈(ともしび)と見る、蓋彼は無形の火を燃やして、其のW煌(かがやき)を以て衆の智慧を照らして、神聖なる智識に導く。故に衆は彼を尊みて斯く呼ぶ、
無形の火の光線よ、慶べ(よ)、1
暮れざる光のW煌(かがやき)よ、慶べ(よ)。2
霊を照らす電(いなずま)よ、慶べ(よ)、3
雷の如く敵を畏れしむる者よ、慶べ(よ)。4
大いなる光の光照を輝かすに因りて慶べ(よ)、1
多水の川を流すに因りて慶べ(よ)。2
洗盤の型を画す者よ、慶べ(よ)、3
罪の汚れを除く者よ、慶べ(よ)。4
良心を滌ふ盤よ、慶べ(よ)、1
歓楽を斟む爵よ、慶べ(よ)。2
ハリストスの馨香(けいこう)の馥氣(かおり)よ、慶べ(よ)、3
奥密の歓楽の生命(いのち)よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ(よ)。
[第12コンダク]
衆人の罪債(おいめ)を解く主は/古の罪債(おいめ)を赦す恩寵を賜はんと欲して、親ら彼の恩寵に離れたる者に來たり、書券を裂きて衆より聴き給ふ、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第12イコス]
生神女よ、我等皆爾の産を歌ひて、爾を活ける殿として讃め揚ぐ。蓋萬物を其の手に持つ主は爾の腹に居りて、爾を聖にし、爾を栄し、衆に爾に呼ばんことを教へ給へり、
神及び言(ことば)の住所(すまい)よ、慶べ(よ)、1
至聖所より高き者よ、慶べ(よ)。2
聖神°にて金装せられたる匱(ひつ)よ、慶べ(よ)、3
生命(いのち)の盡くされぬ宝蔵よ、慶べ(よ)。4
虔誠なる諸王の尊貴なる栄冠よ、慶べ(よ)、1
敬虔なる諸司祭の貴き譽よ、慶べ(よ)。2
教会の動かされぬ柱よ、慶べ(よ)、3
国の壊られぬ墻よ、慶べ(よ)。4
勝利の旗の挙げらるる所以の者よ、慶べ(よ)、1
敵の墜さるる所以の者よ、慶べ(よ)。2
吾が体の醫治(いやし)よ、慶べ(よ)、3
吾が霊の救よ、慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[第13コンダク]
嗚呼讃美たる母、衆聖者より最聖なる言を生みし者よ、今奉献を受けて爾に呼ぶ、衆人を凡その禍より救ひ、及び将来の苦しみより脱れしめ給へ、アリルイヤ
アリルイヤ、アリルイヤ、アリルイヤ
[第1イコス]
首品の天使は/天より生神女に慶べ(よ)よと云はん為に遣されて、此の無形の聲と共に、主よ、爾が身を取るを見て、驚きて立ち、斯く彼に呼べり、
喜びの耀かんとする所以の者よ、慶べ(よ)、1
詛の滅せんとする所以の者よ、慶べ(よ)。2
陥りしアダムを喚び起こす者よ、慶べ(よ)、3
エヴァの涙を拭ふ者よ、慶べ(よ)。4
人の意念(おもい)の登り難き巍崇(たかさ)よ、慶べ(よ)、1
天使の目にも見難き深邃(ふかさ)よ、慶べ(よ)。2
王の座たるに因りて慶べ(よ)、3
萬物を載する者を載するに因りて慶べ(よ)。4
日を顕す星よ、慶べ(よ)、1
神が身を取る腹よ、慶べ(よ)。2
造物の新たにせらるる所以の者よ、慶べ(よ)、3
我等が造物主に伏拜する所以の者よ慶べ(よ)。4
聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、慶べ。
[コンダク]
生神女よ、我等爾の僕婢は禍(わざわい)より援けられしを以て、爾克(よ)く勝つしょうすい将帥にかちうた凱歌と感謝とを奉る、勝たれぬちから權能をたも有つに依りて、我等をもろもろ諸の苦難より救ひ、爾を歌ひて呼ばしめ給へ、聘女(よめ)ならぬ聘女(よめ)よ、よろこ慶べ。