16、領聖準備 ――信仰の表明
司祭は私たちに対してお互に仲よく愛し合うように勧めました。神からの贈物を受ける為には、私達がお互に愛し合うことが第一だからです。
それから、私達がこの贈物を受けるためには私達が何を信じているかをはっきり宣言することも必要です。私達が神、父と子と聖神・・・についてどの様に信ずるかを言い表しているお祈りは信経と呼ばれ、それは「我信ず」と云う言葉で始まっています。信経は私達が聖体礼儀の度毎にとなえられる特別なお祈りです。
あなたは誰か洗礼を受けるのを見たことがありますか?洗礼を受ける準備をしている人に対して司祭は「あなたはハリストスを信じますか」と尋ねます。洗礼を受けようとする人は、この質問に対して信経をとなえることによって答えます。赤ちゃんが洗礼を受ける時には代父か代母が代わってとなえます。
私達が信経を聖体礼儀の度毎にとなえるのは洗礼の時と同じように現在も信じ続けていることを示すためです。
「偉大な信仰の人」
私達が信経を教会でとなえる時、それがことに重要なものに感じないかも知れません。しかし昔の多くの信者達は、その信仰の為に苦難をうけ生命を取られたりしなければならなかったのです。その中の一人がステファンと云う人で、彼は最初の輔祭でした。ステファンは又最初の致命者となったのです。致命者とは強い信仰を持ち、その信仰と行動の為に苦難を受け生命を取られた人ですが、彼はこの世の生命を失って神による真の生命に至ったのです。
致命者はイイススの証人です。
イイススが天に昇られて間もなく、弟子のステファンは人々にイイススのことを伝えるために説教をしました。それによって多くのユダヤ人達はイイススを信じました。しかしユダヤ人の指導者のある人たちは非常に怒りました。そして「彼は神とモイセイについて嘘を言っている」と言いました。彼等はステファンがイイススについて言っているすばらしいことばを素直に聞こうとはしませんでした。そしてこれらの指導者はステファンを捕らえ、もし彼らの言うことを聞かなければ殺してしまうと言い渡しました。
ステファンが空を見上げると神の栄光が見えました。彼は「見よ!」と叫びました。
「『人の子』が神の右に立っているのが見える」
これを聞いてステファンを捕らえていた人々は非常に怒り、彼を街の外に連れ出して彼に石を投げつけました。
ステファンは自分の体に石が当たるのに耐え、よろめきながら叫びました。
「神よ、この罪の故に彼等を罰しないでください」。
こうして彼は息絶えました。
私達は彼が聖人であると信じます。何故なら、彼はハリストスの証人であるために殺されそうになっても、恐れて心を変えることがなかったからです。