§質問§

 近親者が重い病気にかかったり、危篤になったりした時、どのように対処したらよいのでしょう。いざとなったら慌ててしまって、あたふたするばかりでということにならないよう、教えてください。

<答え>

まず司祭に連絡すること

 とにかく入院するような事態であれば、病状の軽重にかかわりなく司祭に連絡します。情況と、本人や家族の希望を鑑みて、聖傅機密(病の癒しのための機密)や病者平癒祈祷また病者領聖などを通じ、病の平癒を神に祈ります。療養上の必要や病者本人の希望でお見舞いを受けられない(また受けたくない)時は、気兼ねなく言ってください。司祭からその旨信徒の皆さんに伝え聖体礼儀の場で信徒一同で記憶します。

回復の見込みがないとき

 司祭への連絡は「永眠してから」では遅いのです。司祭は葬儀屋さんではありません。息のある内に、家族に言えない秘めた罪や良心のとがめがあれば聞き取り、神の赦しを祈り確信させ(痛悔機密)、ご聖体を授けハリストスとひとつとし、これから行く未知の旅への恐れを少しでも取り除き安らかな永眠ができるよう、祝福を与えるという大切な役割を果たさなければならないのです。「不信心な親父だったから」と勝手に司祭への連絡を怠ってはなりません。「不信心」であったからこそ、人生の最後のステージでの「まとめ」が必要なのです。人は誰でも独りで死にます。この想像を絶する孤独と、恐怖と苦痛の中に、愛する者を放置してはなりません。司祭を始め見守る者は、悔い改め、委ねれば必ず赦してくださりどこまでも一緒にいてくださるお方、ハリストスを、臨終者が確信できるよう一生懸命お祈りしなければなりません。
 痛悔機密・領聖、そして臨終を迎えたら「臨終規定」の祈り、息を引き取られたら「霊魂出離の祝文」を祈ります。

遠慮なく何度でも司祭を呼んでください

 持ち直したら何度も司祭に足を運ばせることとなり気の毒だからちょっと待て、と考えないでください。遠慮なく何度でも呼んでください。また司祭への連絡が間に合わなかった時でも、体を離れた永眠者の魂は、しばらく離れ難くその場所にとどまると言われます。祈りが必要でしょう。「もう永眠したんだから、司祭への連絡は朝になってからでよい」のではありません。

未洗者の場合

 洗礼への意思が確認できれば息のある内に摂行(緊急)洗礼を行います。司祭不在でも正教信者であれば代わりに行えます。まず聖名を決め、聖水か清浄な水を用意し、「父と子と聖神の名によりて神の僕(婢)<某(聖名)>、洗礼をうく」と言います。父・子・聖神(せいしん)と言うたびに一回ずつ水を受洗者の頭にそそぎます。後は司祭の到着を待ちます。