15章 3つの聖体礼儀

1. 金口イオアン

 聖大ワシリーの聖体礼儀、先備聖体礼儀を行なうように指示された日以外の、年間で聖体礼儀を行なってよいすべての日に行なわれる。

 第三時課、六時課に続いて行なわれる。福音祭が大斎の平日に当たる場合(土曜日の場合は、先備聖体礼儀に代わる)また受難週の月、火、水、金曜日に重なる場合は、三時課と六時課、九時課、ティピカ、晩課に続いて、聖体礼儀を行なう。

 金口イオアンの聖体礼儀と聖大ワシリーの聖体礼儀はすべての正教会の標準として6世紀にとり入れられた。

2. 聖大ワシリー

 11日(114)の聖大ワシリー祭、大斎中の5つの主日、降誕祭、神現祭が日曜、月曜に重なる場合には三時課六時課に続いて聖大ワシリーの聖体礼儀を行なう。降誕祭、神現祭が日、月以外の日で、当日金口イオアンの聖体礼儀が行なわれる場合は、前晩の晩課につづいて行われる。また聖大木曜日、聖大土曜日には晩課に続いておこなわれる。

 金口イオアンまたは聖大ワシリーの聖体礼儀が晩課に続いて行なわれる場合には奉献礼儀(プロスコミディヤ)は「主や爾に呼ぶ」(ケクラガリアのスティヒラ)の間に行なう。プロスコミディヤの終わりの炉儀を通常どおり行なう。聖入前に王門を開き、「聖にして福たる」とポロキメンのあと閉める。聖三讃詞と高声のために開いておく。通常の聖体礼儀の様式に従って閉める。

3. 問答者聖グレゴリーの聖体礼儀

 問答者聖グレゴリーの聖体礼儀(先備聖体礼儀)は常に晩課に続いて行なわれる。三時課、六時課、九時課、ティピカ、晩課に続いて聖体礼儀。

 大斎期間のすべての水、金曜日、第5週木曜日(クリトの聖アンドレイの大カノンの日)、(福音祭が重なる場合、先備聖体礼儀はその前の火曜日に行ない、金口イオアンの聖体礼儀を祭の当日の木曜日に行なう)大きな聖人の記憶日(例えば40人の致命者、前駆の頭の三度めの発見など)が土曜以外の大斎中に行なわれる場合、受難週の月、火、水曜日。

 福音祭が先備聖体礼儀のある日に重なる場合は、晩課に続いて金口イオアンの聖体礼儀を行う。

4.聖体礼儀を行なわない日

 以下の日には通常、聖体礼儀の執行が禁じられる。

1)乾酪の主日の前の水、金曜日:ただし主の迎接祭または堂祭が水、金に重なる時は金口イオアンの聖体礼儀を行なう。三聖人の祭(130日/210)、前駆授洗イオアンの首の発見(224日/39)が乾酪週の水金にあたる場合はその日の前日の火曜日か木曜日に移動。

2)大斎の月曜日、火曜日、木曜日:ただし福音祭が重なる場合は金口イオアンが行なわれる。堂祭、大聖人の祭日がこれに当たる場合は、先備聖体礼儀が行なわれる。

3)聖大金曜日:福音祭が重なる場合は、特別の組み合わせで金口イオアンの聖体礼儀を行なう。

4)降誕祭が日曜、月曜に重なる場合の1222日または23日の金曜日。神現祭が日曜、月曜に重なる場合の13日(1164日(117)の金曜日。


16章 聖体礼儀をおこなうために司祭と輔祭の献じる準備について

 奉神礼的な一日は夕刻から始まるので、聖体礼儀の準備は前日の晩に始まる。以下のような式順を献ずる。

 1.晩課 晩課が行なえない場合は、ひとりで読む。

   ・晩堂課を読む

 2.晩堂課はカノンによって以下の順に従う。

   @至愛なるイイススのためのカノン

   A神の母の転達のカノン(しばしばパラクレシスと言及される)

または、八調経にあるその日の晩堂課の生神女のカノン
   B守護天使のカノン

 3.退出前の祝文


 4.聖体礼儀の朝、領聖準備規定を読まなければならない(または、輔祭堂役の読むのを聞く)この課を行なわずに聖機密を行ったり、ご聖体を領けたりしてはならない。


平日の準備

 平日の聖体礼儀の準備は、上記の1.2.3.4を守る。2.は以下のように変る。

1)月曜日の聖体礼儀の準備にはAのあと「天使のカノン」が加えられ、Bの守護天使のカノンを省くことができる。
2)火曜日

 @主、イイススのカノン (八調経の「痛悔のカノン」を用いてもよい)

 A生神女のパラクレシス

 B前駆授洗イオアンのカノン

 C守護天使のカノン

3)水曜日

 @至愛なるイイススのカノン

 Aホデゲトリアの生神女のカノン(または他の生神女のカノンを用いてもよい。

 B守護天使のカノン

4)木曜日

 @主イイススのカノン(八調経の「痛悔のカノン」をもちいてもよい。

 A生神女のパラクレシス

 B守護天使のカノン

 C聖使徒のカノン

 D聖ニコライのカノン(オプション)

5)金曜日

 @尊貴なる生命を施す十字架のカノン 

 A生神女のパラクレシス

 B守護天使のカノン

6)土曜日

 @至愛なるイイススのカノン

 A生神女のアカフィストのカノン

 B守護天使のカノン

 C衆聖人のカノン

  D死者のカノン(DはPsalter1960モスクワ:499500ページ)には含まれていないが、ウスタフ(ニコルスキー、1900ペテルブルグ:372ページ)にはある。

復活祭期

 復活祭期には、各平日にも「平日の記憶」を行わず、聖なる「復活」を祝う。従って上記の「平日の準備」のアウトラインに従う必要がない。その代わりとして、1.は行なう。2.の代わりにパスハのカノンを読み、3.4.は行なう。


17章 聖体礼儀の執行のための一般的指示


[炉儀]

 啓蒙礼儀の始まりの前に、炉儀の項に示したとおり炉儀を行なう。

[アンティフォン]

 指示されたアンティフォン、または、ティピカの聖詠「我が霊よ、主を讃め揚げよ」と「我が霊よ、主を讃めあげよ、我生けるうち…」を行う。短縮したり、省いたりしない。

 真福詞は全部歌う。早課のカノンの讃詞をスティヒラとして真福詞に組み込んで歌うことを推奨する。歌うための調はカノンに示されたのと同じ。これをおこなっても5分とかからない。「爾の国において」を世俗のオペラ的な音楽の混みいった作曲で歌うよりもずっと宣教に役立つ。真福詞を歌う間に、輔祭の「主に祈らん」で中断しない。この輔祭の祈願が司祭の聖入祝文「主宰、主…」と同じく静かに言う。

[小聖入]

 平日には小聖入のあとトロパリを歌うとき、以下の一般的指示を守る。(1)堂のトロパリ、(2)その日のトロパリ、(3)同じ順序で月課経の聖人のトロパリとコンダク。平日には「光栄」のあとコンダク「ハリストスや爾の僕の霊を…」(必要ならば)「今も」のあとコンダク「生神女や我等爾の僕婢…」「ハリストスや爾の僕の霊」は「今も」のあとに歌うことはないが、生神女聖堂の生神女讃詞はその堂がハリストスに献げられていない場合は、必ず歌う。または「生神女や我等爾の僕婢…」を歌う。

その堂がハリストスに献じられている場合は、以下のとおり。平日には、トロパリの順は堂のトロパリ、続いて「今も」のあとそのコンダク。主日にはハリストスの堂のトロパリとコンダクは歌わず主日の調の復活のトロパリとコンダクに代わる。

聖堂が生神女に献じられている場合は@平日には、まず堂のトロパリ「今も」のあとコンダク A主日には主日のトロパリに続いて生神女のトロパリ、「今も」のあと生神女のコンダク

 高声「save the God fearing」は用いない。コンダクに続いて司祭は高声「蓋我が神や、爾は聖なり」と輔祭「世々に」。「蓋我が神や」の前の輔祭の「主憐れめよ」は主教祈祷の時のみ

[使徒経と福音経の読み]

 毎日規定された使徒経と福音経の読みは省いてはならない。平日に、大祭、主な祭日があたる場合は、当日の分の端(レクション)を前日の聖体礼儀で一まとめにして読む。

 ポロキメンの間や書礼の読みの始まりに炉儀を行ってはならない。読みの終わり、アリルイヤの間に行なう。これは小炉儀。宝座と至聖所の炉儀のあと、救主と生神女のイコンのみ(イコノスタス全部ではない)それから教役者と神品。

 アリルイヤは祭日聖体礼儀のみでなく平日の聖体礼儀にも歌う、または読む。

[連祷]

 連祷は以下のような順が適当。
   1)「教会を司る至聖なる我等の主教(某)・・・、
   2)「我が国の天皇及び国を司る者のため・・・(大連祷と同じ)

大連祷で「For our divinely protected county, the authorities and armed forces主に祈らん」の「主に祈らん」の部分の代わりに「and that we may pass all our live in peace, goodness and sanctity.

 重連祷の間に個人的な希望で祈りや祈願を加えない。総主教の指示に従う。
 主日や大祭の聖体礼儀では名前を挙げて「死者の連祷」を唱えてはならない(死者のための聖体礼儀は別)。聞こえるように名前を唱えることが習慣になっている教会(墓地の教会で日曜日に定期的に死者の記憶を行う場合)では、陪祷している司祭や輔祭全員で行い、必要以上に祈りを長引かせないようにする。名前を読み上げる間「主憐れめよ」を、名前が聞こえなくならない程度の小さな声で歌ってもよい。

[大聖入]

大聖入では輔祭が総主教を記憶し、司祭「願くは主、神は教会を司る尊貴なる我等の(府)主教(某)を」「願くは主、神は其国に於て、爾衆正教のハリスティアニン等を」。司祭はここで主教が唱える記憶を行わない。

 

[王門]

聖体礼儀の間、王門が開くのは@小聖入から啓蒙者の連祷まで、Aヘルビムの歌から聖入の終わりまで、B信徒領聖から終わりまで。(アメリカでは祈祷の始まりから啓蒙者の連祷まで王門を開いている。これは府主教ボリスの祝福によるものである。司祭もランクによっては主教と同じく祈祷の間中王門を開く許可を得ているものもある。)

 

[万寿詞]

退出の時に万寿詞「ポリクロニア(いくとせも)」を歌う。 

[モレーベン]とりなし

 大モレーベンでは「いくとせも」は以下の通りに唱える。@The great lord and father, our Most holy Patriarch of Moscow and all Rus’ and of the Holy Trinity St. Sergius Laura the Sacred-Archmandrite…Metropolitan or Archbishop or Bishop, etc.. and entire blessed council; grant O Lord, prosperity and peaceful life, health and salvation and furtherance of all good things and preserve them for many years.

AProsperity and peaceful life, health and salvation, and the furtherance in all goodness, grant O Lord to our divinely protected country, the authorities and the armed forces and preserve them for many years.

B高位聖職者が司祷している特別の場合には、「この聖堂の牧者及び兄弟、ここに集まり祈るすべての正教徒、主よ、創建、長寿、平安なる生活、万事におけるよき進歩を与えて彼らをいくとせにも護り給え」

 

[主教の聖体礼儀]

主教祈祷では「主や、殊に教会を司る至聖なる総主教・・」のあとに、長輔祭は「主や、我等の尊貴なる全日本の府主教及び東京の大主教・・・いまこの至尊なる祭品を・・・」

 (教会暦 1947

 


18章 複数の司祭による聖体礼儀


.聖体礼儀の前の祈り

 聖体礼儀に立つ司祭は全員そろって、聖体礼儀の前に入堂の祝文を誦する。司祷者はエピタラヒリをつけ、他の司祭は、エピタラヒリをつけずに、リヤサとカミラフカ(位による)をつける。輔祭はリヤサを着る。宝座に接吻し(接吻する前にカミラフカをとること)北、南門からソレヤに出る。

 神品は王門前、ソレヤに一列に並ぶ。司祷者は中央。司祷者は静かに始めの祈り「神よ我罪人を浄め給へ」(3回)を献じ、神品全員は十字を描き、叩拝3回。輔祭は「君や祝讃せよ」司祷者「我等の神は恒に崇め讃めらる…」輔祭「アミン」「天の王」「聖三〜天主」その他祝文。トロパリ「至善なるハリストス神や、我等爾が至浄の聖像に…」の前に、全員カミラフカをとる。平日には伏拝、主日、12大祭には躬拝。救主のイコン(小さいの)に接吻する(位に従って)次のトロパリ「慈憐の泉なる生神女や」においても同じ順で行ない生神女の(小さい)イコンに接吻する。司祭は全員頭を下げて「主や爾が聖なる住所の高きより…」を黙唱、司祷者は右の人々、左の人々に頭を下げる。右側の司祭は左へ、左側の司祭は右へ頭を下げる。司祭は全員会衆に向き直り、頭を下げ、司祷者がまず右の門から入り、右側の司祭はあとにつづき、左側の司祭は左の門から至聖所に入る。至聖所に入る時門のイコンに接吻する。宝座に近づく時、躬拝1回、接吻し、全員着装する。

.奉献礼儀

 奉献礼儀は、最年少の司祭または当番の司祭が行なう。奉献礼儀のあと、六時課を読む間に、輔祭は至聖所と堂内を炉儀、全堂炉儀を省略すべき理由はどこにもない。

.啓蒙礼儀 

 啓蒙礼儀を始める前に、司祭は序列に従って宝座の脇に立つ。司祷者は宝座の前、輔祭は宝座前面の角に向かってその右と左に立つ。司祷者は司祭に聞こえるくらいの声で「神よ、我罪人を浄め給ヘ」神品は全員司祷者とともに十字を描き躬拝3回。このあと司祷者は手を上げて(手のひらを手前に向けて)「天の王」「至と高き」「主よ、我が唇を啓け」を誦する。おのおの、祈りのたびに神品全員十字を描き躬拝。司祷者以外は手を上げたり、祝文を声に出して言わないこと。輔祭は祝福を受けて、啓蒙礼儀を始める。

 聖体礼儀中、陪祷司祭は、おしゃべりをしてはならない。自分の場所に立ち、静かに祝文を読む。小聖入の小連祷、以降の高声は陪祷司祭が交替で唱える。

.小聖入

 「爾の国において」または、小聖入のアンティフォンを歌う間に、司祷者と輔祭は躬拝2回。司祷者は福音経に接吻し、輔祭に手渡す。輔祭は高処に行く。司祷者と司祭は十字を描き躬拝し、宝座に接吻。(立っている位置に従って)司祷者は接吻しない。序列の順に輔祭の後に続く(最年少の司祭から)。司祭は宝座と同じ順でソレヤに並ぶ。輔祭がいない場合、司祷者が自分で福音経を捧げ持つ。「主に祈らん」「主憐れめよ」と聖入祝文は3アンティフォンの歌を中断しないように静かに歌う。輔祭はソレヤで聖入の祝福を受けた後、司祷者が福音経に接吻するために近よせる。アンティフォンの真福詞が終わった後王門のアーチの下に立って「叡智、粛みて立て」福音経を上げるが聖号は描かない。

 輔祭は至聖所に入り福音経を宝座に置く。輔祭がいなければ、司祷者が「叡智、粛みて立て」福音経で十字を描き宝座に置く。このあと王門の救主の小イコンに接吻し、堂役を祝福し、王門左の生神女の小イコンに接吻。司祭は自分の側の、どちらか一方のイコンに接吻する。

.聖三祝文

 トロパリ、コンダクを歌った後、司祷者は「蓋、我が神や爾は聖なり…」輔祭は王門を出て、高声「世々に」を終わる時、会衆の方へ向き直る。「蓋、我が神や」の高声の前の輔祭の祈願「主に祈らん」は許されていない。行なっているのは大まちがい。「聖三」を歌う間に、司祷者はひとりで歌の順序と同じく三回聖三祝文を唱え、宝座に接吻し、高所に行き、南端に立つ(中央ではない)。主教のみが高所に立つ(座る)ことが許される。司祭は宝座に接吻し順に従って高所の両側に立つ。

 

6.書礼と福音の読み

  高声「衆人に平安」の前に司祷者は右、左の司祭に頭を下げる。輔祭がいなければアリルイヤの間に福音前の炉儀を第三位の司祭が行なう(3人いれば)。第二位の司祭は書礼おあと司祷者に頭を下げ、宝座へ行き、福音経を輔祭にわたす。輔祭がいなければ司祷者が宝座で福音を読む。(アメリカ正教会で許可されている習慣、福音を読む時会衆の方を向くのは不適当ではない)福音の読みのあと、司祷者は輔祭から福音書を受け取り、第二位の司祭に手渡し、宝座の上、聖龕のすぐ前に立てる。

 

 7.重連祷

 重連祷の時、総主教のための祈願の時、司祷者はアンティミンスの下半分を開く。啓蒙者の連祷「義の福音経を彼等に啓かん」の時、陪祷の第一位、第二位の司祭はアンティミンスの上半分を開き、十字を描き、司祷者に頭を下げる。

 重連祷の高声は司祷者が言う。ヘルビムの歌までの連祷の高声は司祭が順番に、あるいは司祷者が指名して交替で言う。 

8.ヘルビムの歌の時、司祷者だけが両手を上げて、声に出してヘルビムの歌「我等奥密にしてヘルビムを像り」を誦する。大聖入の時、輔祭は「願くは主、神は其国に於て、Our Most Revernd Patriarch Vicar(name), Bishop of (name), may the Lord God remember in His Kingdom always, now and ever and unto ages of ages.」司祷者「願くは主、神は教会を司る尊貴なる我等の(府)主教(某)」第2の司祭「願くは主、神は其国に於て、爾衆正教のハリスティアニン等を」

 残りの司祭は何も言わない。司祭に何か唱える機会をあたえるためだけに、何かをつけ加えることは勧められない。

9.アナフォラ

 ヘルビムのあとの高声は、すべて司祷者が行なう。聖体機密のカノンの間、すべての正教会で確立された形に従う。司祷者は会衆に向かい、手で祝福し、「願くは我が主イイスス・ハリストスの恩(めぐみ)、神・父の慈しみ、聖神の親しみは、爾衆人とともに在らんことを」を唱える。次の高声「心上に向かうべし」からは宝座の方を向いて行なう。聖祭品を上げる間「爾の賜を、爾の諸僕より衆の為、一切の為に……」の時、司祷者はポティールやディスコスでアンティミンス上に十字を描かないこと。

 「特に至聖至潔にして至りて讃美たる…」司祷者は聖祭品に炉儀(3回ずつ3回)

10.領聖

 御聖体を受ける前に司祷者は「神よ、我罪人を浄め給へ」(3回 叩拝3回)続けて「主神我等の救世主イイスス・ハリストスの至尊至聖なる血を、我神の僕司祭(某)領く、我が罪の赦と永生とを得んがためなり、」陪祷者に頭を下げ「Bless me, holy father and forgive me a sinner 」陪祷者も同様に頭を下げる。司祷者は西を向き、同じことばで信者の許しを願う。そのあと「夫れ我は吾が死せざる王及び神に就く」平日には伏拝(主日、十二大祭には躬拝)宝座の角に接吻し、ハリストスの聖体を左手で右手のひらにのせ、第二の司祭の立つ宝座の右側に立つ。次に右側に立つ司祭は高処を通って左側へ行き、序列に従って列に並び、同じハリストスの聖体を領ける。第二の司祭は、ハリストスの聖体を持って司祷者の周りを廻らず、宝座の左を通って司祷者の次に立つ。司祭は、手にハリストスの聖体を持つ間は、他の司祭の後ろを廻らない。従って、司祭はハリストスの聖体を持った司祭が通れるように宝座から離れて並ぶ。全員がハリストスの体を持ったら司祷者は宝座の中央に戻り、領聖祝文を唱える「我信じ、かつ承け認めて…」祝文の終わりに司祭全員が聖体を食する。司祷者は次にポティールを受け、ハリストスの聖血を輔祭に授ける。司祭ひとりと輔祭の場合、輔祭は司祭の祝福をうけ、司祭と一緒に聖体を領ける。聖血を領けるために陪祷者全員は宝座の右から近づき小さな躬拝をして、飲む前に「神の僕(某)主、神、我等の救世主・・・」を言う。司祭全員が領けたあと、司祷者は輔祭に授ける。聖物を食し尽す司祭以外は、ワインの入った温水とアンティドールを頂く。

11.感謝

 「今も」の高声のあと司祷者は王門のアーチの下に立ち、ポティールで会衆を祝福して、昇天の前にオリ−ブ山で我が主イイスス・ハリストスが最後の祝福をしたのを思い起こす。

 連祷の高声「謹みて立て、神聖、至浄、不死にして生命を施す……」司祷者は、アンティミンスとスポンジに接吻し、アンティミンスをたたむ。左右に立つ第一の司祭が手伝う。次の2人の司祭は(いれば)福音経を持ち、アンティミンスの上に立てる。司祷者が「蓋、爾は我等の成聖なり…」の高声を唱える時、福音経でアンティミンス上に十字を描き、アンティミンスの上に寝かせておく。

 昇段外の祝文は最年少の司祭が行なう。至聖所を出る前に十字を描き、宝座に接吻し、司祷者に頭を下げる。

 司祷者が「願わくは主の名は崇め讃められ…」の後で説教を行なう場合は、陪祷司祭はソレヤに立って聞く。

12.発放  

 発放のために、神品は全員王門から至聖所を出る。司祷者は手持ち十字架を持って発放詞を言う。神品は全員十字架に接吻し至聖所に戻り、祭服をぬぐ前に、領聖感謝祝文を読む。

(教会暦194753-54